- 2025.5.13
第267回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 最初に、ファンチップ�蠻鰡誠�幸氏から、社会人のパソコン入力スキルを高めるためのタイピング練習×チャット×アバター×ゲームを内容とする「タイピングplus」サービスの説明がありました。同社は、現役エンジニアが立ち上げたWebシステム開発会社ですが、スマフォに慣れた若い世代にタイピングの技術を習得させ、就職を有利にするとともに生産性の向上を図っていくことを目的として、本サービスを立ち上げたとのことでした。AI利用で情報活用が進むと言われていますが、AI利用のためにはタイピング入力が必要であり、また、就職後の社内学習での向上も時間を要し不自然であり、社会ニーズがある事業と思います。既存の学習ソフトや専門校との差別化として、遊びながら上達させる、一生もののアカウント付与で転職しても使い続けられる等の工夫もしているようでした。次に、Evolution�衫� 暁燕氏から、いわゆるAIを使って応募者のスキル分析と3段階スクリーニングを実施し、世界中から優秀なエンジニアリング人材を集めて採用までの時間を大幅に短縮させるサービスの説明がありました。AIによるマッチング、５時間以上の技術テストの実施とその評価等を行い、最終面接のみで採用に至らせるとのことでした。高度で専門技術を有するIT技術者を対象としたジョブ型人材採用を前提としたものと思いますが、人材派遣や業務請負に近い説明もあり、また、採用側のスペックが事前に明確化されているか、一度の面接だけで採用に踏み切るかなど、疑問も思うことも有りました。時代の変化、技術の進展を背景とした新事業であり、グローバルでの変化を改めて感じる内容でした。最後に、�螢錙璽�ロボティクス保坂謙史郎氏から、千葉工業大学発の技術を基にした点検困難な高さ20から30センチ程度の狭隘空間向けの小型6クローラロボット「WAC」シリーズの説明がありました。本ロボットは小型ながら高い走破性で段差や障害物を乗り越え、大きな可搬重量でも長時間の駆動が可能で高いカスタマイズ性を実現しており、老朽化の進むインフラの安全かつ高効率な点検ソリューションを提供するとのことです。ハードウェア・ソフトウェア双方で完全自社開発体制を有し、現場ごとの細かな状況に応じたロボット作業の迅速なカスタマイズ・導入を目指しており、実証試験も終わり、2025年度より実際の定期点検に採用されていくとのことでした。公的部門・大手企業がユーザーとなる点が敷居を高くさせていますが、今後の活躍を期待したいと思います。 - 2025.4.23
「日本におけるドイツビジネス2025-日本企業とともにビジネスチャンスをつかむ」に参加。
― 日刊工業新聞社・モノづくり日本会議が主催する在日ドイツ商工会議所 (AHK Japan) が毎年KPMGとともに行う在日ドイツ企業対象調査の概要を紹介し、討論を行うセミナーです。出席は、在日ドイツ商工会議所専務理事マークゥス・シュールマン氏、ドイツKPMGアンドレアス・グルンツ氏、BRITA Japan�蠡緝充萃�役社長マイケル・マギー氏、三菱ふそうトラック・バス�蠡緝充萃�役兼CEOカール・デッペン氏、ザムソン�蠡緝充萃�役社長飛田篤志氏でした。BRITAは主に浄水器、ザムソンは主にポンプ・バルブの製造・販売を行っています。個別３社の日本市場への評価・期待は、日本顧客の熟度とドイツ製品の技術力への信頼、環境への関心などで一致するとともに、東南アジアビジネスへの協業の期待が高いことでした。企業調査を紹介したドイツ商工会議所専務理事からは、今回は特に、「過去10年間でのドイツ本社における日本市場の戦略的重要性の変化」と「アジア太平洋地域統括本部の主要拠点としての日本への関心度」がとりわけ突出していたとの紹介がありました。その背景について、KPMGグルンツ氏は、米国トランプ大統領の登場により米国経済が悪化するとの見通しとオーバー気味の中国市場以外の市場として東南アジアへの関心が高まってきている一方で、欧州における電力コストの低下や規制緩和等から日本企業にとっても欧州とその周辺市場(アフリカを含め)が魅力あるものとなり、双方にとって機会が期待できるとの説明がありました。欧州の環境政策やエネルギー情勢については、個別企業も商工会議所も再生エネルギーでの優位性や関連の技術力に対する自信には変化が無いようで、この点は大いに疑問に感じたところですが、東南アジア市場への重要視が高まっていることから日本の拠点化、日本企業との協業を進めようとする点は、成程と思いました。ロシアのウクライナ侵攻や競争力のある中国企業の欧州市場での高まり、米国市場の不安定化の中で、ドイツ産業界の現時点の問題意識を垣間見られたセミナーでした。 - 2025.4.8
第266回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 最初に�螢好沺璽肇札鵐轡鵐飴殻邂羚�友氏から、顧客の生産管理情報を取得し可視化したいとのニーズに応え、原理試作、動作確認・検証を行うとともにセンサ・モジュール、アクチュエータ・モジュールを開発し、さらに取得情報の処理をして提供する事業の説明がありました。まさにセンサー技術のプロのビジネスと言うべきですが、更に新規機器として液晶技術を使ったVR対応等のゴーグルを開発しようとしているとの説明がありました。非常なスキルと対応能力を持ち事業を行ってきたことは理解しましたが、HPを見ても組織・会社としての集団力が見えず、また新規機器の開発体制や事業化計画も不明であり、今後については理解できないまま終わりました。次にナッジヘルステック�蠱翹犁�浩氏から、極めて少量の採血を自分で行い、これを分析管理しフィードバックすることで、健康管理を継続的に行おうとする事業の説明がありました。少量の採血を行う機器の医療承認を得、スギ薬局の薬剤師の助言を得る協業を進め、自社の血液検査センターの設置の計画を進めているとのことでした。健康保険組合との連携等も予定されているようですが、何を最初の切っ掛けとして社会システム化を図っていくべきなのか、聞いていても見えませんでした。最後にイムノジェネテクス�蟶Ｂ鴫太技瓩�ら、東京理科大学の技術を使い、バイオ・医薬品産業の細胞研究において不可欠なシングルセル(単細胞)のRNA解析を高精度で行う事業の説明がありました。免疫治療を進めるに当たって個々人の持つRNAの特性を明確化し、これに応じたオーダーメイド的な治療方法を確立していこうという計画だと理解しました。BD社の単細胞解析機器BD Rhapsodyを使って情報を得るところまで進んできたようですが、その後どのように免疫治療を確立していくのか、まだ先は大変で同社だけでない総合的な仕組みが必要だと思いました。 - 2025.3.27
“産総研が取り組む技術シーズと市場ニーズをつなぐ AIエージェント最前線”に参加。
― 産総研(AIST)は現在12000人のスタッフを擁す大組織となり、成果も広範囲にわたる一方で、個別の研究は細分化され、かつ、個々の研究員にノウハウ等が蓄積される状況となっているとのことで、隔世の感となっています。そして、産業界・学界への技術移転や技術相談に応じるために橋渡し組織として、子会社��AISTSolutionsを創設し、対応してきたが、冒頭に触れた事情から人的活動には限界が生じてきており、これを円滑に行うためにストックマーク�蠅醗貘里箸覆辰董�AIマッチングシステムを開発してきたとのことでした。今回のセミナーは、開発発注側のAIST、実際の使用者となるAISTSolutions、開発受託側のストックマーク�蠅�3者からシステムの概要、問題意識等について説明があり、更に円滑な運用に向けて改良を行っていくとのことでした。橋渡し業務を行ってきたAISTSolutions宮下東久氏から、現在大企業では、研究開発部門の研究者が直接事業化を求められ対応に苦慮し相談に来る、あるいは事業部門にその領域内で新しい柱を立てろとの上からの圧力が有り困ってソリューションを求めて相談に来る、など、良く言われている短期間でコストを掛けずに新事業を求める大組織の習性について言及があり、本システムによって12000人の技術をカバーしてそこから解を求められる仕組み作りに期待が表明されていました。また、AIST佐藤稔久氏からは、12000人の成果の組合せから新しい研究開発目標を産み出す、あるいは、研究者の頭にある潜在的アイデアを保有成果を使って具体化する、そのようなことに利用できるとの期待の表明がありました。ただ、「人が判断するべきことは残るし残さないといけない」と佐藤氏が強調していた点はその通りで、そのためには、一層、人が学習し主体性を維持していくことが重要かつ必要で、それをどうしていくかが大きな課題だと考えます。いずれにしても、数多い研究機関や大学、技術開発支援機関がその保有する成果を如何に移転し、活用に向けて動くべきかという課題を有していて、その課題解決に向けた貴重な取り組みだと思いますが、開発されたシステムの維持改良のコストを誰が負担するかというお馴染みの問題も抱えていて、まだまだ道のりは遠いようでした。 - 2025.3.24
K-NIC Deeptech meetup 2025 ─川崎でつながるスタートアップネットワーク―に参加。
― 川崎市とNEDOが運営するK-NICのイベントで、NEDOらしく、先端技術の事業化を目指すベンチャー企業4社のプレゼンがありました。最初に、アットドウス�蠱翅悉┨篁瓩�ら、コア技術である電気浸透流ポンプを用いて、局所に超微量の薬を持続的に投薬できる医療器具atDose Coreの説明がありました。眼科の硝子体治療に超細針を使った投薬における利用が進んでいることに加え、すいぞう癌治療において胃カメラに組み込むことで開腹せずに検体の取得や投薬を可能にする試みが進んでいることなどを紹介していました。次に、�螢札張蹈謄奪�竹澤慎一郎氏から、徳島大学で開発したゲノム編集技術ST9.5を基本として、受託による新品種の創出や品種改良、創薬を行う事業の説明がありました。受精鶏卵の遺伝子を調べオスの卵はワクチン研究用に活用してブタ熱ワクチン製造に繋げる、あるいは新種のビール酵母菌を創り特色あるビールを産み出す等の事業者との協業の説明がありました。次に��VISION IV小関智昭氏から、超高圧下での物質の特性評価 や物質の合成・相変化の測定のために使われる実験治具ダイヤモンドアンビルについて、合成ダイヤモンドアンビルと導電性ダイヤモンド電極を一体化し、利便性・再現性を高めた旨の説明がありました。最後に��BULL宇藤恭士氏から、宇宙空間の使用済み衛星等のデブリを減少させ空間の安全で有効な利用を高めるために、同社のPMD(Post Mission Disposal）を衛星等に予め搭載させ、当該衛星等を早期に消滅させる事業の説明がありました。PMDが衛星等の運用終了後、衛星外で開き、大気抵抗や電磁力によるブレーキ力で減速し、軌道上から落下して燃え尽きさせるという技術とのことでした。以上４社ともDeeptechの相応しい技術であると思いましたが、Deep過ぎる点もあり、果たして事業化が進みうるのか、非常に難しいと感じました。当日はオンラインでの参加でしたが、画像や音声が技術トラブルで乱れ、内容が十分に理解できないで終わったことも非常に残念でした。 - 2025.3.11
第265回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 最初は、��AnchorZ徳山真旭氏から、アプリに認証機能を組み込みIDとパスワードの入力による確認を不要とするバックグラウンド認証についての説明がありました。利用者の顔や声、ふるまいなどの情報を基に本人確認を自動的に行う仕組みで、国際展開を睨み、海外特許も獲得しているとのことでした。当該本人のスマフォ内に個人情報が残り個人情報がサービス相手先に残らないなどの特徴があるとのことですが、スマフォ等を利用する一番最初をどうするのか良く分かりませんでした。恐らく、スマフォ保有者とサービス相手先が同社の認証の仕組みに参加していることが必要なので、なかなか利用の広がりは難しいのではないかと思われました。次に合同会社ソアリス横山理恵氏から、中小企業の海外展開への貢献を目的とした英語コミュニケーション事業と知的財産管理事業の説明がありました。長く英語を使う企業法務に携わり、また、国際特許事務所にも勤務した経験から、中小企業が海外展開していくために必要なビジネス英語、特にアジア諸国の特色ある英語の研修と、特許出願や海外企業との特許交渉の支援等を行っているとのことでした。中小・中堅企業の海外進出が重要となってきており、同社の奮闘に期待したいと思います。最後に、 ��mmガード鈴木和清氏から、ドローンとAIを組み合わせたソフトウェア・ソリューション「違いがわかるA I」”Drone View”の開発・販売の説明がありました。太陽光パネル点検版は、太陽光発電所のパネルの異常を発見し、遭難者発見版は、山岳地帯での遭難者を発見するものとのことです。更に北海道・新冠町でJR北海道と共同運営する「日高ロボットテストフィールド」の説明がありました。今後は、工場の配管の間や屋根裏など「狭所」を飛行可能なドローンを活用した点検事業を展開する予定とのことです。福島県にはドローンの飛行実験場があり、スタートアップも集積していますが、新たな拠点に集積が進んでいって欲しいと思いました。 - 2025.2.12
第264回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 定例のMINERVAビジネスプラン発表会で、今回から、みなとみらいTECH HUB YOKOHAMAに会場が移りました。最初は、アドバーチャ�蠖緻鄒�太朗氏から、ゲーム中に表示される看板に広告動画を出すプラットフォーム「アドバーチャ」について説明がありました。若い世代が20%の時間を消費するのがゲームであるので、ゲームの中の看板スペースに広告主の動画広告を表示させるというビジネスのようです。ゲーム制作側と広告提供側双方を繋ぐスキームのようで、説明時に感じた進行中のゲームに一方的に広告を載せることによる著作権の問題は無いようですが、果たしてゲームの進行中での広告が若い世代の意識に残るのか、類似のゲームなどであれば別途検索すれば認識できるのではないか、等の疑問は残りました。次に��ZIPCARE坂本創志氏から、介護施設向け、在宅介護向けの介護ロボット MAMORUNOの説明がありました。ベッドの布団の下に置くエアバッグセンサーと介護者に通知をする端末器とからなるもののようです。色んな利用場面での信号・情報を蓄積し分析していくことで、予防から現場対応まで、介護者を手助けするシステムを開発し、販売していくとの計画でした。現在、東洋電装の傘下にあるとの説明があったと記憶していますが、そのネットワークを活用して、大手と協業しつつ海外展開も目指しているとのことでした。介護施設への介護機器納入は、直販は無く卸代理店を通じた商流であり、また、在宅介護での機器納入の商流は明確でなく、これを如何に開拓して行くか課題は大きいとのことでした。そのために、自社製品の売込みではなく、介護全般の知見・業界情報を身に付けて、同社・坂本氏と付き合うことが卸代理店等にメリットがあることを感じさせることが第一だと説明していました。ベンチャーのトップに有りがちなお山の大将的行動の問題点も理解して、事業活動を行っている点が資産かも知れません。それにしても、在宅介護への商流をどのように創っていくのか気になりました。最後に、�螢皀譽�ュラーインサイト桶本和男氏から、液体試料に特定波長の光を当て非破壊で測定し、分子振動分光法を活用することで、分子構造の詳細なプロファイリングや成分の定量をリアルタイムで実現するという分析手法と機器を開発している説明がありました。元来、九州大発の技術の様で、説明にあったようにキシレンの3つの異性体に光を当てると異性体ごとに特有の波が得られると思いますが、雑多な物質が混じった状態で識別できるのか、五万とある物質ごとの波形をどう特定させるのか等々データベース作りに膨大な時間と予算が掛かり、かつ、操作しやすい分析機器を如何に開発設計製造していくのか、課題は非常に大きいと思います。面白い技術であり、奮闘を祈りたいと思いました。 - 2025.1.28
芝浦工大BOiCE主催2024年度第５回アントレプレナー連続実践講座に参加。
― 今回の講師は、NEDO水素・アンモニア部国際・リエゾンチーム主任山下尚人氏で、氏は、同大システム理工学専攻卒業後に、NEDOに就職し、バンコク勤務を経て現在に至っています。学生時代に同大のプロジェクトを使ってボランティア活動を行い、バンコクでのごみ収集や分別の実情を学んだことから、社会における技術の活用の問題意識に目覚め、企業ではなく、公的組織に就職することを選択したとのことでした。水素との付き合いは、NEDO技術戦略研究センターで水素自動車プロジェクトを、自動車業界や他の産業界、大学その他の研究機関を跨り、多様な利害関係を乗り越えて、立ち上げて行ったことに始まったと説明していました。個別企業の比較的短期間での目標と研究機関の長期的な目標との調整を経てのナショプロとしての目標、自動車業界内部で開発できる技術課題以外の材料やシステムの開発を担う企業との連携、それらを検証するための研究機関の長期の研究活動との整合性の確保等、経産省と一体となって、プロジェクト化して行った苦労話が語られていました。また、バンコク勤務時代には、インドネシアに設置されていた分室の閉鎖に直面して、インドネシアの諸機関との接触や情報収集、延長に向けての交渉等の苦労話もありました。NEDO勤務は10年余だと思いますが、なかなか他の組織では経験できない戦略・戦術・力技を動員した組織間を跨る大きな仕事をされた様子が良く理解できた講演でした。技術系の学生の卒業後の活動観や人生観も披瀝があり、良い話を聞けたと思います。 - 2025.1.24
「2024年度NEDO先導研究プログラム成果報告会〜フロンティアの発掘・育成から大型プロジェクトへ〜」に参加。
―モノづくり日本会議との共催で、今回は主に、脱炭素・省エネと脱炭素の活用に対象とした5つの案件について開発の進捗状況等について説明がありました。「排ガス・廃水中希薄有害物質の無害化・利用技術開発」のテーマで産総研ナノ材料研究部門高橋 顕氏から、「インセンサ・コンピューティングの研究開発」のテーマで産総研デバイス技術研究部門島 久 氏から、「無水・ＣＯ２無排出染色加工技術の開発」のテーマでサステナテック株式会社堀 照夫氏から、「未利用冷熱による燃焼ガス中ＣＯ２の回収技術の開発」のテーマで名古屋大学大学院工学研究科町田 洋氏から、「鉄鋼プロセスに活用するCCU技術の国際共同研究開発」のテーマで積水化学工業株式会社R&Dセンター飯島圭祐氏から、それぞれ話がありましたが、いずれも、公的研究機関、大学、企業を跨るティームの組成や連携・調整の実情に相当時間を割いて、最適分担と実用化の苦労話をしていました。オンラインでの参加で資料が手許に無いため、詳細は残念ながら把握できていませんが、3番目のサステナックの堀さんの話に興味を持ちました。CO2は臨界化させると染色用の水や洗浄用の水に代替できるとのことで、福井大学や北陸の繊維企業等が一団となって開発を進めており、多くの参加者が島氏の調整によって役割を担って開発を進めているようでした。更に本技術は既にタイの企業によって実用化されているとのことで、新興国の実力、我が国の実情を改めて感じ入りました。 - 2025.1.22
関東経産局受託事業第２回「地域産業創出セミナー」に参加。
― 関東経済産業局が進める「中堅・中小企業とスタートアップの連携による価値創造チャレンジ事業」を�螢螢丱優垢�受託し、連携の具体例を紹介して課題や成果を明らかにしようとする「地域産業創出セミナー」です。今回は、藍色光を活用して海洋生物の付着防止や水中・空中の除菌の技術開発を行っている�螢札轡襯螢機璽舛函�LED・LD光源を軸に、光の“発光・伝送・受光”を統合した製品の製造・開発を行うレボックス�蠅箸力�携の例が取り上げられました。�螢札轡襯螢機璽舛蓮▲侫献張榲�の付着生物（Sessile Organisms）が臨海発電所等の取海水配管内に付着する影響を調査する等の海洋生物、付着生物の調査試験、研究開発に特化し山下技術顧問が起業した世界で「唯一」のベンチャー企業で、400〜420nmの藍色光が付着防止に効果があることを解明していますが、水中で同光を発する光源装置の開発は外部に依存していたとのことです。他方、レボックス�蠅蓮�広く産業面で利用されるLED発光装置を特注生産を行う企業ですが、2001年に蒲田会長が創業し現在70名余の中堅中小企業に成長してきています。面白いことに、セシルリサーチ�蟒蟶澆良穎�に研究所を保有しており、これが両者が相互に出会うキッカケとなったとのことです。また、蒲田会長は同社創業前に発電所に勤務したこともあり、不着生物の問題、解決の必要性を理解していたことも有り、連携が急速に進んだとのことでした。実際の光源装置の製造についてはGo-Tech事業を活用しており、セシル社の海底探照の実績や蒲田会長の発電所への知見などを加味して、申請採択までの週1回の打ち合わせを含めスピーディーな展開であったとの紹介がされました。国内市場のみならず海外の発電所も市場となり、更には内外の養殖事業への導入も含め、将来の広がりが期待される製品であり、知財対応を含め発展を期待したいと思います。なお、今回の案件ではリバネス社や地域支援機関の関りがハッキリしませんでしたが、両者のトップ同士の意思疎通や判断の迅速さが浮かび上がっていました。ただ、これまで本セミナーで取り上げられてきた事例では、中堅どころの中小企業とスタートアップとの連携が殆どであり、数百人規模の中堅企業との連携というのは、難しいのかも知れないと思いました。 - 2024.12.19
芝浦工大「第４回アントレプレナー連続実践講座」に参加。
― 今回は、日本政策金融公庫東京創業支援センター森 理氏から、創業における注意点、同支援センターの業務等の説明がありました。事例を扱いながら、起業における問題点を参加者の意見を聞きながら具体化して行く説明でしたが、事例はケーキ屋さんの創業で、同大での事例としては場違いな感じもしましたが、帰するところ、起業者の人材と事業計画の良否が、業種を跨って起業の発展を決するとのことでした。ただやはり、公庫には、テック系のベンチャー起業を対象とするセクションがあり、資本性ローン等の支援メニューもあるので、違和感は残りました。 - 2024.12.10
第263回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 今回は、透析に関する発表が2件となりました。最初に、フィジオロガス・テクノロジーズ�蟲槝動豌纏瓩�ら、北里大学発スタートアップとして、血液から不要物質と不要水分を取り除き透析液に移動させる透析器、透析液の供給・循環装置のみからなる小型在宅血液透析装置を開発している説明がありました。医療機関では水道水を純水にする逆浸透膜透過装置が必要ですが、これを不要にして小型化し、いよいよ動物を使った非臨床試験の実施に至ったとのことでした。医療機関で行う透析の要素技術・機能を含み水の循環を可能にする精度の高い濾過膜を内部化し小型化するには多くのブレークスルーが必要と考えますが、成功を祈ります。次に�螢譽侫灰¬攘邱席浸瓩隼嚇朕紳析沙瓩�ら、小規模の飲食店において、レシピ作成を行うとともに、手許原材料の把握と原材料の追加購入、これに併せた原価計算、利益率の計算を行うとともに、作り方、盛付け等を含めた従業員への指示を行えるレシプロのソフト開発の説明がありました。5から10軒の店舗規模での適用を考えているとのことですが、現場から積み上げていくのか、中央からの一方的指示で行うものなのか、店舗によって在庫や売れ筋も異なるので、割り切りが必要で、かつ、従業員教育まで含むソフトの機能の絞りが必要だろう思います。最後に、ジーニアルライト�蟆舎漫［瓢瓩�ら、透析医療機関で使用する小型の血液計測機器「Hctモニタ」の説明がありました。チューブ内に流れる血液を外からリアルタイムで計測して、透析機器へ血液情報をフィードバックし機器の設定変化を行うもので透析機器メーカーへ販売する事業ということでした。同社は、創業者が光産業創成大学院において創業し20年の実績を有しています。同社は、光を使った計測に伴うノイズを低減させ精度を上げる技術を有し、国際特許も取得するとともに、これらに関する受託開発も行うと同時に、創業以来、医療機器・要素技術の開発を進めて来た歴史を有しているとのことでした。「Hctモニタ」の開発と成功を期待するとともに、同社の有する光計測技術を、品質管理や生産管理、ロボット開発、自動車無人化運転等の分野で利用されるべく、踏み出して欲しいとも思いました。 - 2024.12.4
「ものづくりパートナーフォーラムTECH LIVE 東京 2024」に参加。
― 浜松町の近くに最近開設された都産業貿易センター浜松町館での展示会で、開催案内メールに、10数年前に関わった「ユカイ工学」の名前を見い出したために参加してきました。同社はNPOゴールデンアカデミーに参加していた時に知り合ったロボット開発の企業で、身近な友達的なロボットの開発を進めていました。ブースで開発製品を見ましたが、このコンセプトを変えずに開発を続け、結構な台数の売上を達成したのことでした。同社COO鈴木裕一郎氏の講演も聞きましたが、社員30名が持ち寄る“妄想的”アイデアをブレーンストーミングをし、早い時点で営業代理店等外部とも議論をして、コンセプトの具体化・商品化を進めている自社製品開発分野と、創業以来同社と付き合ってきた大手企業他外部大手企業のアイデアの商品化へのコンサルや当該外部大手企業の新製品開発体制そのものへの助言等の事業分野の2つを柱としているとのことでした。上場大手企業が30名の中小企業に依頼し新商品開発を進めているとのことに、同社の成長を感じるとともに、大手企業の限界が想像以上に深刻であることにも驚きを感じた次第です。ただ、オープンイノベーションの良き事例とも言えるとは考えます。展示企業の中では、東大阪に拠点を置き、国内中小機械加工企業の部品や海外の機械加工部品を国内外に販売する商社である阪奈工業�蠅剖縮�を持ちました。特に、日本のポテンシャルを有しながら自ら製品(部品)を輸出するだけの能力がない中小・中堅機械加工企業の製品を扱う商社として、アジア諸国へ拡販を進めて欲しいと、同社の担当者と議論しました。本展示会の会場は便利な場所にあり、今回の主催者も有力大手紙でありながら、残念ながら、出展企業の社員の方が圧倒的に多い状態で、講演も含め、閑散としていました。使い勝手の悪い会場なのかもしれませんが、工夫を重ね、集客をして欲しいと思いました。 - 2024.11.29
芝浦工大「第３回アントレプレナー連続実践講座」に参加。
― 芝浦工大BOiCE主催で、同大卒業生の起業や同大発スタートアップの苦労話などを聞くセミナーで、今回は�螢錙璽�＆ケアバランス研究所和氣美枝氏の登壇でした。同氏は同大建築科を卒業し、建築会社に就職した後、お母さんの介護を行うために転職・離職し、更に、介護体験を活かした経験を社会ニーズに活かすとともに、収入を得るため、一人会社を設立して、仕事と介護の両立を10年以上、継続してきているとのことでした。同社の事業は、従業員が介護ために離職するのではなく、雇用者が介護に直面している従業員の介護と仕事を両立できるように、雇用・組織の仕組みを創っていくべきか等のコンサルが主体とのことです。起業自体は望んでしたものではなく、介護と言う置かれた状況に対応し、それを活かして、稼ぐためにはどうすれば良いかと言うところからの出発であり、「金」を産み出す仕組みを考え、外部・社会に情報発信をして顧客を確保し、一人会社を支えてくれる仲間を創り出し、ニーズの所在を見極め、試行錯誤を繰り返しつつ、今日に至り、ようやく会社が自立して、収益も挙げられるようになったとのことでした。本人も指摘しているように、軸をブレさせず柔軟に対処することが重要で、技術系スタートアップのトップに良く見られる技術中心・技術天動説の行き方ではなく、如何に相手・ユーザー・社会がスタートアップを認知し、理解してくれるように、情報発信をすることが重要だと強調していました。オンライン参加で良く分かりませんが、会場の質問者は介護に関心のある学生だったようで、技術系スタートアップのトップが聞くべき内容であったと思います。一人会社の経験のある立場からも、非常に同感できる有意義な話であったと思います。 - 2024.11.27
第３回次世代フードテックワークショップに参加
― 日本戦略投資、TSI等のグループが主催するスタートアップのプレゼンの場で、最初に�螢廛薀鵐肇侫�ーム山本祐二氏から、養殖している魚の排泄物をバクテリアが植物の栄養素に分解し、植物はそれを養分として成長するとともに、植物が浄化した水で魚を養殖していくという循環型の農法であるアクアポニックスの説明と、チョウザメとレタス・イチゴ等の養殖・栽培の事例が紹介されました。新潟県長岡市を拠点とし、大光や第四などの地元VCから資金を得ている企業でした。植物工場が多く操業しているが、再エネ等による電力料金の高まりで運営が厳しくなってきており、魚の養殖と組み合わせることで、化学肥料の代替、養殖魚の販売収入によって、事業拡大が図られるとのことでした。長岡市や三条市の導入事例から、超豪雪地域は無理として日本海側でも温室と養殖施設の建設は可能なようなので、幅広く導入が進んで欲しいと思いました。次に、Fabula�蠶�田紘太氏から、規格外の野菜や加⼯時に出る端食材等の⾷品廃棄物を、乾燥粉砕し、熱圧縮成形をして建材等の新素材を作る技術の説明がありました。またinitiumとして、コンクリート原料の砂の枯渇も進んでいて、未利用の岩石を粉砕することで、原料供給の途を拡げようとしている説明もありました。食品廃棄物は分別が大変でその再利用は極めて難しいので、加工食品工場から出される単一種の廃棄材料を活用するのであれば、可能性があるのかもしれないと思いました。 - 2024.11.21
「神戸大学蓮沼氏に学ぶバイオものづくりの現在地 – 最新技術と今後の課題」に参加。
― 蓮沼誠久氏は、神戸大学先端バイオ工学研究センター教授・センター長で、NEDOスマートセルプロジェクト・研究開発責任者などを歴任し、2024年より神戸大学デジタルバイオ・ライフサイエンスリサーチパーク推進機構・バイオものづくり共創研究拠点長を務めていて、”バイオものづくりに資するスマートセルの開発”の副題での講演でした。主催はストックマーク社でした。従来の大量生産の化学プロセスを、未利用・非可食バイオマスを微生物(遺伝子操作を加えた)によるバイオプロセスによって、燃料・ナフサ、繊維原料、高機能性素材等を産み出す一連の技術開発の進捗状況が説明されました。酵母等に目的物質を生産させる機能を遺伝子組み換え等によって付加し、酵母等が安定的に機能を発揮できる培養条件を維持実現する培養機具等の開発、これを制御するプログラムの開発、生成物を効率よく分離回収できる装置の開発等の一連の技術開発を、複数大学の教官や島津等の機器メーカーとの連携で、ユーザー企業の参画・支援を得て長年進めてきたとのことでした。同時に、どのような酵母・菌がどのような物質を産み出すのか、酵母等にどのように遺伝子を付加すればよいかを、世界中の文献のデータベースをもとにデータベースを作り予測シミュレーションを行ういわゆるAI的なディジタル技術の開発も行ったとのことでした。生物学・酵母等のバイオ技術とプログラム開発、ロボット装置工学を融合して、工場群を創り上げるのが今後の化学工業であり、日本・神戸をその代表的な拠点としたいと強調していました。かつて数十年前に、遺伝子組み換え、バイオリアクター、細胞大量培養の技術開発に関わったことがある者として、改めて進捗と成果を実感できました。ただ、このような先端技術の成果と膨大な情報及び隠れたノウハウ等を誰がどのように管理していくのか、単に成果として分散され拡散して行って良いのか、更には、日本国の税金を使って進められたプロジェクトの成果は、単に国際的な国境を越えた財として扱うと言うことで良いのか、色々考えさせられました。 - 2024.11.16
明治大学大学院情報コミュニケーション研究科フォーラム「アメリカ民主主義の危機 異例ずくめの2024年大統領選挙」に参加。
― 若手研究者4人の報告に対し防衛大学校長久保文明氏がコメントし討論を行い、また久保氏自身が後半に講演を行うというフォーラムで、興味深い構成であり参加しました。最初に情報コミュニケーション学部教授清原 聖子氏から「‟二つのアメリカ”とメディアの分極化」として、従来型の新聞・TVのメディアが大きく分裂した中で、SNSが極端な特異点だけを打ち出し分断化を図る情報発信に利用され、若い世代は完全にこれに依存していることの説明がありました。次に、同学部教授鈴木 健氏から、「政治レトリックから見たアメリカ大統領選挙」として、政治姿勢や公約が一定の体系的で論理的なレトリック型のものから、情緒的で非一貫性に欠けるものの損得的には一貫するものへ移行したことを説明していました。次に政治経済学部准教授兼子 歩氏から、「ジェンダーの観点から見たアメリカ大統領選挙」として、日本の新聞等で言われる女性はハリス候補を支持しているという点を否定し、白人女性の中でも貧困層の女性はトランプを支持し現状維持を指向したとの分析を説明していました。最後に政治経済学部准教授下斗米秀之氏から、「移民政策をめぐる課題と展望」として、バイデン政権の反移民対応もトランプ氏の主張と大きくは変わらないものの徹底さに欠けたことが支持を失ったとの説明がありました。これらに対し久保氏からコメント等があったのですが、残念ながら氏の音声が全く聞こえずで、終了しました。後半の久保氏の講演ですが、「新政権の外交・安全保障政策の展望：国際協調重視か、孤立主義か？」として、概ね既存の新聞論調や多くのシンクタンク等の論説に沿った内容の解説がありましたが、やはり音声が聞こえず、十分な理解ができませんでした。ただ、氏の予測通り中国等からの輸入に関税を賦課していけば米国内にインフレが生じ高金利となって不況に突入していくことと予見しますが、その際にトランプへの忠誠度だけで固めた閣僚人事であるので、その過ちをどれを（誰を）スケープゴートにして政権の正統性を主張するのか、共和党外でそれに対しブレーキ役・バランサー役になるのは存在しうるのか、中国からの迂回輸出国となるであろう東南アジアや中南米諸国(我が国も含められるかもしれない)の陰謀を打ち出して不満を逸らすのか、このように、外交・安全保障と経済が一体に絡み合うであろうことに対するコメントは出されなかったようでした。 - 2024.11.15
山形大学有機エレクトロニクスイノベーションセンター第４回シンポジウムに参加。
― 同センターは、有機エレクトロニクス実用技術の研究開発を産学連携で推進することを目的として2013年に設立され、大型民間資金や外部資金等の獲得により「自主独立採算運営」を基本として、ニーズファーストで研究開発と実用・事業の橋渡しを行っており、本シンポジウムはその成果を示すとともに、橋渡しの機能として新しい企業への参加を呼びかけるものでした。同大城戸教授の研究開発の成果がこのような活動として引き継がれていることを認識しました。シンポジウムでは、有機エレクトロニクスデバイス、印刷・フレキシブルデバイス、バイタルセンサなどのソフトセンシングデバイス、次世代太陽電池や次世代電池など、非常に広範な分野で進行中の技術要素について担当の８名の教官から説明がありました。かつて、有機ELに短期間関わったことがあり、技術開発や事業化がどのように進んでいるかを知る個人的な関心と共に、慶応大の鶴岡拠点を含む山形県からの革新技術の世界への発信にも興味があり、参加しました。センターの奮闘を期待するところですが、何故、東京日本橋で開催することとしたのか、もっと山形の地元からの直接的な活動として発信しても良かったのではないか、多くの企業との連携開発が同時に進んでいるために、成果発表の具体性がやや後退してしまっているのではないか、などと感じたところでもありました。 - 2024.11.12
第262回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 最初に、��Medisense和田将幸氏から、身体に装着して得たデバイスで活動情報を分析して、睡眠モニタリングとパーキンソン病・認知症の診断を行うアプリの説明がありました。健康保険組合での利用や医療機関での導入を目指していますが、公的機関の認証等の壁が厚いようです。次に、知見パワー�蟇�多野敦氏から、定年退職したサラリーマン(シニア人材)を、経営課題に取り組む中小企業に、専門人材として活用する機会を提供し、3者がメリットを得るという事業の説明がありました。中小企業と同社との業務委託契約と、同社とシニア人材との同じく契約とによって、中小企業がシニアの管理責任を負わず、同社が中小企業と当該人材に責任を負うとのことですが、なかなか難しい仕組みだと思います。最後に、クオン�衂霤帖［柑瓩�ら、企業・自治体と生活者をつなぐオンラインコミュニティ(ファンコミュニティ)の構築の実績を基に、日本企業が海外へコミュニティを拡大し販促等に繋げる事業の説明がありました。同社はエイベック研究所として出発した実質創業30年の企業で、国内でフェイスブック的な商品ユーザー同士のネットワーク構築するサービスを長く提供し、慶応の村井氏、国領氏、早稲田の松田氏、一橋の野中氏など錚々たる面々がアドヴァイザー等に就任して、大手企業200以上の顧客を獲得してきた実績を有しています。これをさらに海外に拡げるべく資金調達を行おうとする意図のようでした。恐らく、日本企業の消費財ファンは東南アジアなどには存在するでしょうが、中国企業の存在感が高まっている現時点では遅きに失し、既存のフェイスブック等を活用する仕組みをコンサルしていくべきできではないかと考えました。 - 2024.10.31
「IT×Tech系スタートアップが集結！未来を創る福島ビジネスマッチングピッチ2024」に参加。
― 福島浜通りにある南相馬市産業創造センターと大熊インキュベーションセンターが主催した資金調達先、事業パートナー等を求めるイベントでした。最初に、in the Rye�蟆�野 昇平氏から、毎月異なる国のゲストを学校や幼稚園に紹介し、通訳付きで言語を超えて何でも話せる探究学習サービス“ミーツ・ザ・ワールド”の説明がありました。まずは幼稚園・小学校の低学年で他国の人と会話することでグローバルな多様な社会を経験させようとするものです。次に、バイオソノ�蟇鷸魁仝�氏から、高齢者の誤嚥等を観察し対処するため、喉音をスマフォで常時収集し異変を察知できるシステムの説明がありました。介護施設等の人手不足に対応しサービスの質を維持していくための手軽なサービスとのことでした。次に、センスウェイ�蠖席殕沙飴瓩�ら、無線通信規格LoRaWANを使用したIoTネットワークを使用して、夏場における労働者の熱中症対応や転倒検知等を把握し労働災害を防止するサービスの説明がありました。次に、Future�螳羝況鳥匯瓩�ら、電動ボードやアシスト付き自転車等の小型EVのハードと管理用ソフトの開発を行い、全国で販売やシェアサービスを展開している説明がありました。次に、Zip Infrastructure�螢譽椒鵐�ン マリオイアンカロスフェリド氏から、比較的狭い地域で交通渋滞が激しく鉄道が無い都市部での移動手段となる自走型ロープウェイ「Zippar」の説明がありました。既存の道路の上に敷設でき、ロープでの走行とレールでの走行の切り替えができるところに特徴があるとのことでした。最後に、��OZ1江川将偉氏から、自治体における様々な情報提供やオンラインサービスの基盤となる情報インフラサービスの説明がありました。以上、スマフォを活用した情報サービスが主体の説明でしたが、Zip社は２回目の登壇だと思います。だいぶ具体化してきた感じですが、どのようなエリアに導入のニーズがあるのか、東南アジアにはニーズが無いのか、など色々考えましたが、難しく具体的なイメージが作れませんでした。奮闘を期待します。 - 2024.10.24
芝浦工大2024年度「第２回アントレプレナー連続実践講座」に参加。
― 今回は、同大卒業後建築大手に就職した後、起業した��Arch代表取締役松枝 直氏の登壇でした。専攻科目の建築は必ずしも積極的な選択ではないとのことで、授業とバイトと体育会活動という普通の学生が起業に至ったのは、就職後に建築現場の監督を数年行った際に感じた現場の非効率で長時間作業をITを使い改善できるとの問題意識を具体化すべく、社内の技術研究所に配属を希望してシステム化を計画するものの、起業すればシステム化も速く、事業化も進むという思いからだったとのことでした。既に、結婚し子供さんも居たとのことですが、奥様が背中を押してくれたとの話でした。同社の事業は、建築現場で使われる建機その他の機具のレンタル品の見積もりをスマフォを使い、かつ、見積もりから内部の費用処理、機具等の管理、故障が有った際のレンタル先との対応などが一気通貫で行えるアプリArch Rental Platformの提供です。順調に売り上げは伸びてきているが、近時の課題としては、レンタル業者から見積もり競争では価格が下がるだけでありメリットが無いとの苦情も寄せられ、また、20名になった従業員の組織管理を図る必要も出て来たとのことでした。レンタル業者にもメリットのある事業内容の再構成や社内の情報の流れの再構築など、同社の事業がさらに伸びていくための壁をどう乗り越えるか、奮闘を期待したいところです。ところで、同氏が、起業に向けて通ったのがディジタルハリウッド社が原宿に開校したG’s ACADEMY(ジーズアカデミー)で、起業志向のエンジニアを対象に経営の基礎やプログラミングなどを教育し、スキルの多様化や人材の流動化に対応した実践教育の場のようです。建築だけでなく若い技術者のスキル向上等にこのような実践的な拠点が地方に作られる必要があることを改めて感じました。同校の卒業生のネットワークも事業活動を支えているとのことでした。 - 2024.10.23
「資金調達Pitch ~医療・ヘルスケア・ライフサイエンス編~」に参加。
― 新川崎創造の森KBICと湘南iPark共催のイベントで、6社のプレゼンがありました。最初に、��Zene井上昌洋氏から、ゲノム解析サービス「Zene360」の説明がありました。各個人が持つ遺伝子ゲノムを解析して糖尿病や脳疾患等の潜在的疾患リスクをポリジェニックリスクスコアとして保険者や健康保険組合向けに提供することで、予病と保険料最適化を図ろうとするものでした。更にこれらにより蓄積した情報を製薬会社に提供することで新薬等の開発に利用しようとする計画でした。次に、aiwell�蠶� 晏慈氏から、東京科学大学との共同研究により開発した、細胞内でどのようなタンパク質が作られているか、またそれらのスイッチのオン/オフがどうなっているかを細胞全体で調べ、二次元電気泳動法で画像化し健康体と疾病者との比較を行い分析するAIプロテオミクスサービスについて説明がありました。更に医療分野だけでなく食品開発まで広く利用できる蛋白質解析技術サービスについても説明をしていました。次にエルピクセル�蟆弾Ｍ桓�氏から、現在ライフサイエンス領域では画像データのオーバーフローが起きており、これを同社のライフサイエンスと画像解析双方に強みを持つ技術者が解析を請け負うことで、診断と創薬を支援するという事業の説明がありました。技術者が70名近くおり、新しい専門集団の事業展開だと思いました。次に��iMedX岩田 淳氏から、診療報酬改定で生活習慣病指導管理に重点を置くことが決められ、これに対し医療現場の「指導品質」と「効率化」両面を支援する「生活習慣病DX」β版の販売を行い、更に機能追加等を行った正規版を開発販売するとの説明がありました。入力を簡素化するとともにその結果から指導概要を自動作成し、医者が最終的に指導の優先順位を判断するということのようです。次にLifeAnalytics�蟲彿歸賃膕雹瓩�ら、医薬等研究開発の基礎データを収集し画像解析学習を自動化するクラウド型統合解析システムIASと、主にがん遠隔確定診断をするIAS−Pathoの説明していました。開発ティームは国際人材からなり、日独米に拠点を有しているとのことでした。最後に、eightis�蠱翅赦陀啝瓩�ら、スポーツトレーナーの集合知を見える化し最適なトレーニングメニューを提案しているサービスの説明がありました。同社はKBICのイベントで良く登場する会社です。以上、最初は似たような技術でありサービスだと思いましたが、少しずつ専門性が異なっており、面白いと思う反面、競争も激しいと思いました。 - 2024.10.21
2024年度第2回エッジ茶論「セルロース系複合材料の開発と社会実装〜CNF・MFCの最新動向」に参加。
― 新川崎創造のもりのナノ技術等を議論するセミナーで、今回は、静岡大学グローバル共創科学部准教授青木憲治氏から、「セルロース/樹脂複合材料の開発〜〜ナノの可能性・ミクロの実用性〜」として、環境負荷の少ないバイオマス素材として大きな期待が寄せられているセルロースナノファイバー（CNF）やミクロフィブリル化セルロース(MFC：繊維幅がナノからマイクロオーダーにカスタマイズ可能なセルロース繊維)と樹脂との複合材料の開発課題について説明がありました。水性のセルロースファイバーと油性の樹脂はそれら自体では水と油でこれらを混合しても複合材料にはならず、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAPP)を添加する必要があり、所要の機械的物性等と添加剤含有量の関係や、MAPPの網上ネットワーク構造等と分散量との関係等を明らかにして、両者が均一に混ざり強度を達成できる開発進めているとのことでした。ただ青木氏の問題意識は単に実験室的な複合材料化に止まらず、バイオマス材料の植林から育成、切り出し、粉体化の循環と、廃プラスチック群からPPの選別、再生化の循環の経済社会的なメカニズム・システムを如何に可能にしていくかにも及んでいて、元企業に居た技術者らしい問題意識だと思いました。 - 2024.10.17
ロボット革命・産業IoT国際シンポジウム 2024に参加。
― ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会(RRI)主催で、欧州では既にデータスペースの実装が進み実用段階に入っているとの認識に基づき、「Call for Action: 社会イノベーションに向けた製造変革」をテーマに、具体的な取るべきアクションは何かを議論するシンポジウムでした。時間の関係で第二セッションに参加しました。ドイツから参加のThomas Haan(PI4.0/IMX/Siemens)氏からは、Industry４.0が進みつつあるなかで中小企業への導入を如何に図るかが課題だとの認識が示されていました。米国から参加のRagu Athinarayanan氏(Purdue大)からは、連邦政府やNIST等の機関が分担して工業の情報化を進めているとの説明があり、また、日本を代表しての木村東大教授からも各省や政府機関の分担により工業の情報化進めているとの説明がありました。事務局(野中洋一氏日立製作所)から、米国における工業部門の労働生産性の伸びを数字で示し、2000年までは順調に工業部門の労働者一人当たりGDPが上昇してきたもののリーマンショック以降完全に横ばいとなっており、また、この間に工業部門の輸入は増大している数字を示し、工業セクターにおける情報化が遅れており、かつ、主に中国からの工業製品輸入もその要因となっているのではないか、従って、生産性を上げ付加価値を上げるためにも情報化を進めて行く必要があるのではないかとの問題提起が示されました。これに対し、Athinarayanan氏からは、再度、政府や各機関の取組みが紹介されました。同氏の大学は中西部にあり、工業集積が高いとのことでしたが、具体的な輸入代替や労働組合の対応などは説明が無かったと思いました。他方、Haan氏は中小企業への導入にフラウンフォファー等の機関の役割等を強調していましたが、ドイツ他主要国の工業部門の生産性の推移は情報が無く、また、ドイツ以外の各国における現状やドイツの他国への支援等には触れていませんでした。我が国についても木村氏からは各省の分担などを再度説明していましたが、具体的な取り組み例などは紹介されませんでした。更に、工業部門における情報化のための人材育成についても、ドイツのデュアルシステムの紹介はありましたが、日・米からは具体的な話は出てきませんでした。総じて、工業部門の情報化の具体的課題についてはドイツからも説明がありましたが、日・米は抽象的な説明に終始した印象でした。同時通訳の限界もあり、議論を追いかけるのには苦労がありました。残念でした。 - 2024.10.10
物流DX未来会議2024に参加。
― 24年問題と大きく取り上げられている物流の課題解決を考えるセミナーですが、時間の関係で、次の２つの話を聞きました。最初に、日本ロジスティクスシステム協会（JILS）理事・総合研究所所長北條 英氏から、「「CLOの要件」特定荷主が向き合うべき最重要課題」として、「CLO」（物流統括管理者）は新物効法によって特定荷主事業者に選任義務が生生じ、どのような人材を、どのような役割を果たすべく、選任していくべきかの説明がありました。従来、企業における物流担当責任者は物流部長などの現場の古参の者が多かったが、今後は、不安定化するグローバルサプライチェーンに対処するともに、物流領域を超えて、調達・生産・営業までを経営視点で統括する(視野に入れ意見を言い責任を負う)のがCLOの使命となり、発注者への責任のみならず、発注側の物流業者への責任も持つ、幅広い重要な役割を担うこととなるとのことでした。安全保障に絡む輸出入や国際紛争の波及への対処など、まさに取締役の一員として重要な責務を負うことが理解できました。更には、大手の下請け等への発注側責任も大きく変わることは重要だと思います。次に、カワキタエクスプレス�蠡緝充萃�役川北辰実氏とX Mile(クロスマイル)��COO渡邉悠暉氏から、30人規模の物流会社で、百数十人を採用してその中で定着率を上げ30代前後の若手を中心としたドライバー主体の会社としてきた社長川北氏の熱意溢れた経営・人材育成の話を聞きました。組織をフラット化し、管理部門は徹底的にIT導入で少数精鋭とし、ドライバーの人件費を増やし、社長が直接面接し、初心者を主に採用して社内教育を徹底し、と、川北氏の考えが従業員に徹底している様子が伺えました。このような同社には、X Mile社のサービスを主体的に導入し、使いこなしていくこととなり、X Mile社の事業も生きてくることを感じました。 - 2024.10.8
第261回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 最初は、オールコンパス�蠑床�直紀氏から、輸入自動車やクルーザーなどの高額な商品の既存顧客・潜在顧客からの問合せや要望に対し即時返答ではなく一定内時間に丁寧に対応することで顧客満足感を高め販促を進める代行サービス「アシレック サポートクルー」について説明がありました。創業者は行動経済学の知見があり、心理学の側面も含めたビジネスプラン開発を目指しており、訓練を受けた同社のサポートクルーが顧客単価の高い商品について時間を掛けて丁寧に対応することで関心を高め、現場の営業担当者の負担を減らすとともに、遣り取りする文字データを蓄積してデータベース化してマーケティング等に活用していこうという狙いだということでした。代行を行うサポートクルーは、事業経験を有しながらも結婚等で退職した者で、フレックスに仕事が可能になるという効用もあり、面白いアイデアだと思いました。次に、メディサイエンス・エスポア�蠑硝楾睫聖瓩�ら、酸素包接水和物として酸素を飲んで体に補給するWOX®(ウォックス)の説明がありました。水素結合による水分子のかご状構造の中に他の物質の分子が入り込んだものが包接水和物(clathrate hydrate)で、酸素分子をかご状構造の中に入れたものを酸素包接水和物と言うようです。水・ガス(酸素)・低温・高圧の四つの条件を満足させて製造するようですが、技術の詳しい説明はHPにもありませんでした。創業から20年経過しており販売実績も相当あり、2014年に販売専門の�螢Ε�ックスを分社化するとともに、啓蒙の一環としてNPO法人QOLサポート研究会に協賛も立ち上げているとのことでした。説明には第三者の医師の評価が無く、その点、疑問も残りました。最後に��SteraVision所 武彦氏から、FMCW (Frequency Modulated Continuous Wave)LiDARの開発に成功するとともに、見るべきところを見るのに必要な情報処理プログラムを開発しているとの説明がありました。自動運転に従来使われてきたToF LiDAR(レーダー光が行って戻ってくるまでの時間で距離を測定)は遠距離測定や他車の情報との混線の問題があり、時間差を置いて周波数を変えて発信したレーダーを受信した際の数差やドップラー効果から正確な距離が測定できる同方式を開発したとのことです。また、一度に多量のピクセル情報を取得できるように並列処理を可能とする光集積ICを開発し同時に４つの信号を検出できるようにしたとのことでした。更に、同時に光学カメラによる画像情報を解析し正確に認識できない画像域(Bounding Box)の情報をFMCW LiDARに伝えその域を正確に計測する情報処理システムを開発し、これによって見る必要のあるところを見ることで、効率的に処理ができるようにしたとのことでした。同社は本年７月の第90回つくば発研究シーズ/ベンチャー技術発表会に登壇し、「見たいところを見たい精度で見る人の目のような機能を持つLiDAR」とのタイトルで事業説明を行っており、その際は時間も短く資料が手許にないため良く理解できませんでした。今回、レーダーやカメラの情報を複合的に処理するソフトウェアも併せて使用することでタイトルのように実現したとのことで、理解に一歩近づいたと思いました。 - 2024.9.27
新川崎Future Societyリバースピッチに参加。
― 新川崎KBICのイノベーション創出チーム主催による、大手企業側がスタートアップに対し連携と提案を求めるイベントでした。最初は日本郵政キャピタル�蠡�立崇彰氏から、日本郵政グループが有する多様な事業と資産(郵便・物流、金融、不動産等)とのシナジー創出の可能性があるスタートアップと連携をしたい、あるいは投資をしたいとの説明がありました。過去はミドルからレーターでの出資がメインであったものをアーリー段階での出資支援に方針を変えたとのことでした。次にテルモ�蠱櫺�真梨氏から、採血に伴い看護婦や検査技師が採血した血液による感染を受ける例が多く有り、これを防止できる器具・材料などの提案を求める説明がありました。次にニデック�蟯瀚棔／浸瓩�ら、自動車部品から電子機器部品に至る大小のモータの効率向上、非マグネットモーターの開発技術の提案を求める説明がありました。最後に�蠹臘点什扈衒身�美子氏と小川理恵氏から、宝石や類似鉱物の非破壊的な分析・測定手法、その結果のデータを読みとり解説できるソフト、測定時の固定用アタッチメントの提案を求めるとともに、本年2月に同じくKBIC主催のイベントで登壇し、ある高性能最先端機器の結果を非専門のユーザーでも読み取れるソフトの提案を求めたところ10数社応募があり現在4社と個別具体的に検討を進めていることの説明がありました。今回は、具体的なニーズを説明する2社と大きな事業枠を説明した2社に分かれましたが、スタートアップ側として、開発の実績がある程度あるのであれば前者の方がやり易く、時間も節約できるのではないかと思いました。特に島津の前回の例がそれを示していると思います。後者の2社は、極めて大きな組織であり、余程窓口になる部門が事業領域も理解し、調整に熱心でないと、スタートアップとは噛み合わないのではないかと思います。 - 2024.9.27
LiDAR技術の現在地―最新技術と今後の課題―に参加。
ー LiDARはレーザー光を照射し、その反射光の情報をもとに対象物までの距離や対象物の形などを計測する技術ですが、自動運転、ロボットなどの分野で応用が進んでおり、その現状、動向、今後の課題などについて、芝浦工業大学発ベンチャーである�螢魯ぅ僉璽妊献織襯張ぅ鵑琉謀貮夘�CEO(同大元教授・現特任研究員)と新熊亮一CTO(同大教授)から説明がありました。最初に伊東氏から、LiDAR（Light Detection and Ranging)の歴史の紹介がありました。早くも1956年に米国で自動運転のアイデアが出されその基幹となったのがLiDARですが、対天候性(雨などで探知ができなくなる)、解析応答遅延などからその後は電波レーダーが主力となったとのことです。その後DARPAの重点支援技術として採択され、発光ダイオードによるレーザー光を使うことで2000年に入って実用化に近づき、ホンダレジェンドなどが現在レベル３の自動運転車として生産されているとのことです。最終的に自動運転には、自動車が走っている周囲の物的な環境を情報化する必要があり３次元地図が作成されていることが前提で、走行時点での自車の位置情報と周囲の環境(３次元地図)との応答で場所を決め、カメラ画像情報も併せて障害物を探査することなどで、自動走行できるインフラ整備などが必要になるとのことでした。先日の電通大でのセミナーで内閣府プロジェクトSIP第２期自動運転プログラム・ディレクター葛巻清吾氏からこの点の説明がありましたが、伊東氏の説明が補足をしてくれました。次に、新熊氏から室内や倉庫・工場内で移動する際の車椅子や運搬ロボットを自動運転可能にするために、限られた空間にLiDAR発信装置を複数置き、その空間内で動いているイスやロボットを探知してそれらの自動運転を可能にする技術開発の説明がありました。イスやロボットの形状を識別し複数の物体が動き回っている状態を常時トレースして状況を把握し、衝突寸前にこれを回避できるシミュレーションソフトができあがっているとのことでした。新熊氏には、大分前に芝浦工大のBOiCEのセミナーで話をきいていますが、伊東氏の説明も併せて聞くことで、同社の狙いが少し明確になったような気がします。路上等の開放空間、特に都市部の自動運転には３次元地図の更新整備が必要でこれには膨大なコストとその負担の問題が付いて回ります。ただ、新熊氏のねらっている私的な完全閉鎖空間におけるLiDAR敷設のコストと費用回収は特定しやすいのがメリットと思いますが、歩道などの中間領域における費用負担はナカナカ上手い解決方法が無さそうです。 - 2024.9.25
電気通信大学第131回研究開発セミナーに参加。
― 久しぶりの電通大のセミナーで、人・物の移動の自動化に必要となる自動運転及び運転支援を支える基盤的な各種技術の研究を紹介するセミナーでした。最初に、内閣府プロジェクトSIP第２期自動運転プログラム・ディレクター葛巻清吾氏から「自動運転実現に向けた日本政府の取組みと今後の展望」として、トヨタで長く車両安全の技術開発に携わってきた同氏が2016年にプログラム・ディレクターに就任して以降、自動車、地図業、情報・通信等の企業と関連官庁の付き合いと調整を重ねて、東名第二での実証試験の計画に至るまでの広範な活動について説明がありました。まず、自動運転の基盤となるディジタル三次元の地図の作成に着手し、更に個別の自動車企業を跨る標準化、通信との規格の整合性等々を進めた経緯を解説していましたが、企業の縦割り、業界の縦割り、官庁の縦割りの現実を改めて認識しました。米国では自動運転タクシーの実用化が目前となっていることとの差に触れる同氏の説明に苦労を感じました。開発資金の圧倒的差と開発手法の差(積重ねと着手先行問題後処理との差)は文化・国民性を超えて大きく、イノベーションの彼我の違いを認識させるものでした。大学側からは最初に、情報理工学研究科機械知能システム学専攻菅 哲朗氏から「外界の正確な認識のためのシリコン製赤外線検出デバイスの研究開発」として、MEMS技術を活用し、夜間や悪天候等で必要な障害物等の認識を高める赤外線を感知するデバイスを開発している状況の説明がありました。赤外線からの情報と通常の可視光線による情報等の統合を行うソフトの開発についても説明がありました。次に、情報理工学研究科機械知能システム学専攻増田 宏氏から「車載レーザスキャナで取得した点群からの道路周辺物体の検出技術」として、車載のレーザスキャナとカメラによって得られるレーザー点群情報と画像情報を統合させて、３次元地図を作製するほか、道路周辺の構造物や道路付設物の現状を把握し診断等を行う研究開発について説明がありました。最後に情報理工学研究科情報・ネットワーク工学専攻木寺正平氏から「ミリ波車載センサのための高分解能イメージングと多重散乱波に基づく見通し外歩行者識別」として、ミリ波の透過能力を利用して物体の後ろに存在する人間等の行動を感知して安全運転に繋げる技術の説明がありました。これらの研究に必要な装置等は先端的かつ個別的なもので高価なものとなるためそれら装置を生産する企業との共同研究を追求せざるを得ないことが説明の端々に伺え、大学の厳しさを感じさせました。 - 2024.9.20
一般社団法人MBD推進センター2024年度公開フォーラムに参加。
― 略称JAMBEは、自動車産業のモデル利用開発を進めるために経産省が主導して2023年に設立されたもので、「モデルベース開発技術を広く普及展開し、モデルを用いた高度なすり合わせ開発（SURIAWASE2.0）を実現することにより、日本の自動車産業の国際競争力向上に貢献する」ことを理念としています。発足して１年半経過しておりまだモデル自体は発展途上ですが、現状を会員(自動車業界)以外にも公開するとともに、会員間の共有・協働利用を進めようとするものでした。時間の関係があり、ヤマハ発動機株式会社デジタル開発統括部MBSE推進部椴山由貴氏による「ヤマハ発動機におけるMBD実践状況とJAMBEへの期待」の講演を聞きました。同氏は開発の横断的な立場にあり、幾つもある個別車種や部品の開発部隊からの問い合わせへの回答、相談への助言等を行う立場にあって、少しづつ全社での利用が進んでいる中で、ハードウェア面でのモデル開発が主体となっていて、これに合わせてのブレーキ・操作での制御系ソフトウェアの開発との連携をどうするのかが大きな課題のように感じました。質問もこの両者の関係、並行的な開発の問題に集まっていました。次に、モデル流通推進の各活動の紹介として、モデル流通推進委員委員長から全般的な紹介、MBD教育カリキュラム、プラントモデルIFガイドライン - テンプレートモデル作成ツール、モデル流通プラットフォームについて個別の紹介がありました。モデル開発と言う概念は理解していましたが、自動車業界と言う巨大産業あげての大プロジェクトであり、同じ自動車業界の中での自工会や部品工業会との関係、二次・三次等の部品企業との関係、大手や部品企業の有する社内ノウハウと共同開発モデルとの関係、ハードとソフトとの関係、利用する各層企業の従業員の習得度や熟知度の差、等々多様な問題があることを改めて感じました。特に、中国企業との競争、分断されている各層企業の連携や使い手の教育、更にはEV化によるパラダイムシフトなど喫緊の課題にどのように対応していくのか、大変な状況にあることが良く分かり、同じ自動車大国であるドイツにおけるモデル開発にも興味を有しました。 - 2024.9.19
芝浦工業大学 JST新技術説明会に参加。
― 対面開催のみで、コロナ以来の数年ぶりの現地参加となりましたが、参加者も少なく、大分雰囲気が変わったと感じました。最初に、システム理工学部生命科学科中村奈緒子准教授から「細胞の状態の変化を生きたまま高精度に評価できる！」として、生きた細胞の形状変化を顕微鏡で３次元観察して取得した三次元形状データ及び位置データのデータベースを作成し、機械学習させて得たモデルによって、新たに観察する細胞の状態の変化の一連の流れを評価することが可能となったとの説明がありました。ある細胞を対象に学習させたモデルで当該その種類の細胞を生きたまま簡単に評価できるところに特徴があるとのことですが、別種の細胞には適用できず、細胞種類ごとにデータベースを作り機械学習させる必要があるようで、合理化・効率化にはまだまだ時間が掛かると思いました。次に、工学部電気工学科重宗宏毅准教授から「選果の省力化に貢献する寸法・規格を提示するウェアラブルデバイス」として、いちごの収穫・出荷作業を対象に、デバイスを手に取り付け、指でいちごを挟んだ時の親指と人差指との距離情報、重量センサによる情報を処理して、現場で即、収穫分別ができるシステムを開発したとのことでした。品種に応じた果径との相関式を活用することで規格を決定するもので、ミカンやアスパラガスへの応用も検討しているとのことでした。同準教授は、昨年はオリガミ工学の応用事例を発表していましたが、分野は異なるものの現場に近いシステムに焦点を当てているようです。最後に、システム理工学部電子情報システム学科三好 匠教授から「学習モデルの段階化による分散機械学習の効率的実現手法」として、機械学習(いわゆるAIによる分析)には収集データへの適合性を高めるためのパラメータの調整(学習)によってモデル式の高度化を図る必要がある。しかし、これには膨大な時間とエネルギー要するので分散型機械学習(連合学習)が進められているが、これを小型モデルから始めて順次モデルサイズを大きくすることで、精度を上げ時間・エネルギーを節約する新方式を開発したとの説明がありました。どの程度の精度をどういう時間制約の中で求めるかと言う観点からは面白いシステムだと思いました。時間の関係で最初の3つの説明を聞きました。AIと一括りにしている仕組みの中での課題や解決策への取組みを聞く機会となりました。 - 2024.9.12
大田区加工技術展示商談会に参加。
― 大田区産業プラザPIOで開催された非常に特徴・特色のある企業100社が集まった展示会でした。時間の関係もありその中から次の7社に話を聞きました。最初に、精密板金の協和工業�蠅�ら、プレスレスフォーミング工法について説明を聞きました。プレス用金型を用いず受け用のダイの上に置いた金属板を上からの点圧力と点の移動速さで制御しつつプレス加工を行っていくという方法で、試作品作成や金型では無理な複雑形状加工、板厚や材質の選択等の多様なニーズに対応しているとのことでした。国内でも同様の技術を有して加工できる競業は数社程度とのことで、まずはその力に驚きました。次に、精密板金筐体一貫製作の�蠹豎�製作所から、半導体装置から鉄道設備部品、食品製造装置部品など大小の金属箱型、円型の筐体を、金属プレスから、溶接、表面塗装、表面印刷までを一貫して行っている話を聞きました。確かに大小さまざまの筐体を加工成形していますが、筐体成形は技術の一部であり、同社の器用さ幅広さに驚きました。次に、プレス金型製作や配線器具の�訐穎妥典＼什扈蠅�ら、「できない理由を考えるよりどうやったらできるかを考える」をモットーに、量産品から一品小物までのプレス板金加工、協力工場と一体となった配線器具の製作・組立等を行い、近年には韓国の情報配線器具メーカーや電線メーカーとのパートナー契約を結んでいて、地味で縁の下の力持ちではあるものの多様な製品作りを行っている話を聞きました。次に、用途に応じて多様なゴム材料を加工する�螢魯織世�ら、材料の配合、金型の製作、試作までを、CADデータを顧客に代わって自前で制作し製造しているとのことでした。サンプルだけでも実に多種多様なゴムの部品があり、大小・太い細い・硬軟・色彩等様々でした。よくここまで細々したニーズに対応しているものだと感心しました。次に、機器用ワイヤーハーネス制作の�蟾囲妥添犲劼�ら、精密機器・医療機器の内部に用いる繊細な配線から外部機器用の配線まで、太い細い・長い短いの多様な配線を、端子加工付けを含め製作している話を聞きました。更に、３D−CADによる顧客データの利用、製造時間の短縮等を図り、コネクター部分を多色３Dプリンター成形をして誤配線防止を図るなどを行っているとのことでした。次に、航空機・自動車・医療機器部品の熱処理を行う�蠑綸臟�処理工業所から、超大型の一品物の熱処理から、溶融塩による急速・急冷熱処理、真空炉処理など多様な設備で、熱処理を行っており、日本で唯一に近い技術力を有しているとの話を聞きました。現代の名工や東京マイスターに選ばれた技術者５名のほか熱処理技能士が40名いて、他社の追随を許さないまさに技能集団ですが、若手後継者の問題に悩んでいるとのことでした。同社のことは以前に耳にした記憶があるのですが、改めてその凄さに驚きました。最後に、曲げ加工で不可能なモノを作る�螢泪殴肇奪廚�ら、バネ・スプリングを始めとして、パイプ曲げ加工、板材の捩り曲げ加工、薄板材U曲げ加工の大小部品を、自社開発の治工具で製作している話を聞きました。将に大小、複雑で美しい形状の製品が並べられており、しかも材料が鉄、チタン、アルミ等多種の金属材料に対応していて、圧倒されました。更には、金属製のメッシュや網も複雑に曲げられるとのことで、ノウハウの固まりと言えます。以上の7社はいずれも素晴らしいもので、我が国の製造業のみならず情報、医療等の基盤を形成している企業群で引き続きの奮闘を願うとともに、若い人材が育って欲しいと思いました。経済安全保障が、半導体や電池分野で語られていますがそれを支えるのもこれら企業群で、広く関心を持たれるべきと思います。試作については産業プラザPIOに対応窓口があるようですが、今回話を聞いた企業も問い合わせがあれば仲間の企業と対応しているとのことで、心強く思いました。最後に講演会があり、JAXA斎藤俊哉氏から「宇宙ロケットの構造と製造について、これまでとこれから」として、過去の開発の歴史と機体製造に大田の工場の協力があったことの説明がありました。大手重機械企業が直接には関わっていますが、大田の企業も参加している様子が分かりました。 - 2024.9.11
第18回 自動車技術に関するCAEフォーラム 2024に参加。
― 東京大学モビリティ・イノベーション連携研究機構(UTmobI)が主催する自動車開発のCAE技術の専門フォーラムで、2015年に日本大学生産工学部自動車工学リサーチ・センターの景山教授が中心となって立ち上げ、2021年2月に東京大学本機構が主催を引き継いだものです。今回は、フラウンホーファーEMI(エルンスト・マッハ研究所）Crash Center Dr. Malte Kurfissの「自動車衝突試験における高速X線動画撮影技術(High-Speed X-ray videos for car crash testing)」を聞きました。衝突時の車体等の分析・解析は自動車の安全性向上に欠かせないものですが、車体内部におけるダミー、シート・窓・シートベルト等の衝突瞬間時の状態・挙動を把握するために、線形加速器を設置して通常4マイクロ秒のパルス長で連続的にX線パルスを生成させ数十m/sの現象を連続的にX線撮影することが可能となったもので、これによって得た実車内のダミーやシート・窓・シートベルトなどが変化する画像を見ることができました。本試験は、ホンダのほかベンツ、VW、シーメンス等が参画して行ったものですが、巨大な建屋内に、線形加速器を設置するなどフラウンホーファーの実力を感じ取れました。残念ながら我が国ではここまでの力のある研究所が存在せず、ドイツの機械工業、自動車産業の強さと産学の連携の強さを示すものでした。併せて、White Hart�螳ど�典行氏から「Catena-Xデータ連携基盤におけるプロセス記述の課題」を聞きました。情報は単純なツリー型ではなくセミラティス型(網状交差図式)を取るものであるためにデータの構造化を図るためには困難性を伴う。更には、自動車製造で進む情報化とデータ構造化による情報処理とその結果による制御等を行って製造を進めるには、型式承認的な結果の審査だけではなく、データ処理のプロセスそのもの(構造化処理の適正さ)を確認する必要があると言うように理解しました。AIと一言で片づけてられている問題への指摘のように思いました。 - 2024.9.10
第260回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 定例の横浜MINERVAの発表会で、第260回になります。最初は、��VFR株式会社芳賀英樹氏から、ドローンやロボティクスなどの普及に向けて、これらに関する開発支援、調達最適化、製造受託などの一連の事業を行っている説明がありました。アメリカ/ヨーロッパ/イスラエル/シンガポールなどの海外のスタートアップとの事業を展開しており、更に事業会社等とのオープンイノベーションにも取り組んでいるとのことでした。創業者にソニー関係者が居ることも有り、ソニーの工場を利用して、製造・組立を行っていることが強みの一つのようです。まだまだ立ち上がりと思っていたドローンについて、企画、設計、製造、保守などを一貫して受託し提供する企業が出てきたことは普及・一般化の節目に来たと思うのと、今後安全保障問題もあり事業の難しさも出てくる一方で同社のようなプロが育つことが安全・確実な利用に繋がるのかなと思いました。次に、 vizo�螢曄次Ε侫�・クーン氏から、長年の画像認識や多様な情報処理技術に携わってきた経験を活かして、画像認識技術に特化した製品とサービスを事業化していることについて説明がありました。現在20種類以上のAI画像認識技術を開発しサービスとして提供、製造現場や小売業など400箇所以上で導入利用されているとのことでした。同氏は、ベトナム出身で日本では大学や研究開発勤務など30年以上の経験を有するベテランです。川崎でアジア起業家村の集まりが盛んであった2012年に同氏の講演を聞き、また本年2月には約10年振りで開催された起業家村の集まりでパネリストとして出席していました。MINEVAに登板し、再会となりましたので、奮闘を祈ります。�螢肇疋�ナダ白石達也氏から、PR効果測定サービス「Qlipper」の説明がありました。リアルタイムでデータを収集・分析し、結果を視覚的に表示することで、PR活動の成果を分かりやすく把握できるのが特徴とのことで、広告費に資金を投じる余裕のないスタートアップにとって、手軽で効率的なPR戦略の手段となると良いと思いました。 - 2024.9.3
横浜国立大学先端科学高等研究院主催「第9回 IoTセキュリティフォーラム 2024」に参加。
― 時間の関係で一部の参加でしたが、横浜国大が３日と４日の両日に亘って開催する本格的なセミナーで、工業分野から住宅・建築物、船舶、通信分野などに必要な情報セキュリティの課題と対策について取り上げたものでした。参加したのは、３日の講演から、経済産業省武尾伸隆氏による「産業分野におけるサイバーセキュリティ政策（IoT製品に対するセキュリティ適合性評価制度等）について」、�蠧�立ソリューションズ扇 健一氏による「工場のDX化に不可欠なOTセキュリティ〜IT・OT・IoTが混在する環境におけるリスクの可視化と管理〜」、テナブルネットワークセキュリティジャパン社阿部淳平氏による「ようやく始まった IT/OT セキュリティ対策〜テナブルの事例から学ぶ」を聞きました。主に、製造業工場におけるセキュリティ対策の必要性と対策ソフト等の説明でした。インターネットで繋がるIT(情報技術)と言われる外部との安全対策と、工場等の稼働に関わるOT(オペレーティング技術)と呼ぶ内部での安全対策との両者を如何に効率良く進めて行くかが課題ですが、昨今のDXの言葉で語られる情報化の明るい面(生産性向上)に隠れたセキュリティ係る重たい投資も必須であるので、DXではない適切な用語が必要だと思いました。更にはこの問題は、海外投資先との連携や連携・協業企業との共同作業が必要になるものであり、投資先の国情や情報環境によっては、投資国の変更にも繋がるもので(サプライチェーン等の見直し)、しんどい課題です。また、先日、LOGISTICS TODAYが主催した物流における荷主、買主、倉庫業者、輸送業者等の協業の深化についてのシンポジウムを聞き、各論に突っ込んでの議論が少ないことに不満を感じた次第ですが、異業界・異事業者を跨るセキュリティ対策も必要となってくるので、各論の議論が難しい背景には本件セキュリティ問題も存在するのだろうと納得しました。主催は横浜国大ですが、進行手続きやテーマ設定等は大学を超えた本格的なITコンサルのセミナーのようでこれにも驚きました。 - 2024.8.27
第52回新産業技術促進検討会シンポジウム「AIを活用し、人と人、人とロボットが距離の制約を超えてつながる社会の実現〜『AI』×『リモート』×『ロボット』×『人』をキーワードにNEDO事業の研究成果をご紹介〜」に参加。
― モノ作り日本会議が主催するNEDOの事業説明会で、今回はNEDOのAI・ロボット部が進めている技術プロジェクトについてでした。個別案件の最初は、電気通信大学助教・株式会社ChiCaRoプロジェクトリーダー阿部香澄氏から「ロボットとAI技術がつなぐ育児・発達支援の輪〜説明できる自立化インタラクションAIの研究開発と応用〜」として、一緒に住んでいなくてもみんなで育児をする「遠隔協同子育て」文化の実現を目指し、０歳から３歳児が遠隔地の祖父母等の顔を見て相互に会話をする子育て応援ロボットChiCaRoの説明がありました。次に、株式会社SIGNATE齊藤 秀氏から、「NEDO Challenge：Motion Decoding Using Biosignals〜人間の運動活動中の脳波・筋電等による動作予測〜」として、NEDO懸賞金活用型プログラム“NEDO Challenge”の概要とスケートボードランプを走行中のスケーターから取得した生体信号から次の姿勢や運動モードなどの挙動予測を行うアルゴリズムの競争開発を行うMotion Decoding Using Biosignalsの説明がありました。同社は本プロジェクトの企画運営を受託しており、NEDOとしては、懸賞金を代償に優勝したアルゴリズムをNEDOが取得しオープンソース化し、人類似ロボットに必要な実環境ブレイン・マシンインターフェース（BMI）の実現を目指すとのことでした。次に革新的リモート技術開発プロジェクト採択案件のうち、名古屋大学下田真吾氏から人工知能活用による「空間の制約を超えて人と人の心を繋ぐロボティクス〜遠隔触診システム開発から探る人と人の繋がり〜」について、産総研竹井祐介氏から「極薄ハプティックMEMSによる双方向リモート触覚伝達AIシステムの開発」について説明がありました。最後に株式会社分子ロボット総合研究所小長谷明彦氏から、「AIとVRを活用した分子ロボット共創環境の研究開発として、DNA等を利用し合成した分子ロボットを用いるナノスケールマニピュレータ（関西大学葛谷明紀研究室）や微小管群ロボット（北海道大学角五彰研究室）の開発に合わせて、遠隔の仮想空間で分子ロボットを操作し利用するために遠隔処理で生じるネットワーク遅延を解消する技術の説明がありました。NEDOの幅広い先端分野の成果発表会であり、耳にしたことのないNEDO技術開発プロジェクトの一端を知ることができました。 - 2024.8.23
2024年度新川崎・創造のもり第1回エッジ茶論『次世代に向けた半導体産業の展望』に参加。
― 従来のナノ技術の紹介ではなく、今回は、半導体産業復興へ向けた動きの一つとして、熊本大学半導体・デジタル研究教育機構青柳昌宏氏から、「先端半導体ファンドリの誘致成功に沸く熊本 半導体産学連携エコシステム構築の試み」として、熊本大学における半導体関連人材教育等の動きなどの紹介がありました。TSMCの立地の動きに対応し、同大では2022 年から研究教育センターの設立準備を開始し、20名ほどの教育陣を学内外からアサインし、30数名ほどの卒業生から70名程度へ卒業生を増やすとともに、更に28年頃には140名程度の卒業生を育成していく取組みが動き出しているとのことでした。県には熊本高専と県立技術短期大学があり、このうち高専からは学生を編入入学させて卒業生の拡大に繋げるとのことでしたが、短大との連携には触れていませんでした。また、他大学との連携では、東大の名前が挙がっていましたが何故か地元の九大等の連携は無く、九州地域全体の取組の視点が無いと思いました。他方、熊本には既に東京エレクトロンとソニーが立地しており、それらとの協力やソニーOB との共同研究なども触れていました。今年1月には北大学長による同様の講演を聞きましたが、北海道には従来、半導体企業の立地が無く研修用の大規模クリーンルームも手当てしないといけないという深刻な課題に触れていたのに対し、同大には既存集積を活かせる点が有利であろうと感じました。ただ、TSMCの最先端生産工程では、機械装置をいかに正確に動かすかのプログラムの重要性・ウェイトが圧倒的に大きくなっており、プログラミング教育が必須と考えますが、ソフト面については説明が無いのが残念でした。青柳氏からは他に、氏が長年取り組んできた三次元積層技術の説明がありましたが、標題のエコシステム構築との点からは物足りなさを感じてしまいました。今後の地元の関係者の奮闘に期待したいと思います。 - 2024.8.22
日本大学生産工学部自動車工学リサーチ・センター(NU-CAR)「“ドライバのいる”コックピットを考える」シンポジウムに参加。
― 自動車に関する基本的な技術を対象に国際動向も含めて研究成果を発表するシンポジウムであり、久しぶりの参加でした。今回は主に自動運転や運転支援のシステムについての発表でした。最初に、見坐地一人数理情報工学科特任教授から「遮音ガラスの１Dモデル化に関する研究」として、EV化によって顕在化した振動音等対し、内部に中間膜を有する平板ガラスを対象に、面積、温度等を変化させて遮音効果がどのように変化するかを車の開発初期段階で(1Dとの趣旨)解析しようとする研究開発の説明がありました。ガラスよりも中間膜の影響の方が大きいとの推定結果のようです。次に、丸茂喜高機械工学科教授から「ヒヤリハットデータベースによる二輪車との出会い頭ニアミスの分析」として、タクシーのドライブレコーダーの05年から23年まで65個のデータをもとに、オートバイが飛び出してくる状況を分析しタクシー側の運転手にどのように事前警告が出せるかを分析した結果の報告が有りました。データ数が少ないため確実な分析は難しいものの、タクシー側への警告よりも、オートバイにカメラを搭載し状況分析し警告を発したり速度を低下させる仕組みを考えるべきではないかとの結論だったとのことでした。次に、栗谷川幸代機械工学科教授から「ドライバ計測の活用法について」として、人に良い機械とは、自動運転の課題とは等を中心に、景山名誉教授以来の大型車から二輪車まで実車実験による車両の運動解析やドライビングシミュレータを用いたドライバ特性の分析を活発に行い、日本人間工学会等の場で広く発表している等の紹介がありました。次に、石橋基範マネジメント工学科教授から「システム／HMIの性能と利用意欲の関係についての一考察」として、運転支援システムへの不満・わずらわしさを分析しドライバーが分かり易く受け入れ易い仕組みは何かを研究しており、事前警告における事前性、ゆとりのある警告における警告音等予防の効果があり心理的効果の高い警告音の周波数等の説明がありました。他には景山名誉教授による6th ROAD(Round Table for the Purpose of Autonomous Driving）の報告がありましたが、時間の関係で聞けませんでした。学生の日ごろの研究等の成果を纏めた内容の報告もあり、折角の機会なので学生からの報告もあって良いのではないか、実務的なシンポでもありメーカーからの参加者も多いので学生にも刺激になり日大らしさも出せるのではないかと思いながら聞いていました。 - 2024.8.2
「資本コストを上回る企業価値向上のための実践的取組とは」セミナーに参加。
― レイヤーズコンサル社の主催で、大阪公立大宮川壽夫教授の講演を聞きました。副題の"短期的PL重視から中長期的BS重視のマネジメント変革“に示すように、現在ブームと言うべき東証や証券会社、コンサルが主導する目標値の設定や財務的な辻褄合わせ的な経営ではなく、イノベーションを起こしそれによる新規技術と新製品、市場参入という中期的、更には長期的なダイナミックな自己変革の取組みが必要だという主張でした。従って、組織は動き変わっていきますから、組織構成員の意識変革も必要であり、資金提供者もハイリスク・ハイリターンの企業活動に資金を投入しているという意識の変革が必要になるということだと思います。我が国おいてそのようなダイナミズムが必要であることがどの程度認識されているのか、我が国の諸規制や税法、会計諸基準等が、このようなダイナミズムを許容しているのか、根本的な疑問を有しながら聞いていました。ちょうど今、知り合いの独立系VCのトップと我が国におけるスタートアップの活動やそれを支えるVCの活動、マーケット(製品の市場と投資資金の市場)の状況が、リスクを受容しつつもリスクが確率的にハイリターンに結び付きうるのかという議論をしており、株式が市場で取引される公開企業も、スタートアップのような非公開企業も、更には社会の圧倒的大宗を占める従来からの非公開企業も、全体的には保守的な意識と行動を取っているのが我が国の基本的な姿ではないかと思いつつ、意見交換しています。やはり我が国の根底にあるのは、保守的で他者に追随的な意識であり、これが経済活動のみならず社会の諸活動を規定しているのだろうと思いました。 - 2024.7.25
KBIC「省人化・高効率化を実現する革新的技術がここに！ビジネスマッチングピッチ」に参加。
― 新川崎創造のもりに入居するスタートアップの事業プレゼンの場でした。最初は、��CoLab川畑晋治氏から、作業労働者の視覚・触覚・学習機能を代替し、治具レス・ティーチレス・画像処理プログラムレスで0.1mm以下の組み立て作業を自動化する産業用AIロボットシステムの説明がありました。細かなネジ締結、FPC挿入、軟体物の把持、金属構造物の組立などの作業を、ロボットのアームの先端にあるセンサーを使い、既存の作業情報と作業時の視覚差分、力学差分を突き合わせて解消することで正確な場所で正確に作業させるという原理のようです。この技術を基に、工場の工程の自動化などのコンサル業務も行っているとの説明でした。次に、シンクロア�蠏�本達也氏から、特殊位相偏光フィルターと光干渉により反射光を消去し、見えない異物やキズを浮かび上がらせる照明技術とこれを使ったコンサルの説明がありました。同社が提供する器具やこれを設置した工程の様子が具体的に示されていました。次に、�螢ぅ�シス山崎文敬氏から、工場や建設現場を巡回して得た諸情報を設計図等と突き合わせて問題を突き止め可視化するロボット技術、ディジタルツイン仮想空間を作って遠隔からロボットを操作し問題個所を特定するサービスの説明がありました。BIM/CIM(Building Information Modeling=Construction Information Modeling/ Management)空間と現実空間を繋ぎ、若手の訓練にも利用するという説明でした。次にTOMPLA�蠧Ｋ楾盪� 氏から、屋内の非GPS空間を飛び配管等の点検を行う小型ドローンとデータ処理技術の説明がありました。勿論屋外のGPS空間での建築物やプラントの点検にも利用でき、省エネ・省人力に貢献するということでした。これらの他に、富士通�蠅搬舅促魯Ε広蠅�ら自社の事業活動を協業できる相手先を探している説明がありました。スターアップは常連ですが、製品の具体的な形状や機能、コンサル事業の内容などが格段に具体化されてきており、今回のピッチでユーザが見つかると良いと思います。 - 2024.7.23
第90回つくば発研究シーズ/ベンチャー技術発表会に参加。
― もう90回になりますが、今回は「最先端センシング技術」がテーマでした。最初は、�螢▲�ューゼ川喜多仁氏から「わずかな水を捉えるモイスチャーセンサと提供サービス」として、従来の湿度計などでは測定できないナノ/マイクロサイズの水滴を、絶縁基板上にフォトリソグラフィで生成した異種金属線上を水分子が跨いで付着した時に流れる電流量で計測するセンサ技術と農業分野での利用例を説明していました。結露前の把握が作物収量や室内環境の制御・省エネにどのように効果があるかもう少し具体的なデータが欲しかったと思います。��SteraVisionra上塚尚登氏から「見たいところを見たい精度で見る人の目のような機能を持つLiDAR」として、機械学習技術、カメラからの映像情報とを組み合わせ必要な部分だけを必要な精度で見ることとして処理するデータ数を大幅に低減した安価な視覚システムについて説明がありました。HPを見ても技術の詳細な説明が無いので詳細は分かりませんでした。刻々と変化する中で見たいところを判断するための瞬時の膨大な情報学習と確定、その上で見たいと思う当該部分の映像情報の学習判断をすると考えますが、基礎学習データを如何に予め用意するのか、不明でした。次にFabSense�螻Ю鄰Ｌ藥瓩�ら、「あらゆる形状に被覆可能で配線不要な触覚センサ「FabSense」」として、ウレタンと磁性体金属粉との合成体が圧力変化によって流す電流量を測定することで触覚(圧感)を可視化するとともに、軟物体を扱うロボットアームへの応用などの説明がありました。厚さが5�个任梁�定も可能とのことですが、薄く加工することで逆に耐用性について気になりました。次に��Qception今村 岳氏から、「膜型表面応力センサ（MSS）を利用したにおいセンサシステム」として、物質・材料研究機構の吉川氏が開発した膜型表面応力センサ(MSS)を応用した事例紹介の説明がありました。匂い分子の大きさ等によって膜が変化することを利用したセンサですが、ある特定の分野・種類の匂いの差を識別することで人間の判断を補完する役割を果たそうとするもので、先に一度説明を聞いた記憶があります。次に��ExtenD北市 充氏から、「溶液のビッグデータを取得するダイヤモンド電子舌センサ」として、高い化学安定性を有し電位窓 (センシングで印加できる電圧領域)が大きく化学センサの電極として大きなポテンシャルを有するホウ素を添加した導電性ダイヤモンド(BDD: Boron-doped diamond）電極を用いて、発酵、熟成、産地、温度によって敏感に変化する酒類の特性を取得し機械学習によって人間の味覚データと結び付けている技術の説明がありました。次に日本原子力研究開発機構北山佳治氏から、「次世代の放射線イメージング技術：低コストで高性能なソリューション」として、太陽光線が届く軌跡から太陽を推定するようにガンマ線源を探索できる小型軽量、広視野、高空間分解能、低コストの技術の説明がありました。次に物質・材料研究機構伊藤海太氏から「非破壊・リアルタイム・簡便・確実・無線：ＡＥ法による製造加工不良の検出」として、振動、高温等の劣悪な作業環境に弱くプロセスモニタリングに適さないとされてきたアコースティック・エミッション（AE）を使って材料の破断・ずれ等の微小な不良の検出を行う技術の説明がありました。長時間継続して取得している情報の微細な変化を把握して異常を見つけ出すもので、無線で遠隔監視ができるものです。同氏は�蠖生郵�業試験場技術顧問としても活動しており、研究と実践を両立させているようです。次に産業技術総合研究所福田隆史氏から「気中ウイルス濃度評価と先進防疫システム構築のための技術開発」として、空気中のウィルス等を収集し効果的に濃縮し検出阻害物の除去を行うサンプル前処理手法PTAS法(Pretreatment technology for airborne specimens)により伝染状態を早期に把握し防除できる技術の説明がありました。医療、農業等の広い分野での応用が可能ということです。全体２時間の中での盛り沢山の発表で付いていくのが大変でした。また、各社ともHPは極簡単で技術の全容をイメージ化することは不可能でした。国研の内容も殆どHPには出て来ず、どのように潜在ユーザと接点を作ろうとしているのか首を傾げる内容でした。その中で、�螢▲�ューゼと物質・材料研究機構伊藤海太氏の技術は、説明資料もHPで取得でき、ユーザ側からアクセスしやすいだろう想像します。全体に面白い技術があったと思いますが、技術側からの発信の工夫が更に必要だと思いました。 - 2024.7.19
大田区超専門技術ミニ展示会「代替合体展」に参加。
― 環境負荷低減や機能性向上に向けた「代替」材料の加工技術や、異種材料の併用・接合(合体)に関する技術に特化し、区産業振興協会(PIO)が羽田イノベーションシティで開催した中小企業20社が参加した文字通りのミニ展示会でした。小規模な展示会なので、身近に企業担当者と遣り取りができ、製品を手で触れられる面白い展示会でした。最初に手に取り話を聞いたのは、引抜鋼管技術とレーザー加工技術の�蟠明逎僖ぅ廚任靴拭Ａ絢圓惑�処理をしたパイプを、精密な設計に基づき製作した外径を決めるダイス金型と内径を決めるプラグ金型を使用し、引き伸ばして特注パイプを創りあげるもので、切削クズなどを生じさせず無駄なく加工できる技術とのことでした。更に同社は、例えば外側はチタン、内部は銅というように異材料のパイプを密着させて注文サイズの多重構造管(クラッドパイプ)を製造する技術も有していました。更に、後者は、平板金属・パイプに複雑形状の穴、溝等を施す加工処理技術とのことでした。海外市場への関心はあるが、従業員が10名ほどで進出には手が回らないとのことでした。次に、ゴムをありとあらゆるサイズと形状に加工するとともに金属、樹脂等の異材料との組合せ・貼付加工を行う�螢魯織世寮宿覆鮗蠅砲掘∀辰鯤垢�ました。金型製作から、成形・成形後の加工、異材料と先に組合せあるいは成形加工後の組合せなど非常に広範な加工技術を有し、一品から大量生産までを行う凄い会社でした。海外市場に関心はあるが、現時点では国内大手メーカーから受注を受け納入した製品が大手メーカーの海外工場で組み立てられているということでした。50人規模の会社で、直接海外人材を採用して海外展開することは直ぐには難しいようでした。最後に、工業用ダイアモンドを利用する切削・研磨加工やミル等の工具製作などを行う�螢轡鵐謄奪�から、話を聞きました。工具製造は他でもやっていますが、ダイアモンドを超高圧環境用に加工するという話には最初はついていけませんでした。東大や東北大、高圧力学会の名前が出て、ようやく、地球内部の超高圧環境を模擬して物性を測定するためのダイアモンドアンビル・セルという実験用のダイアモンド器具を製造し研究機関に納めているという凄いことが理解できました。日本の最先端の基礎研究と大田の従業員30名の企業との繋がりに嬉しくなりました。たまたま話をお聞きした3社は六郷にあり、また、六郷ベースを訪問して、周辺の企業についても聞いてみたいと思い、参加を終えました。 - 2024.7.9
第259回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 最初にGuide Robotics�蟇Ь襦ヽ愡瓩�ら、屋内のGPS位置情報が使えない物流倉庫等において、Visual-Inertial SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)を利用してフォークリフトや搬送車両の稼働状況等を可視化するGuideNS(Navigation System)ソリューショの説明がありました。LIDARを利用した類似のサービスは承知していましたが、本技術はフォークリフト等に搭載したステレオカメラと慣性力計測センサーと位置補正のための倉庫内に付設した少数のマーカー(絵)とから、取得画像や運行動作から位置状態を割り出しマーカーで適宜補正して正確な測位を実現可能するものだと理解しました。原理は複雑では無さそうですが、瞬時に計算し表示させるアルゴリズムが物凄いと感じます。同社は、スタンフォード大学に淵源を持つSRIインターナショナル由来の技術で、米国外では同社が初めてスピンオフとの説明でした。決して安くはない値付けですが、大手物流会社との連携や導入が進んでおり、CVCからも資金獲得をしていて、面白い展開になると思われます。今後は、建築建設現場の状況確認、インフラ点検や警備を含めた他分野に進出し、技術を基にしたコンサル事業へと発展させたいとのことでした。次に、��Visal齋藤皓太氏から、企業・ブランド・商品・サービスのサスティナビリティを数値化し評価するサスティナブル評価指標を開発し、これを基に、企業等へのコンサルと、評価済み商品を販売するECサイトの運営を行う事業の説明がありました。評価指標は２万項目近くになったとのことであり、定性的に感情的に語られるサスティナビリティを定量化・可視化し、評価を伴う企業行動や商品を、投資家や消費者に理解させる目的のようでした。斎藤氏は長く東南アジアで太陽発電の導入に携わってきており、その原体験が本テーマを具体化する起業となったもので、志の高さは認めるとして、現実には理念だけでは済まない点が多く、果たして考え通りに事業化できるのか、疑問も感じました。最後に、ロボセンサー技研�蠡臑湿士瓢瓩�ら、自動車組み立てにおけるワイヤーコネクティングのヒューマンエラーを、作業後の検査ではなく触感センサーと無線センシングシステムによりオンタイムで把握するシステム技術の説明がありました。自動車組み立てにおいて膨大なワイヤー(ハーネス)を間違いなくコネクターで繋ぐ作業は、ガソリン車はもちろんEV車でも従業員の手仕事で進められている現状で、同社の技術はその改善改良に大きく資するとのことでした。触覚センサーは、同社が開発したピエゾ圧電効果を有するフィルム状の圧電素子を導線に巻き付けて極細のケーブルとして組立工の使用する手袋に織り込み、コネクターを繋いだ際の振動波を把握してこれを無線で飛ばして、正常か非正常かをオンタイムで判定できるようにするものとのことでした。これによりリアルタイムで直接組立工本人が作業ミスを確認することで、作業改善を進めることが可能になるものです。振動音を把握してオンタイムでその場で正否を判定することは、ロボット加工等の製造現場だけでなく、医療の手術等治療現場でも利用可能であり、同社の横展開も期待したいと思いました。 - 2024.6.27
芝浦工大BOiCE 2024年度第１回アントレプレナー連続実践講座〜学業とビジネスの両立を楽しむ！学生起業家の挑戦〜に参加。
― 今回は同大の大宮キャンパス(いわゆる教養学部)を会場に、大学学部在学時に合同会社HINACOを立ち上げ、現在も大学院生として就学中の同社代表社員片山陽和太氏から、“学生の時に1回起業しよう”をテーマに講演が有りました。オンラインでの参加でしたので、どの程度、1年生・２年生の学生が興味を持って会場に詰め掛けたかは分かりませんが、理工系の学生が、起業をすることで、社会の仕組み・会社の仕組み・ティームで活動することの課題・組織を維持し利益を上げることの課題などを経験することが社会人にとって非常に重要であることを片山氏は語りかけていました。同氏は高校時代から校外活動に関心を持ち、大学入学後ビジネスコンテストに参加、入賞したそうで、学部生後半にコーヒー店HINACOを、軽４輪移動販売のキッチンカーで開業した経緯だそうです。キャンパス内にキッチンカーを持ち込み営業することを大学当局に説得し許可を取ることは大変だったとのことで、目下のBOiCEの旗を振る当局とは大分差があるようでした。学生仲間の協力を得てコーヒー販売を続けていることには敬服しますが、コーヒー販売・購入に係る情報を分析・活用しコーヒー事業に関連する情報サービスを展開するという意気込みについては突っ込み不足でした。それと学生の起業の重要性は否定しないものの、同氏は院卒業後就職するとのことであり、大学における会社の継続・後継者についての難しさについても感じました。 - 2024.6.18
JST 物質・材料研究機構 新技術説明会に参加。
― 久しぶりのJST新技術説明会で、物質・材料研究機構(NIMS)からの発表でした。最初に、同機構マテリアル基盤研究センター桂ゆかり氏から「Starrydata：論文中の材料科学データのグラフを集めたオープンデータベース」として、Materials Informaticsの基礎となる大規模データの収集とその体系化の一環として、研究成果が凝縮されている論文中のグラフのデータを丸ごとデータベース化し、一つ一つのグラフ(論文)が論文集団の中でどの位置を占めるかを示し、書誌事項も簡単に確認できるStarrydataの開発を進めている説明がありました。例示として熱電材料を取り上げていましたが、それだけで9000論文・120万グラフをデータ化したこととなると同時に、過去の開発動向や諸論文・データの相互関係等が可視化されており、研究開発の方向性が示唆されることが良く理解できました。自然科学のあらゆる分野の基盤となる新材料・新物質の探索に必須のこのようなデータベース化は、NIMSの一研究室だけではなく、我が国を上げて取り組むべき課題ですが、残念ながら企業との共同研究においても人件費の提供等の要請がされる一方で、元来税金等で進めて来た公共財たるデータベースを企業側に独占使用は認めない制約が残る訳で、共同研究は難しく、我が国の基礎研究実行力の低下をつくづくと感じた説明でした。次に、磁性・スピントロニクス材料研究センター桜庭裕弥氏から「温度計を超える熱制御・熱検知を実現する超低熱抵抗な熱流センサ」として、固体物質中の熱エネルギーの移動を計測する現在のゼーベック型熱流センサの限界である、材料深部・内部を測定できない、装置が複雑で設置が難しい等を超えるものとして、氏が発見した異常ネルンスト効果を使った異常ネルンスト型熱流センサの説明がありました。熱流を計測することで、微小な熱・異常発熱の高速・高感度な感知から事故・故障の予測・予防、緻密な温度制御等が図られるとのことでした。次に電子・光機能材料研究センター大島孝仁氏から「プラズマを用いない酸化ガリウムの微細加工方法」として、次世代のパワーデバイスの材料として期待されているGa2O3の加工に、現在のBCl3/Cl2 プラズマを用いたドライエッチングでは加工表面に微細な傷が生じてしまうことから、これに代わるものとしてGaClを気相成長させるハライド気相成長法を開発しているとの説明がありました。ガス流の制御を高めて安定的かつ効率よくデバイスを構築できるか、デバイス製造に経験を有する企業との連携を求めているとのことでした。次に、ナノアーキテクトニクス材料研究センター石井 智氏から「放射冷却による暑さ対策と環境発電」として、窒化ホウ素(BN)粉体を使い太陽光反射率と赤外放射率を有する日中放射冷却膜を利用して地表面に低温環境を創り出すとともに、地表と地上との温度差を利用して熱電発電を行う説明がありました。日中放射冷却材は、一年中放熱する必要のある機器・設備(通信基地局、分電盤、冷蔵倉庫等)の冷却用に、熱電発電は、屋外設置のIoT用小型センサーの自立電源用に、活用ができるとのことでした。都市化の進展による温度上昇への対策として、期待したいと思いました。久しぶりに技術説明会に参加し、改めて、基礎研究の重要性と我が国がそれを実行し難くなっている国力の低下を感じました。 - 2024.6.11
第258回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 最初に��MoonGate竹本アイラ氏から、「言葉を変える事で会社が元気を取り戻す」を旗印に、経営者等の社内コミュニケーション改善、セールスパーソン向け営業研修を行っている同社の「経営者向けの理念浸透プログラム『大志口伝塾』」の説明がありました。社長が社内向けに情報を発信しているものの、企業理念や価値観を社内に浸透させて部下や従業員を本当に納得させるには遠い企業が多いとの認識のもと、「部下が心を開いてくれるコミュニケーション術」「言うべきことをハラスメントにならず伝えるスキル」「社内外で影響力を発揮できるスピーキング力」などを8ヶ月のプログラムで習得させる塾とのことです。これにより、離職が止まり、主体的な社員が増えることで売上や利益が上がる技術を体得できるとのことでした。このような問題を抱えているのは、地域地方に多い同族非公開企業の３代目、４代目社長であるが、技術者出身の多いベンチャー社長からもニーズがあるとのことでした。前者はミッションや理念が明確な同族中堅中小企業でも3代目以降になってくるとそれが風化し改めて企業理念や社長であることの意義を明確にする必要があり、ベンチャー企業でも技術への一方的思い込みからミッションや製品の総合的な有効性などが伝えられないリスクがあることを示していることを改めて感じました。次に、�螢侫螢奪�フィット廣橋博仁氏から、圧力センサー、加速度センサー、ジャイロセンサーを搭載した靴用のインソール型ウェアラブルデバイスの開発の説明がありました。靴に入れて人間の動作、姿勢等を計測し、歩行やランニング分析、フィットネスサポート、スポーツ解析、高齢者の行動変容、認知症やフレイルのリスク評価に繋げようとするものでした。製品コンセプトは明確で、開発陣も多国籍の技術者を擁し、共同研究や企業との連携もあり、単なるアプリの開発ではない事業であるので奮闘を期待したいと思いましたが、ターゲットを絞り込んで成功事例を速く創ることが必要ではないかと感じました。最後に、Apex�蟆叱様ナ綮瓩�らドローン・センサーによる3次元情報の取得と提供を幅広く進めているが、今後は収集したデータを自動的に分析し提供することでユーザーへの利便性を高めるクラウドプラットフォーム Simple Pointを開発強化するとの説明がありました。ドローン事業も目新しいものではなくなってきており、如何にユーザー満足度を高め、コスト低下を図り、競争力を維持向上させていくかに移行してきていることを認識しました。 - 2024.5.23
つくば研究支援センター・宇都宮市共同開催「つくば×宇都宮〜地方からの宇宙への挑戦〜」に参加。
― 「宇宙産業分野」でのスタートアップや企業・大学・研究機関等の最新の取組や事業内容を紹介するもので、有楽町のTokyo Innovation Baseでの開催でした。従来、宇宙関係の産官学のイベントは、JAXAが所在し東大柏の葉キャンパスに近いつくば市が中心で開催されていましたが、今回、宇都宮市が宇宙産業の推進を掲げふるさと納税を原資に補助金を交付することとしたことに伴い、共同で開催されたというものです。官からは、防衛省航空幕僚部南 賢司氏から「宇宙安全保障と航空自衛隊の取組み」、JAXA新事業促進部瀬戸 満氏から「JAXAの民間企業等との連携プロジェクト」の講演があり、その後、学から帝京大理工学部河村政昭氏から「地方の宇宙産業振興に向けて『学』が果たす役割とは」として講演がありました。同氏の航空宇宙工学科大は宇都宮にキャンパスがあり、栃木県には東京計器を含め製造業が多く所在し宇宙にフォーカスした集積を高めていく可能性が高く、同氏は超小型化衛星TeikyoSat-4“おおるり”の実験に取り組んでおり、このような実績から宇都宮の宇宙産業の牽引役を果たしていきたいと説明していました。次に、産からは、東京計器�蟲榁篭猝藥瓩�ら、計測・認識・制御の技術を核に栃木県に３工場を有し長年防衛機器の開発を行ってきた実績をもとに、マイクロ波により地表面を観測する小型衛星『StriX（ストリクス）』を有するSynspective社、H2Oを推進エネルギーとして利用する水エンジンのPaleBlue社のスタートアップとの連携も進めていると説明がありました。同社の那須工場には両者の拠点もあるとのことです。産の2番手として、�蠅燭垢�古友大輔氏から、衛星や測定機器等の宇宙機器と宇宙技術を応用したシステムを開発し測定結果も解析するエンジアリング会社としての活動の説明がありました。月面探査車ローバーの開発を進めているとのことですが、創業後数年で外部からの資本調達をせずに、機器の受託開発で黒字を維持増加させているとの説明が印象的でした。スタートアップからは、��BULL宇藤恭士氏から、衛星等の宇宙機のデブリ化を⾃律的に防⽌する装置PMD（Post Mission Disposal)の開発や宇宙空間での実験の受託事業の説明がありました。次に、Orbspace�螢譽鵐轡紂Ε◆璽蹈鷸瓩�ら再使用可能の３人乗り小型有人ロケット「Infinity」の開発の説明がありました。同氏はオーストリア出身ですが、宇宙空間に関連する多様な技術を有しその組み合わせで最も小型で簡素で経済的な開発を進めているとのことです。その説明で、何故日本で起業したのか理解できた気がしました。氏によると宇宙関連では日本は可能性が高いと言っていました。最後に、スペースエントリー�蠏�谷亮一氏から、長年国際宇宙ステーションの支援業務を行ってきた経験を活かし、宇宙船内で飛ばせるドローンをクラウドファンディンで開発し、協力者がドローンと情報の遣り取りをすることで宇宙開発に参加できることを実現したいと説明していました。以上、なかなか面白く、一宇都宮に止まらないイベントでしたが、このように突出したビジョンを有する地方の街作りや、特定分野の試作品・機器生産等に特化した企業の成長、金額は大きくないものの出資をして支援する企業群等、良い勉強になりました。 - 2024.5.22
ものづくり日本会議「ハノーバーメッセ2024から見えてきたことーデータ連携基盤や生成AI活用の最新動向」に参加。
― アルファコンパス代表の福本 勲氏から、インダストリー4.0やデジタル製造技術の進捗確認の場として注目されるようになっているハノーバーメッセの現況について報告が有りました。氏は東芝でSCM等の業務を手掛けた経験もあり、長く同メッセには参加しているとのことでした。インダストリー4.0についてはドイツ自動車産業を中心に具体化が進められてきたのが、様々なセクターの導入を横断的に進めるための共通基盤的なソフトアプリの開発に進みプラットフォーム化を図る動きになってきており、特にフランスエアバスを中心とする航空機産業、各種のバッテリー業界への波及が目立っているとのことです。プラットフォーム化を進めるには、オープンソースで誰もが参加できるように条件整備をしないといけない点と、プラットフォーム事態は排他的・自律的なモノとしないといけない点の両立に腐心しているとの指摘がありました。生成AI活用が報告の柱になっていますが、こちらは個別企業の個々のソフト開発に関わるせいか明確に理解できませんでした。中国勢の動きについて、過去の独・中の業界連携を考えると多様な出展があるかと思いましたが、ロボットで多く展示されているとのことで、それほどでも無いようです。氏はドイツのインダストリー4.0の国や産業を超えた横展開を強調し、欧州勢の積極的動きを評価していますが、我が国での展示会を考えると、中国、台湾から東南アジア諸国、インドに至る工業地帯の企業・工場を横断的に、IoT化等を図るような取り組みには程遠く、EUという一体となった市場と、各国が並び立つアジア市場との彼我の差を改めて感じ、止むをえないかとも思いました。 - 2024.5.15
JST「2030年の挑戦：Human-centric デジタルツインが目指す未来社会」に参加。
― JSTの未来社会創造事業「次世代情報社会の実現」領域では、AI・ビッグデータ・IoT を駆使して“Human-centricデジタルツイン”構築し、これらを活用し新たな未来社会をデザインするとの目的で、大学側が研究開発を進めている探索研究案件の経過報告を行うとともに共同開発企業を呼び掛けるとのセミナーでした。デジタルツインについてはドイツNRW州主催のセミナーで独企業が進めている仮想上の製造工場・生産工程での改善やトラブル解決の実証事例に接していますが、日本側特に大学側が進めている事例に接するのは初めてではないかと思います。最初に、東京理科大学宮下令央氏から「高速ビジョンによる多次元デジタルツイン計測と再構築」として、現在の仮想空間は人間の認知レベル(30-60fps)程度のセンサ・ディスプレイ技術で構築されているため、実際の物理的・化学的な諸現象を正確に反映した解析・分析を行えない。この時空間的なずれを解消するために、1,000fpsでの高速センシングとこれに対応した光学系やロボット、ディスプレイ技術を開発していくという説明がありました。次に、日本医科大学村上善則氏から、「多層的生体情報の統合による疾患予防デジタルツインの構築」として、日本独自の企業内健診で得られる６万人規模のゲノム多型情報を統合した言わばヒト・デジタルツインを構築し生活習慣病の発症リスク等を分析してきたものを、更に20万人のゲノム情報を統合して38疾患の発症等の解明を行おうとするプロジェクトの説明がありました。次に、東京工業大学伊原 学氏から「エネルギービッグデータをコアとするカーボンニュートラルデジタルツイン」として、同大大岡山の東工大環境エネルギーイノベーション棟を核とした、ソーラー発電、⾵⼒発電、熱利用、エネルギー消費等の各種データや⼈流データ、他研究棟の電力使用データ等を蓄積したデジタル空間キャンパスを構築して、系統協調/分散型エネルギーシステム等のシュミレーションやコントロール手法を解析していくとの説明がありました。面白い発想とは思いますが、大学キャンパスのしかも一部の空間が、多様で多層の社会コミュニティそのもののデジタルツインになりうるものかどうか疑問を感じました。他に幾つか発表がありましたが、時間の関係で、上記３つのプロジェクトについて話を聞きました。 - 2024.5.14
第257回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 最初に、高齢社会街づくり研究所�蟯簇�聡士氏から、高齢者向け施設、訪問介護・看護事業所の開所及びこれらの経営コンサルティング事業と、介護者個人の病状等カルテの共有による入所・ケアの最適施設とのマッチングサービス事業の説明がありました。IWAOモデルと名付けて、120床３施設で診療・介護・看護・リハビリ・入浴等のサービスを名古屋市で行うとともに1200名の在宅医療を実践しているとのことでした。膨大な説明資料が用意されていましたが、現在実施している仕組みをどのように他地域に展開していこうとしているのかが残念ながらよく理解できませんでした。かつて福島県の復興支援の活動として、都会の要介護者を同県の既存施設・既存住宅等が受け入れる仕組みを作り、国の予算を都会自治体から同県に移し整備と運用を行うとともにカルテ等の情報共有を行うシステムを開発するというアイデアの整理を手伝ったことがありますが、今回のIWAOモデルについても自治体や医師会、介護サービス事業者組織など関係する組織も多く、政治も絡んでくるので、構想の大きさや現実のニーズへの取組みには敬意を表するものの、なかなか困難だろうというのが率直な感想でした。次に、Blue Farm�蠧Ｅ塚ゲ雹瓩�ら、有機栽培茶園にセンサーとIoTシステムを設置し土壌や適性肥料に関するデータを取得し温室効果ガス(GHG)の削減量を具体化し、茶葉を使用する大手企業のサステナビリティ活動に結び付ける、茶園の活性化と地球環境への貢献を図る事業の説明がありました。紙パックを使いユーザー企業のロゴも印刷して、茶園とユーザー企業双方の貢献を見える化することを事業の基礎においています。静岡の企業らしい目の付け所と思いますが、どの程度大手企業にアクセスできるかが難しいところだと感じました。最後に、��MentaRest飯野航平氏から、メンタル不調予防に特化したカウンセリングを、アバターを利用してメタバース上で行うことで、相談の敷居を引き下げ、早期に改善を図れることとした事業の説明がありました。直接産業医が面談し対応するのではなく、オンラインで相談に乗ることで相談の機会を増やすことは理解できましたが、同社のカウンセラーが顔を見せてオンラインで対応するのではなく、アバターを使うことの必然性・有効性が理解で来ませんでした。 - 2024.5.10
第5回未来創造企業鶴岡会議参加者募集事前説明会に参加。
― 慶應義塾大学が2001年に山形県鶴岡市に先端生命科学研究所を開設し、その後スパイバー等のベンチャー企業が生まれてきていますが、この変革の牽引役であり開設の実行役である富田勝同大名誉教授が主宰する未来創造企業鶴岡会議へ、大企業からの参加者を呼び掛ける説明会でした。最近、鶴岡の情報が入ってこなくなったので、近況を知りたく、参加した次第です。スパイバーやホテルスイデンテラスのことは時に耳にしますが、鶴岡全体の近況は情報が無く気になっていたのでタイムリーでした。同地で慶応発ベンチャーが多く生まれるについては、慶応の学生達の意識や富田氏の指導力が大きな要因だと思いますが、さらに、「イノベーションを生み出す組織風土」まで立ち返って、大企業の管理者を対象に、なぜ、イノベーションが必須であるのかを合宿で考えようとする会議だと言うことでした。富田氏が強調するのは、大組織では数字目標を置き、ビジネスモデルを予め練って、リスクを最小にして社内で新規事業を始めることが多いがそれはイノベーションではない。同地のベンチャー達は試行錯誤で取り組んでいるところに価値があると言うことで、出羽三山を巡り「自分の存在意義」を大自然の中から見つけようとする伝統があり、脱優等生的な「人生観」を醸成する地元の出羽三山の精神文化だとの説明でした。ただ残念なのは、大企業の管理者への呼びかけが中心であったので、鶴岡市さらに山形県の自治体のみならず市民やコミュニティの人々との関りがどう発展しているのかを知ることはできませんでした。 - 2024.5.8
日米欧中のxEVの分解解析から読み解く次世代自動車ビジネスの展望〜パワー半導体を始めとした技術トレンドと、日本企業が掴むべき「勝機」とは〜に参加
― 名古屋大学パワーエレクトロニクス研究室/未来材料・システム研究所教授の山本真義氏が講師のビサスク社のセミナーでした。氏はパワーエレクトロニクス研究者として、xEV用のパワエレや航空機の電動化、AIによる電気システム設計、ワイヤレス電力伝送システム、BEVの実車解体、分析を行い、各国・各社の技術動向や、パワー半導体応用技術、次世代自動車について広い知見を有しているとのことでした。確かに、説明は非常に広範に及び、我が国が優位にあると言われてきたパワー半導体のみならず、電気自動車の駆動力向上、車体構造設計と軽量化、軽量化に必要な樹脂等の最新材料、バッテリーを含む熱管理と冷却技術、インホイールモーターの実用化、等々について、中国BYD車のリバースエンジニアリングの成果を交えての説明でした。世界的に残念ながら、中国EV車が主流になりつつある状況で、積極的に中国車のリバースエンジニアリングを大学として取り組み、日本メーカーと共同研究を進めていることは、凄いことだと思います。アッセンブラーが頂点に立つ縦割り的構造の我が国自動車業界の中で、ティア２やティア3の部品メーカーが独自に情報収集を行い、共同研究を行うとすれば、直接、山本氏のような大学研究者と共同することが必須になると考えます。結論は、簡単に纏められませんが、ティア１クラスが中国企業の存在が増す中で再編されていくことは確実である中で、熱管理と冷却の要となる樹脂の新材料の開発、コストと信頼性のバランスを取った部材の生産には我が国のメーカーにチャンスはあるものの、パワー半導体も中国製が優位にあり、また、ソフトウェアの一体的開発について勝機は見えないとの指摘でした。それと、中国部品企業の技術に多くのドイツ等欧州企業の由来のものが見られるとの指摘があり、従前から分かってはいることとは言え改めての深刻さを感じました。ロシアのウクライナ侵攻以来流れが変わり、中国車の輸出攻勢への警戒感が欧州に出てきていると報道されていますが、ビジネスと割り切るべきなのか複雑でした。 - 2024.4.16
モノづくり日本会議主催「日本におけるドイツビジネス2024 - 日本企業とともにビジネスチャンスをつかむ」に参加。
― 日刊工業新聞社等によるモノづくり日本会議が、在日ドイツ商工会議所が在日ドイツ企業472社を対象に調査した企業景況調査等を中心に、我が国企業とドイツ企業との協業等を議論しようとするセミナーでした。最初に、在日ドイツ商工会議所専務理事で駐日ドイツ商工特別代表のマークゥス・シュールマン氏と共同調査担当のKPMGドイツのアンドレアス・グルンツ氏から、調査結果の説明がありました。回答を寄せたのは164社ですが、その半分が機械・化学系の企業で、ここにまずドイツ産業の特徴が出ています。次に、日本の諸側面での安定性を高く評価した「中国から日本への生産・管理機能の移転」の選択が大きく増加し、これを裏付けた「売上高と利益確保向上における日本市場の重要性」が増加していることが特徴でした。中国とドイツは非常に密接な関係を維持してきましたが、ロシアによるウクライナ侵攻や中国企業のオーバープレゼンス等で、両国の関係に変化が生じていることが反映されています。他方、ドイツに比して我が国の賃金が安いこと、日本国内での必要な人材の確保が困難になってきていることの苦い指摘も増加しています。後半には、ティッセンクルップ・グループ日本代表ニコラス・ボルツェ氏とエボニックジャパン株式会社代表取締役社長内藤吾朗氏が加わりトークセッションとなりました。一つは、エネルギー価格の上昇や国内の官僚主義、規制強化、現場課題解消へのコスト上昇に円安も加わり、日本拠点を海外へ移転することも課題となっており、これに我が国企業との共同行動が取れないかとの指摘がでました。面白い指摘としては、我が国企業はイノベーション技術を産むのではなく導入改良が得意なので、ここに両国企業の協業可能性があるとの話もでました。欧州主導の環境問題を背景に、脱CO2・循環社会を構築すべく、共同でアジアの第三国に進出していくことも可能ではないかとの指摘もありました。最近の欧州情勢を理解するとともに、ドイツ企業の本音も聞けた有意義な機会でした。 - 2024.4.16
Japan Connect Initiative DEMO DAY「東南アジアスタートアップからの挑戦」に参加。
― インドネシア、シンガポール、ベトナム、マレーシアの東南アジア4か国から日本進出を目指すスタートアップ・日本から東南アジア4か国への進出を目指すスタートアップを支援する東京都のプログラムの一環として、４か国のスタートアップ８社が我が国の協業候補先にプレゼンを行うイベントでした。本８社はいずれ来日し、協業候補先と対面での意見交換も行うことになっているとのことでした。最初にシンガポールAilytics 社のLeonard Tan氏から、工事現場等をCCTVでモニター解析し、リアルタイムで事故の可能性を警告するシステムを説明していました。悪天候や小対象物などの悪条件に対しても画像解析を行えるというものでした。次に、シンガポールNeeuro Pte Ltd のAlvin Chan氏から、ゲーム等を通して、注意欠如・多動症の子供(ADHD)、ストレスを有する大人、認知能力が低下しつつある高齢者に対して、注意力、記憶力、空間認識能力、決断力、認知的柔軟性の向上の認知機能を高めるソリューションの説明がありました。次に、インドネシアBlitz Electric Mobility 社Sqivya Chauhan氏から、BtBの商品配送を、商品荷主、配達員、配送先の現場位置から最適組合せを計算して、短時間に効率よく行う電動バイク活用サードパーティロジスティックの説明がありました。次にシンガポールSequential Pte. Ltd. のAlbert Dashi氏から、都市化と化粧品が引き起こす菌等微生物による肌の不調を、顧客に検査キットを送付し肌の菌等を付着させキット・パッチを回収して顧客ごとに原因と対処方法を知らせ、併せて適切な化粧品を購入させるという仕組みの説明がありました。次に、ベトナムHayInsights社のRicky Nguyen氏から、日本の経済状況、市場の動向、特定の株式やETFに関するデータベースを構築し、ユーザーのニーズに応じて日本市場向けの分析レポート作成し、更に、グラフ等を PowerPoint プレゼンテーションに直接書き出すこともできるサービスの説明がありました。次に、マレーシアHelloWorld Robotics社のKennedy Wai氏から、食品等配送用自動運転地上走行ロボットTARSの説明がありました。耐水性、障害物回避、信号機検知機能を備えたTARSを活用することで自律型ラストワンマイル配送ソリューションの事業を行っているとのことでした。次に、マレーシアSmartPeep社のLim Meng Hui氏から、CCTVによる情報や振動センサー等の情報を統合し、異常アラームを発することで、転倒防止、ベッド退出検知、床ずれ防止などを図るシステムの説明がありました。スマフォ等のモニターには鮮明な顔は表示せず録画もしないこと患者等のプライバシーを確保できるようにしてあるとのことです。最後に、インドネシアSurplus社から、売れ残りの飲食物を指定期間内に50%割引で販売することで廃棄物となることを防止するソリューションを地元企業に提供する事業の説明がありました。我が国で既に類似の事業が行われているものもあるものの、独自な事業もあり、基本はスマフォを端末として活用することで、顧客・ユーザが手軽にサービス等を利用できるこに主眼を置いていることでした。 - 2024.4.9
第256回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 最初に�螢┘縫泪江�林昌純氏から、電力データをブレーカーごとに測定し、集計・表示・可視化するシステムの説明がありました。IoTとクラウド技術を使うことで、遠隔で電気の使用量や金額をリアルタイムで確認できるため、節電への取り組みを進めやすいことが特徴で、個々の機器・装置ごとの使用状態が分かり、他店舗との使用状況の比較ができる等により、個別環境ごとの節電、エネルギー使用の合理化が図れるとのことです。また、電気事業者別排出係数(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用)を使用することで、CO２排出量の計算も可能になるようです。次に、サイトセンシング�衒仁咫［柑瓩�ら、GPS・WiFi・ビーコンといった外部信号に依存せず、人の現在位置をトラッキングするスマートフォン用アプリソフトPDRplusライブラリの説明がありました。元々は産総研発の技術であるとのことで、加速度・角速度・磁気センサの情報に基づき、基準点からの相対位置を推定するDead Reckoning(自律航法）によって移動体の位置を決め、制御していくものとのことです。これをドローン技術と組み合わせ、更に周辺画像取込み機能と融合させることで、ドローンの自動飛行を実現した外付け装置(GeoPack)を開発し、実証試験を行ったとのことです。現在、ドローン専門企業・デバイスメーカーとの協業を進めGeoPackの市場開拓を進めているとのことでした。最後に、フカエ・テクノロジーズ合同会社深江公俊氏から、風呂や足湯など水中で使用できる絶縁体電極を使用した低周波電気刺激製品の説明がありました。温浴による健康効果と低周波電気刺激の相乗効果により、健康促進、疾患者のQOL改善、高齢者の健康寿命促進を目指しており、テストマーケティングのフィードバックにより製品コンセプトを見直し大幅なコストダウンを実現して本格的な製品を開発するとのことでした。 - 2024.3.15
アーネスト育成財団技術経営人財育成セミナーに参加。
― 飯田グループホールディングス元会長西河洋一氏が理事長、日本開発工学会運営委員長小平和一朗氏が専務理事を務め、若手経営者の育成を主たる目的として活動する財団の人財育成セミナーの講師をしました。テーマは「スタートアップから中堅企業への発展のために経営者が考えるべきもの―野中郁次郎著の「知的機動力の本質・アメリカ海兵隊の組織論的研究」が示唆する人財育成など」を選びました。野中氏には海兵隊に関する著作が何冊かあり、経営学者として、海兵隊は小組織であり、陸海空軍とミッションが重なるため常に存在理由を問い直し自己変革を実現してきた歴史があり変革の遺伝子を内在していると、非常に関心を有しています。特に、小規模でタスクフォース型組織を採用しており、成功している大企業とわくわくするインターネット・ベンチャーの組合せであると言っています。海兵隊のこのような特色の基本は、個々の隊員をライフルマンとして訓練し、隊員が体で取得したノウハウ(暗黙知)を組織の隊員全体の形式知として整理し共有する仕組みにあり、これが知的な機動力を高めていると分析し、SECIモデルを使って仕組みを分かり易くするとともに、他の組織でもこれを応用することで自己変革力と柔軟な組織力を有することができると提案しています。セミナーの参加者は中小企業のトップですが、今後彼らが自社を中堅企業に成長させていくために、是非、従業員の暗黙知を増やしかつこれを形式知化して従業員・経営者全体で共有し、更に新しい暗黙知・形式知として発展させていって欲しと思い、話をしました。 - 2024.3.12
第255回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 最初に、�螢蝓璽弌実寝貔で嫉瓩�ら、400名以上の医師に24時間いつでも医療健康相談ができる「LEBER」について説明がありました。創業者であり代表の伊藤俊一郎氏は医師であり、２つの老人ホームと在宅医療専門機関をつくば市で経営している事業家でもあり、ベトナムでも訪問診療機関を開設の準備中とのことでした。育児の経験のない若い夫婦が子供の病気の心配から夜間救急車で病院へ行くことが非常に多い反面、医師の老齢化から夜間診療を行う医療機関も減少している状況に対応して、夜22時まで医師の診断と処方をオンラインで行う仕組みを作ったほか、24時間登録医師が医療相談に応じるシステムを開発したとのことです。地元医師会との調整も必要なことから、自治体と契約し、同社が事業を行うスキームとなっています。自治体が関与することから現在茨城県を中心に数市で実施されているとのことでした。自治体を間に入れることで、信頼性と法令順守を高めることとなっていますが、その分、横の広がりが遅く、医師の高齢化・引退のスピードに対応していけるか気になりました。次に��ZEAL渡會雄一氏から、「楽しく健康に」をスローガンに女性にも安心・清潔な空間でスポーツの力とテクノロジーを活用して手軽にボクシングフィットネスを体験できるスタジオを提供するZEAL BOXING FITNESS事業の説明がありました。渡曾氏は元プロボクサーで、その経験を活かしつつ、男性・女性や年齢を問わず誰もが参加でき、IoTサンドバッグなどの器具も活用し効果も確認できる空間を、フランチャイズシステムで全国展開しようとするものでした。元ボクサーや練習生達の職場の提供ともなり、かつ身近なフィットネスの場を広げようとしているものとのことです。今までにはない発想の事業計画だと思いました。最後に、��LABバイオテック斎藤 睦氏から、北大発ベンチャーとして、乳酸菌の発見から商品開発、機能性の評価、販売までを行う研究開発型の事業の説明がありました。同社取締役の宮崎忠昭氏は医者でもあり、北海道大学遺伝子病制御研究所特任教授の職にあって、長く、乳酸菌の機能性等の研究を行ってきた実績を持っています。乳酸菌は植物や発酵食品や土壌などから幅広く採取でき、取得した乳酸菌の同定や、人体への効果とメカニズムの解明を行い、特許取得し商品化して行く一連の活動を行うとともに、大手製薬会社等と共同開発も進めているとの説明でした。また、独自の商品開発としては、「クラーク乳酸菌」として、これを含むパンやチョコ、スーパーのお惣菜等を北海道の企業とともに市場に出すとともに、単体で商品化もしているとのことでした。乳酸菌の機能は抗アレルギーや免疫、対うつ等に効果があるとされるものの医薬としての機能を謳うには臨床試験等の手続きを経る必要があり、直接的な効力を前面に出すことが難しいところが、本事業の悩ましいところの様でした。 - 2024.3.5
「全固体電池―研究開発の現在地と今後の課題」セミナーに参加。
― ストックマーク社のセミナーで、講師は東京工大全固体電池研究センター池松正樹氏でした。現在主流となりつつあるリチウムイオン電池は、両極の間にセパレーターと有機電解液を挟んだ構造となっており、この有機電解質が揮発して電池が劣化したり、高温高圧での発火をもたらす可能性を有しているが、固体電解質を用いることで、安全性と成形自由度が高く、薄型化や大容量化が図れ、長寿命化が実現できるとされているとのことです。固体電解質は、東工大の本センター長である菅野了次教授が発見発明したLGPS構造(リチウム・ゲルマニウム・リン・イオウ)化合物を利用し、これにより、マイナス30℃から100℃の範囲で安定的に作動し、充放電耐久性も一挙に向上させることができるとのことでした。他方、固体である極材料と電解質の混合物を電池としてどのように成型するか、同時に両極材料と固体電解質との界面をいかに製造するか、と言う製法の課題も大きいようです。固体結晶構造の間を電子が移動するかは未解明だそうです。メディア等は全固体電池が数年内に実用化されるように伝えていますが、まだまだ多くの課題を抱えていることが理解できたとともに、リチウム材料依存にも変わりがないので、引き続きの安全保障問題も継続しそうです。中国等も豊富な資金や研究者を投入して開発しており、関係者の奮闘を祈るとともに、研究開発の情報開示・公開性・安全保障という矛盾した要請にいかに対応するべきかと言う問題も改めて考える機会となりました。 - 2024.2.28
SHIMADZUと協創―プラネタリーヘルスビジネスイノベーションに参加。
― 川崎市の殿町に所在するShimadzu Tokyo Innovation Plazaが、かわさき新作業創造センターとともに開催したもので、島津製作所が抱えている多くの課題は技術・素材・システム・ソリューション等と多岐にわたり、これらを技術・素材系の企業やVR・AR・MR技術を有するIT企業の提案を広く求め、共同で製品化をしていきたいとの意向であるとのことでした。同社の製品も高度化し、ユーザーにとっての利用も複雑で高度なスキルを要するようになっているのに対し、同社のユーザー対応技術者も不足し、かつ、マニュアルやHP上の説明では精度高く説明しきれなくなって、結果、測定結果に齟齬が生じることが多くなってきているとの説明がありました。これには、外部のユーチューバが動画で解説している例もあるがそれだけでは不十分であり、何らかの有効なツールをユーザー側とも開発したいとの問題意識の説明もありました。更に、材料試験の結果やX線CTの結果のデータを、CAE等で利用するための橋渡しを容易化するツールの開発の説明もありました。今回の例は、オープンイノベーションの最適例であり、かつ、組織を跨いだ暗黙知の形式知化とその共有の面白い事例だと思います。島津の中の従業員達の暗黙知を形式化して外部と議論できるようにし、一方で個々のユーザーが使う過程で溜めているノウハウ・暗黙知を整理して形式化し、これらを組み合わせて、組織を超えた形式知を創り上げていくと言うことになります。上手く進むことを期待したいと思います。 - 2024.2.20
「NPO法人アジア起業家村が変わる！！」セミナーに参加。
― 10年ぶりにセミナー開催のメールに接し参加しました。前回は2014年6月ビジネスプラン発表会への参加であったと思います。実は、この起業家村には幾つかご縁があり、まず通産省の先輩である山口勉氏が立ち上げに関わっており、また、理事長には日本コンピュータ・ダイナミクス社下條武男氏が就任して居られました。氏は、日本開発工学会元会長中上崇氏と第一次ベンチャーブーム時代に共に活動をしておられ中上氏を通じて知己を得ていました。同社とは本庄早稲田でのモービリティ案件で駐輪場整備の件で可能性を議論させて貰ったこともあります。今回のセミナー開催の趣旨は下條氏が亡くなられた際の遺志を引き継ぎ、起業家村をどのように再開・発展させていくかと言うものでした。このようなご縁を感じて参加をしました。最初に若い時に下條氏の薫陶を得、起業家村の副理事長を引き受けておられる�螢哀蹇璽丱襯肇薀好肇優奪肇錙璽�スの創業者であり社長の後藤裕幸氏から「多様性の力！アジアのチャンスを活かす組織の作り方」として、アジア人材を多く採用し多様性を活かしつつ、賃貸住宅保証等の外国人向けの支援サービスを展開させてきた経緯の話がありました。同時に我が国が高齢化・少子化・人口減に対応して生き延びるには、経済社会をオープンにし、組織も多様化して活力を取り戻すしか道はなく、５年の間に答えが出るかどうかに関わるとの話がありました。その後パネルディスカッションがあり、�蟯超�経営ホールディングス社長横山 渉氏がモデレータ、�蟷圧散┝卍浩臉仟抂貉瓠�DELE�螢侫．Ε鵐澄疾古墜銅瓜瓠�ViZO�蠎卍好曄次Ε侫�・クーン/HO HUY CUONG氏、COPRONA�蠎卍好瀬�・ユイ・アン/DAO DUY AN氏がパネラーとして、日本とアジアのシナジーを活かした持続可能な繁栄の実現に向けたミッション、ビジョン、バリュー等の起業家村の今後について議論がありました。横山氏は起業家村の理事、仙石氏は理事でセミナー会場の提供者、生田氏は専務理事、ベトナムの社長二人は起業家村での研修を受けた経験があり、ホー氏は12年の川崎市でのセミナーに登壇しています。ホー氏の講演は聞いていたことになります。時間がなく最後まで参加できなかったのが残念ですが、何か今後の活動の継続について意思統一ができ、手伝うことがあればと思う気持ちです。 - 2024.2.13
第254回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 本年最初の発表会でした。最初に、��80&Company片山貢一郎氏から、事業会社に対し情報技術を活用しつつ新規事業を提案・構築して行く事業の説明がありました。地域の中堅企業等は既存の製品や顧客等のアセットを有していますが、これらが必ずしも時代に合わず、また最新の情報技術を使い新たに発展させていく状況にもないことから、地域中堅企業の新規事業開発を伴走支援しているとのことでした。具体的にはやや幅広く、事業の企画のほか、エクイティ・デット・補助金・助成金等の資金調達、ソフトウェアエンジニアリソースの提供及びプロダクト開発支援等をハンズオンで行うことで事業価値を高めるとのことです。今後は、大企業に対し、スタートアップや中小企業のM&Aの仲介・実行支援を行う予定とのことでした。次にSotas�蟲噺詰擬�氏から、大手企業のみならず中小・零細企業まで裾野が極めて広く、扱う原材料が広範で、製造から加工、商社までの横の広がりも大きい化学業界の生産/在庫管理・受発注をシステム化した「Sotas工程管理」の説明がありました。また、本システムは欧州が特に顕著な新規規制にも対応して毒劇物、chemSHERPA、REACH、RoHSなど各法規のタグ付け・書類の自動作成機能も有しているとのことでした。更に化学業界の川上と川下の企業を検索できるとともに8000種の樹脂の組成や特徴、輸出等の際の規制法規への該否判定が行える「Sotasデータベース」の説明がありました。化学に特化して、また、欧州の輸入規制にも対応し中小企業の負担を軽減できる同社の活躍を期待します。最後に�螢螢丱謄�ソリューション池田大樹氏から、2013年の創業以来一貫して介護福祉機器の研究・開発・製造・販売を行っている事業の説明がありました。メイン製品の自動排泄処理装置「リバティひまわり」は心と体の負担の大きい排泄介護環境の改善と質の向上を目指した製品で、排泄物をセンサーで検知すると、自動で吸引・洗浄・乾燥を行い、常に清潔で快適な環境を保つ安全性の高い機能を搭載しているとのことです。素材にシリコン樹脂を使って装着を容易にする等の製品に特色を持たせるとともに、世界各国の特許も取得する技術戦略も有するユニークな企業でした。嫌でもこれから目にしていく製品であり、島根から世界に挑戦していることに健闘を祈ります。 - 2024.2.9
Meet New Solution in OTAに参加。
― 従来の太田の中小企業を主とした展示会から、エネルギーや環境分野、IT分野等に幅を広げ、同区外の連携自治体の中小企業も出展する展示会ないし交流会と講演会に模様替えした集まりでした。最初の企業展示ブースでは、最初に、山形大発ベンチャーの�螢▲襯侫．謄奪�から米等のでん粉の主成分であるセルロース・ヘミセルロース・リグニンの分子が絡み合っている結晶状態を(通常の炊飯ではなく)機械的・物理的処理で非晶化して消化酵素の反応を高めるAmorfast技術とその装置を実用化している話を聞きました。次に、消臭剤と消臭機器の�螢魯襦Εぅ鵐瀬好肇蝓爾�ら、藤田エンジアリング�蠅閥ζ韻農什遒靴織�フィス空間から工場までの各種の悪臭をミスト化した消臭剤を噴霧することで除去するHAL・SHOWER装置の説明を聞きました。既に商品化されている装置ですが、大田では大田所在の機械切削加工メーカーにおける悪臭除去に焦点を当てているようでした。ハル社は静岡県、藤田は群馬県の企業で、海外展開と模索してはどうかと話をしました。次に、マイクロ波を照射して地下の構造や埋設物の探査を行うジオ・サーチ�蠅�ら、反射して帰ってきたマイクロ波を解析処理して地下の構造を3次元化して可視化したり、埋設物の腐食状況を判断する等の応用を行う技術の説明を聞きました。金属埋設物の種類までは解析できないようでしたが、同社は大田区で創業30年以上の実績を有しているとのことでした。次に、大田区所在のリケンテクノス�蠅慮Φ羈�発センターが出展しており、責任者から、コンパウンドされた特定樹脂の薄膜化した素材の用途を展示会訪問者から聞き取っている話を聞きました。薄くも厚くも加工でき、押し型加工で形状を変化させることもできるとのことでした。素材メーカーが用途開発をするという難しい状況に遭遇できて嬉しく思いましたが、情報不足と突然のことで回答はできませんでした。最後に、大田区の企業である�螢魯奪轡紊�ら、出張等の旅先で簡単に下着等にスプレーしてシャワーで流し風呂場で乾かせるルーシーミストの話を聞きました。クリーニング屋さんとしては老舗で、その経験が各種の界面活性材や天然香料をミックスして噴霧する本製品に繋がった経緯でした。どのように商品を商流に載せるか苦労しているとのことで、幾つか思い付きを言いましたが、うまい解は出てきませんでした。後半は、パネルディスカッションで、大田区担当課長から今回の展示会の模様替えの趣旨を、仙台・神戸・広島のスタートアップ支援担当の公務員から取組みの状況を紹介していました。更に、墨田区の浜野製作所の浜野社長が登壇し、同社の活動のみならず区における他企業や他団体との連携、トヨタ等を含む大手企業従業員の研修受入等の他地域・大企業との連携の紹介がありました。久しぶりの地元大田での展示会参加でしたが、リケンテクノスとの議論、浜野社長の話など非常に面白い経験をしました。 - 2024.2.7
第8回 J-TECH STARTUP SUMMIT―未来を創る技術が集結―に参加。
― つくばエクスプレス沿線のスタートアップを対象に、柏の葉を拠点として活動しているTEPによる優良スタートアップの紹介と認定証授与の場でした。コロナ禍の前にはTEP活動に参画して活動していましたが、地理的に難しいために参画は諦めているところです。最初にシード枠として、側わん症の早期発見を可能とする検査システムの実現を目指している��SMILE CURVE野口昌克氏から、 国内外で検診実施が推奨されているにも関わらず早期発見の手法が確立されていない現状、我が国ではかつて製造されていた検査機器が現在は存在しないこと、光学技術や情報技術を活用して簡易で活用しやすい装置の開発を進めていることの紹介がありました。アーリー枠として最初に、内視鏡外科手術支援システムを開発している��Jmees松崎博貴氏から、病理画像の診断研究を基に、国立がん研究センター東病院の医師等とともに、内視鏡で取得する画像を処理し、手術画像内の誤認・見落としリスクのある対象臓器を自動検出し、手術画像内に強調表示することで執刀医の臓器の認識支援・注意喚起を行い、同時進行で手術を行う支援システムを開発しているとの説明がありました。次にトポロジカル物質をセンサやデバイスへの利用を目指すTopoLogic�蟶監Ｂ正�氏から、バンド構造の幾何学的な性質(トポロジー)が通常の物質に対して反転したトポロジカル物質の特色を活かし、既存の熱センサの100倍以上の時間分解能を持つ高速熱センシング技術や、従来のDRAMと比較して1桁小さい消費電力のコンピューティングメモリ技術の開発を進めている説明がありました。次に、バイオマスを原料として芳香族バイオ化学品の生産技術開発を行っているBiophenolics�蟾眞�直樹氏から、遺伝子に改良を加えたスマートセル(改良型微生物)を各種産み出し、これらを使ったアニリン系やフェノール系の物質を生産する発酵技術と、５０L規模の発酵槽での工業生産を実現するプロセス技術の開発を行っているとの説明がありました。「制御された細胞死」とされるフェロトーシスを利用する抗がん剤の開発を行う��FerroptoCure大槻雄士氏から、がん細胞はフェロトーシスによる細胞死を抑制し自己増殖するため従来の抗がん剤は効かなくなり再発の可能性も高くなるところ、細胞死の抑制メカニズムを破壊する抗がん剤の開発を進めているとの説明がありました。いずれも大学発ベンチャーであり、研究者と現場の技術者・医者との共同創業の企業であるところにTEPは優位性を見いだしたものと推測します。また、TEP自体が広いネットワークを有しているので、既存大企業等との事業化が進むことを期待します。次に、彼らベンチャー企業と大企業との連携・協業・競業についてパネルディスカッションがありました。登壇者はBioPhenolics��CTO/筑波大学生命環境系・教授である高谷直樹氏、��FerroptoCure代取/CEO大槻雄士氏、既に認定企業となり発酵菌のライブラリーを有する�螢▲襯�ルバイオ 代取/CEO木村 周氏、大企業のオープンイノベーション窓口に当たる三菱電機�螢咼献優好ぅ離戞璽轡腑麕槁�峯藤健司氏と、事務局からTEP副代表理事尾��典明氏でした。知財の扱いについてのベンチャー企業と大企業との対立、大企業側の担当者の度々の異動と関係性再構築の手間、大企業内部における縦割り構造による他部門との調整の大変さ、ベンチャー側の事業化の意図と大企業側の取込みの目論見との差等の問題点が指摘されていました。三菱の峯藤氏は研究者でもあり管理部門の経験者でもありで、これらの問題の克服の重要性を理解していましたが、全般に大企業においてもCVCにおいても、ベンチャー経営や開発の実務を肌で体感していない担当者・その上司が増えていることが根本の問題だと思います。 - 2024.1.26
新川崎マッチング展に参加。
― 新川崎所在のKBICに入居するスタートアップ及びその周辺の大手企業等が組織する新川崎地区ネットワーク協議会(SKNC)が主催する技術紹介や資金調達の説明を行うイベントで、今回は武蔵小杉の川崎市の施設での開催でした。最初に技術ピッチとして、スタートアップから、0.1�舒焚爾旅眄催戮妊優犬鮗�動締結するロボット等を製作する��CoLab、ロボットが取得するインフラ３次元情報から保守改修を解析する等の�螢ぅ�シス�蝓⊆蠅瞭虻郛霾鵑鮖箸辰銅蟶邏肇蹈椒奪箸鮴�御するモーションリブ�蝓�大画面画像を見ながら作業を可能とするARカメラのカラーリンクジャパン�蝓�光に起因するハレーションを除去し検査等を効率化するシンクロア�蠅�説明をしていました。続いて、大企業等からは、工程の自動化と新素材開発をベンチャー等と開発したいとする日本鋳造�蝓⊃轡咼襪侶�設に際し外部企業とのコラボ用空間を用意するとするNEC、においセンサーや材料開発をスタートアップと開発したいとする太陽誘電�蝓⊃契邵蠅棒瀉屬垢詢婿劵灰鵐團紂璽拭爾龍ζ瑛�用の相手を求める日本アイ・ビー・エム�蠅�説明をしていました。資金調達ピッチとしては、ナノインプリント技術を使って３Dセンサーや光源レンズを開発しようとするSCIVAX�蝓�運動選手向けトレーナーのノウハウをアプリ化して提供するeightis�蝓△修譴豊�CoLabと�螢ぅ�シスが説明していました。これらに合わせて、ピッチ企業を含む20数社の展示と説明が並行して行われており、眼と耳で各企業の実態を理解させる工夫がされていました。面白いのは、大阪に本社があり製造工程ラインの映像情報で品質検査と工程改善する�螢侫張僉爾�展示していたことで、仲介はキラボシ銀行で、支援機関同士の協力の一つを見た次第です。全体の状況としては、これらの他に講演会もあり、中身が些か欲張った感じがすること、大企業の説明の焦点が絞られていないことなど、主催者の苦労は十分に理解できるとしても改善の余地が感じられました。 - 2024.1.18
RIETI BBLウェビナー高度「人材育成の課題 − 国産半導体復活への挑戦」に参加。
― 北海道大学学長寳金清博氏から、ラピダスの半導体工場が進む状況に対し、同大が人材育成と供給にどのように対応しようとしているかとの説明がありました。非常に現実的な問題であり、かつ、大学の立場の具体的対応という非常に珍しいテーマでのセミナーでした。今までの２倍の人材を修士ないし博士で卒業させなければならない、しかし半導体関連の人材は他の学部よりも相当レベルが高いので他の学部から嫉妬を受けても集めて育てないといけない、しかし育てると言っても教える人材(教官)が居ない、更に実技の場としてのクリーンルームやプロセス、実装置が必要であるが大学ではどうしようも無いので企業と連携しないといけない、しかしその企業は我が国にはそんなに無い、との説明でしたが、長い間に競争力を失った産業に対する人材育成の難しさを浮かび上がらせた内容でした。経産省がいずれ旗を振って、何らかの調整に乗り出す可能性はありますが、国内ではキャパが無いとすると韓国や台湾の企業の協力を得るしかないので、非常に難しいと予想されます。本来は文科省の教育の問題ですが、省際でどのようにアクションプランを作って行けるのか、課題は大きいと改めて感じました。 - 2024.1.18
(公社)自動車技術会セミナー「次世代技術の真価を問う―ペロブスカイト太陽電池で日本は勝ち上がれるのか」に参加。
― 今後の実用化が期待され我が国が開発を先導していると言われているペロブスカイト型太陽電池について、色素増感半導体等の研究後、富士フィルムでリチウム二次電池の開発を行い、退社後は桐蔭横浜大学教授に就任、同太陽電池の研究開発とその技術の普及のためペクセル・テクノロジーズ�蠅鮴瀘�し代表取締役も務めている宮内 力氏から、技術内容の説明と実用化への課題について、説明がありました。ペロブスカイトとは「結晶の形」のことを言いABX3の構造を有しているとのことです。金属酸化物を使った同型の材料は、強強誘、圧電、超伝導の特性を持つものが合成されており、ハロゲン元素を使うAがCs ++, CH 3 NH 3 ++, HC(NH 2) 2、Bが Pb 2+又は Sn2＋、Xが I−, Br −, Cl −のからなる物質が太陽電池の機能を有するとことでした。同氏等が太陽電池としての論文を2000年代に発表し、世界的に注目を浴びており、我が国が優位性を持つ技術であると説明していました。吸収する太陽光の波長領域が広くエネルギー転換効率もシリコン系を上回る、雨天・曇天でも発電する等の特色がありながら、製法上の特性としてはインクジェット方式で樹脂・ガラス上に塗布でき、しかも光が電池を徒過するので窓ガラスを電池にしても室内は暗くならないなどの利点もあるとのことでした。当然のことながら中国初め世界中で開発が行われていますが、一刻も早く工業生産に移行すべきとのことで、我が国の生産管理技術を活かせる大企業を核とする連合体が2ないし３つ立ち上がって競争して欲しいと力説をしていました。ペロブスカイトについては早くから耳にしていましたが、体系だって説明を聞いたのは初めてであり、理解が進みました。企業連合体が２，３つ作られるのか、現在の日本の企業行動からして可能かどうか、難しいところですが、リチウムバッテリーにおける資源の偏在が安全保障に影響を及ぼすことから、早期の立上げを期待したいと思います。 - 2023.12.22
ディープテックものづくり高速化セミナー第4回「最初の10台、次の1千台、そして5千台、さらに1万台へ。フェーズごとの目指すべきものづくり体制とは」に参加。
― 前回に続き、リバネス社とKOBASHI ROBOTICS社の両社が、��CuboRexを対象に議論を行うセミナーで、今回は、本格的に製造段階に移行しつつある同社の嘉数社長から、従業員20人を前提にした組織作りとレポート体制、継続的清掃を行える生産体制作り、人事評価や俸給表の整備等々、お友達スタートアップ体制から社長をトップとしたピラミッド体制への移行と苦労話がありました。お友達体制の問題点を感じ始めたのが10人を超えた当たりだということに驚きましたが、確かに10人と同時に打ち合わせを行い、決めていくというのもアイドリング時間が生じるのも事実で、早い目に拡大させる事業に合わせた組織としていくとともに、ベンチャーとしての柔軟さ・迅速さを両立させていかなければならない同社長の苦労が窺えました。20人規模になると管理部門のトップが必須でありこの欠如は致命的な問題となる、製造部門はピラミッド的組織が必要で営業はそうでないかも知れないが全体として製造部門を優先する組織作りとする、組織が未熟であると文句は社長に向かってくるものであるが相談できる右腕的従業員が必要であること、等々、大いに参考になるとともに、今まで接してきた事例や考えに近い意見を聞くことができ、有意義な場となりました。また、事業計画や中期目標を建て始めているとのことで、売上高利益率5％が当面の目標ということでした。この利益率が組織の維持・継続にとって最低限の必須事項であり、ここから組織運営等を考えるということもその通りと思います。 - 2023.12.15
XR×ビジネス Innovation Matching＠KBICに参加。
― 新川崎にあるKBICが主催するXRをテーマとするマッチング・イベントでした。XRとは現実世界と仮想世界を融合する技術の総称で、クロスリアリティやエクステンデッドリアリティとも呼ばれVR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)、SR(シミュレーテッドリアリティ)などが含まれるとのことです。最初に、SCIVAX�蠱翅蔀卆觧瓩�ら、ナノインプリント加工技術による3次元センサー用レンズの量産化を達成し、更に、本レンズを組み込んだ光源、3次元センサーモジュール等の研究開発を進めているとの説明がありました。ナノインプリントとは、半導体露光技術で加工した基板を金型とし様々な基板（Si、ガラス、樹脂、各種化合物半導体など）上に塗布した樹脂に押しつけてパターン転写をする技術で、半導体プロセスと同等のナノレベルで光学式センサー等の生産を可能にするということです。主力工場は富山市とのことです。非常に先端的な技術で既に実績も多数ある同社のようですが、更なる顧客への訴求ということでした。次に、カラーリンク・ジャパン�蠻濂脇睥汗�氏から、光偏光技術を利用した多様な光学部品・光学レンズユニットを製造し、VR/ARヘッドマウントディスプレイの高精細化・小型化をリードしているとの説明がありました。もとは米国のベンチャー企業と新潟県の有沢製作所との合弁で2000年に設立された会社で、本社は新潟上越市です。同社も既に実績は多数ありますが、更なる顧客への訴求と言うことだと考えました。次に、�螢▲好肇優綱� 吉宏氏から、XRデバイスレンタルサービスを立ち上げ、更にXRデバイス向けアプリケーションやゲームの企画・開発を進めている説明がありました。次に、��EVISION奥 秀太郎氏から、ゴーグル無しのVR、空中ディスプレー技術の説明、これらを使った舞台芸術の創作の説明がありました。東大等の技術による事業化で、何回か目の登板でした。最後に、富士通�蠱聘裄単�氏から、XRテクノロジーを使って新たなユーザ体験を創出すること等を核にして等々力緑地の再整備に取り組んでいる説明がありました。開放空間・緑地に何故XRなのか良く分かりませんでした。最初の２社は、富山や新潟という地方と川崎を拠点とし海外事業も展開している面白い企業で、引き続きの活躍を期待したいと思います。 - 2023.12.13
2023年度 NEDOベンチャービジネスマッチング会に参加。
― NEDOの多様な支援制度に採択された企業の技術紹介と商談を行う場で、最初に、ナノフロンティアテクノロジー�蠅�ら、チタン前駆体と金属酸化物粒子を複合させサンゴ状の細孔を有する膜の成形により世界一の光吸収率(98%)と長期高温耐久性(850℃3000時間)を持つ太陽熱吸収体を開発し熱発電を加速すること、稼働後のメンテをドローンを活用して夜間に行える仕組みを開発したことの説明がありました。光発電は世界の大勢となっていますが、太陽熱の利用は進んでおらず、先への可能性を評価されたと思います。次に、ティエムファクトリ�蠅�ら、「断熱性」「軽量性」「柔軟性・弾力性」「疎水性」「透光性」を有するエアロゲルと呼ばれる高断熱素材SUFA(Super Functional Air）の説明がありました。エアロゾルは100年ほど前に海外で発明された素材ですが、京大が常圧で製造する技術を開発し、透明粘着層に「SUFA®」微粒子を分散塗布したフィルムによってブラインドのように機能させることができると言うものです。NEDOには200℃程度の熱供給用機器の素材開発として採択されたようですが、省エネ等を狙う別用途で説明していました。次に、��Thermalyticaから、同じく超微粒子エアロゲル断熱材「TIISA®」が−253℃という極低温が求められる液化水素の輸送・貯蔵用の真空保冷容器の断熱充填材に利用されるとの説明がありました。物質・材料研究機構発の技術で、創業者達はグローバルなバックグランドであり、今後の公的機関発ベンチャーの一つの姿だと思います。次に、ORLIB�蠅�ら、Si負極に加圧下でリチウムイオンをプレドープすることで、充放電にも関わらずリチウム電池の高エネルギー化を図れる加圧電解プレドープ技術の説明がありました。これにより従来のリチウムイオン電池負極の10倍の容量を持つSi負極を実現し、どんな正極と組み合わせても1.5〜2倍の高エネルギー化が可能だということです。次に、�螢哀蹇璽丱襯┘淵検璽蓮璽戰好箸�ら、波力を受ける「フロート」と、発電機に繋がる「フライホイール」をシャフトで直接接続させることにより、波力の上下運動を受けた「フロート」がシャフトを通じて「フライホイール」を回転させ発電する小型波力発電システムの説明がありました。「フライホイール」を介することで波のタイミングに関係なく一定のタイミング・力で発電を可能とし、並列設置により大出力化を図れると言うことでした。同社は、慶応発ベンチャーとして振動エネルギー利用発電を進めていた会社で、20年ほど前に直接話を聞いたことがあり、その後多様な発電システムを開発してきたようです。次に、ジオシステム�蠅�ら、熱交換部に樹脂を使用する投げ込み式の熱交換器の説明がありました。流路にポリエチレン樹脂製の細管を使用することで熱交換表面積が大きくなる、流路を117分割することで圧力損失を低減させる等効率も上がり、耐腐食性等も高いとのことでした。次に、��C&Aから、地熱発電に求められる過酷な腐食環境に耐えられる材料開発として、ルテニウム-モリブデン-タングステン系新合金(Ru-Mo-W)を開発し、部材への表面コーティングや線材化を可能にしたとの説明がありました。多様な分野での技術開発の説明でしたが、言わば入り口から出口までをシステムないし機械装置として扱うものは少なく、要素技術的な開発の採択が多いと感じました。大学や研究所に近い技術を対象としたからかも知れません。 - 2023.12.12
第253回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 最初は、��LibeLi-io金 誠樹氏から、誰もが案件の進行管理を行えるプロジェクト・マネジメント管理ツールLibeLi-ioを開発・運営しているとの説明がありました。我が国で転職が当たり前となり新人が案件の開発・推進・管理に取り組むことが普通となり、また、途上国でも若い世代が数多くの事業を立ち上げようとしている状況に対応して、“全世界の労働者のビジネス推進スキルを今まで以上にレベルアップさせることを可能”にするアプリを開発しようとしているとのことでした。従来のコンサル業者の役割をアプリに果たさせようとするものですが、対象はやはりコンサル事業や研修、IT開発などのサービス分野に限られる、複雑な案件管理は難しいようです。また、利用例が抽象的な説明で、同社に出資している事業者の人材研修の進め方などの分かりやすい具体例を示すと、より迫力があったと思います。次に、��OUTSENSE高橋鷹山氏から、「折り工学」を活用した研究開発、試作開発及び量産を実施している事業の説明がありました。折りたたみによる物理特性を生かして材料や素材、部品の概念を変えてしまおうとするもので、幾つかの製品メーカーや装飾企業との連携が進んでいるようでした。同社は先月、羽田イノベーションシティの大田区第５回超専門技術ミニ展示会｢減らす展｣で実際のデモを見ており、積極的に存在感を示しており嬉しいところですが、もう一歩踏み込んで既存の製品の代替可能性を訴求すると更に存在感を高められると思いました。次に、��LEALIAN佐藤 俊氏から、軽自動車用着脱式車載小型バッテリー、これらを格納して大容量かつ低価格なポータブルバッテリーとし利用するバッテリーコンテナー、これらの稼働情報・位置情報を提供するクラウドシステムの説明がありました。これらにより、小型バッテリーのネットワーク化による仮想電線網(Virtual Power Grid)を創り上げ、新エネの有効活用と地域の災害対策に繋げようとするもののようでした。仕組みや意義は理解できますが、多くの標準化の実現やコンテナーの配送、コンテナーの設置場所と充電場所の確報等課題が多く固定充電基地網に置き換えられるかどうか、難しいと思いました。最後に、SAMURAI Security�袿誓遏｜匯瓩�ら、比較的若い高所得世代の相続相談無料アプリ『サラス』を立ち上げる一方で、事業者向けにサラスのユーザ向けに広告等を行える有料のサービスを提供し、収益を図ろうとする事業の説明がありました。相続のような私的な問題を相談した者に、外部の銀行や不動産会社からの広告が入ってくることは問題ではないかと思いましたが、ユーザー側が合意して居れば良いということかもしれません。 - 2023.12.8
福島浜通りスタートアップピッチ for VC・CVCに参加。
― 福島県南相馬市南相馬市産業創造センター(MIC)と双葉郡大熊町大熊インキュベーションセンター(OIC)を拠点に活動するスタートアップ・ベンチャーの資金調達のイベントで、11月22日に開催されたイベントの再配信でした。最初に、AstroX�蠑�田翔武氏から、小型衛星を成層圏まで気球で上昇させそこからロケット発射させることで、打ち上げ回数を増やし、少燃料で打ち上げを可能にして、低価格で誰もが利用できるプラットフォームを目指すRockoon方式の説明がありました。次に、��ElevationSpace小林稜平氏から、新規の部品・部材の実験や創薬の実験を行える無重力環境空間を提供する「ELS-R」プラットフォームの実現に向けて、打上げから宇宙空間滞空、帰還までの一連の技術を開発し、2030年にISSが終了した際の民間の代替サービスを提供することを目標としている説明がありました。次に��AIBOD松尾久⼈氏から、画像認識技術を含むIT技術会社の応用例として無人の小型店舗「BAITEN STAND」を立ち上げたとの説明がありました。在庫販売ができる商品は自動での決済等に問題はなく実験店も増えているとのことですが、弁当など生ものを扱うに際しては、注文取り、配達時の指定、指定先への配達、決済等の一連の仕組みを作り上げるのに苦労している様子でした。次に、オーシャン�裹估畴胴匯瓩�ら、供給制約あるリチウムやコバルトに頼らない「圧縮空気エネルギー蓄電池」の開発について説明がありました。供給安定性に問題のあるソーラー・風力をベースロード電源化しようとするもので、技術的な説明はありませんでしたが、1コンテナ・ユニットが1400KWH4200万円で大規模ソーラー発電事業者に営業して行こうとのことでした。最後に、��Zene井上昌洋氏から、健康保険組合や自治体を主なターゲットとし、個人の生涯発症リスクを予測し効果的な保健事業をサポートする「Zene360」の説明がありました。宇宙利用については夢とミッションと現実の事業化の両立が常に課題ですが、それに挑戦しているベンチャー２社でした。圧縮空気を活用した蓄電池は、技術的には従来からあるものですが、コンパクトに纏め上げて関連ソフトを含め営業に取り掛かっているということで現実化してきたのだと思います。営業先がソーラー・風力事業者としても設置場所が電力ユーザーの事業所も有りうるのではないかと思いました。 - 2023.12.8
ディープテックものづくり高速化セミナー第3回「売上10億円を目指す量産品質とは」に参加。
― 中堅企業とベンチャー企業との連携の橋渡しを始め面白い活動をしているリバネス社と、岡山の農業機械のメーカーである小橋工業�蠅�母体で開発設計や製造受託・支援等を行うKOBASHI ROBOTICS社の両社が、ハード主体の製品開発を行うとするスタートアップの量産を前提とした設計・品質・生産工程・アフターサービス等の体制作り、組織・人事などの課題を議論しようとするセミナーで、対象となる企業は��CuboRexでした。同社は、ロボットの開発生産を目指して創業した企業ですが、荒れた未整地の工事現場や農地などを走らせる運搬用ロボット、電動一輪車E-catを開発し、市場投入する段階で、どのように顧客と接していくか、営業をどうするか等の課題に直面して、代表CEOの交代があったとのことです。技術指向で新規製品の投入だけを考えるのではなく、顧客のニーズを踏まえ量産していくうえでの品質、それを実現する生産体制、営業体制などの組織作りが、交代後の社長の最大の任務だったとのことでした。スターアップにありがちなお友達による創業から、組織・集団による経営への移行を行ったとのことですが、現社長が明確に言及されたことは、ピラミッド的組織を作り、レポートラインを明確にし、リコールに備えての保険に加入したとのことでした。このようなお友達創業から事業体への移行は、ハード機器だけでなくソフト・アプリの開発を目指すスタートアップも全く同様と考えます。ただ、社長からは、VCなどは、例のキャズムの前のアーリーステージでの夢を主体とする活動の方に、高エバリュエーションを与える、会社価値はキャズムを超えると小さくなると、指摘していたことが非常に印象的で、我が国でベンチャーが育たないと言われていることの理由の一つだろうと考えました。非常に有意義なセミナーでした。 - 2023.11.30
芝浦工大第5回アントレプレナー連続実践講座〜ファイナンスとインセンティブ設計の戦術と実務について〜に参加。
― 前回に引き続き、�螢▲�デミック・ギャングスター代表取締役中川卓也氏から、スタートアップが資金調達をする過程で資金提供者との利益相反に陥る危険性、組織内部でのストックオプション設計の課題などについて、実践と経験に基づいた話がありました。資本主義の下では、VC等資金提供者はリスクを最小にし利益を最大にしようと行動するものであり、上場や買収など出口に至るまでの間、自由度を大きくし創業の理念に向かって開発を進めようとするスタートアップ側と、できるだけ早くできるだけ多くの資金回収を行おうとする資金提供者とは、経営方針は一致せず利害が対立する可能性があることが普通である。従って、株式保有比率を極力減らさずに資金を得るためには、種類株を発行する等の選択が行われる。種類株にも色んなタイプがあり、その内容・性格を経営者側は認識しておく必要がある。製品上市前の段階では会社価値の評価とそれに基づく株価(種類株を含む。)の算定も、後付け的となることは止むを得ないものの、株式譲渡益への課税の問題から第三者評価を導入すべきとの税務当局の動きがある。本来、スタートアップ側と資金提供者との契約は双務契約であるべきであるが現実には資金提供側が強く、米国のように費用は発生するものの弁護士が間に入り契約を結ぶのとは異なり、我が国では資金提供者側が契約案を作成することが多いので、要注意である。このようにスタートアップの創業には課題が多いことを意識しての決断が必要であることを強調していました。また、ストックオプションの設計についても、最初の付与株の価格、行使時の原資の調達に留意しないといけないことも強調していました。夢を追うことだけでなく、多くの現実の課題を克服していかないと、スタートアップが独り歩きできないことを認識すべきとのメッセージであると認識しました。多くの例を見て来られた立場での冷静な指摘でした。 - 2023.11.27
ベトナム・インドネシア市場の可能性：最新情報と現地進出事例セミナーに参加。
― ティーエスアイ�蠡召�主催するベトナム・インドネシアに事業展開を考える企業向けに２カ国の市場特徴と事業展開の方法及び進出事例を紹介するセミナーでした。最初にJETROハノイ事務所小林恵介氏とJETROジャカルタ事務所八木沼洋文氏からベトナム、インドネシアの経済情報と進出の際のリスクについて説明がありました。市場としての発展の可能性は高いものの、インフラの未整備や法制度の不安定性などを指摘していました。次に海外進出手法としてのパートナー提携、JV、現地法人設立、M＆Aなどについて、ベトナムはティーエスアイ�蠏�谷孝幸氏が、インドネシアはAAI�蠱翅遮⊇┿瓩�説明をしました。ベトナムはパートナー提携、JV、現地法人設立、M＆Aについて2,３の例をそれぞれ挙げて説明があり、日本企業の今までの実績は高いようでした。AAIの中村氏はインドネシアでの活動が10年以上に及び人的ネットワークだけでなく政府機関とのチャネルも豊富ですが、やはり、ジョコモ政権後の継続性や発展途上の法的制度による不安定性、独資での子会社の資本金が１億円となること等にも言及していました。最後に現地進出企業の責任者からの活動状況について、ベトナムは�螢▲螢江綸帖〕技瓩�ら、インドネシアはPT ARISE社の小野孝仁氏から、紹介がありました。�螢▲螢垢魯愁侫肇ΕД�開発会社ですが、東北大震災の時に同国出身の従業員が帰国したことをきっかけにベトナムにて子会社を創設したとのことで、当該従業員のネットワークで子会社が成長してきたと説明していました。ベトナムは家族・親族等の人的ネットワークが強く、価値観は家族第一となるが、これをうまく活用して(飲み会を含めて)、経営を進めることが大事と強調していました。JETROと同様に、物流網の未整備、中央と地方で異なる法律運用等のリスクにも触れていました。PT ARISEは北陸電気工事�蠅�70％、AAIが15％、AAI関連会社AWINAが15％を出資する合弁会社でソーラー発電設備のリースを行う会社とのことです。計画から３年を要して本年４月に創設に至ったように時間を要することに留意すべきとのことでした。法的な文章のチェック、中央・地方(416県)での非整合性等法制度に関わるリスクがあり、信用できるパートナーを如何に見つけるかが重要だと強調していました。具体例に触れ現地で経営に携わった方からの説明で有意義なセミナーでした。 - 2023.11.16
三井化学等「欧州事例から学ぶ！カーボンニュートラル社会で求められる「脱プラ」に代わる選択肢とは？」に参加。
― 三井化学�蠅里曚�、サステナビリティ等の調査情報発信を行うハーチ�蝓▲妊�ジタルビジネスのコンサル等を行う�螢瓮鵐弌璽困箸裡骸匐�催のイベントで、一言で「脱プラスチック」と言っていることの実態、“バイオ”プラスチックと“バイオマス”プラスチックの差、今後の我が国が進むべき方向性などを、議論しようとするものでした。最初に、三井化学グリーンケミカル事業推進室松永有理氏から、日本で2030年までに“バイオマス”プラスチックの使用量を200万トンとする目標に対し、“バイオ”プラスチックは2021年時点でわずか8万トン程で総プラ使用量1000万トンの1％程度であること、“バイオマス”プラスチックは原料が将に植物由来の原料から製造されるものであるが“バイオ”プラスチックは植物由来原料に加えて石油由来であって生分解性のプラスチックを含む概念であり我が国では混乱していること、同社は�’竸�油等のバイオマス由来のナフサを原料とすることに加えて�⊇祥茲稜僖廛薀好船奪�を再度ナフサ化して原料とすることで�Ｊ擦擦�CO2排出量を減らしていく方針であること、バイオマス原料は地域分散型資源であり集約の効率が良くないので上記の進め方を取ること、現在欧州で主導されているマスバランス方式と言うのは以上のような総体的なCO2排出量減少の取組みを示していると考えていること等の説明がありました。次に、ハーチ�螢蓮璽漸そ�グループの富山恵梨香氏と伊藤 恵氏から、欧米におけるバイオマスプラスチック先進事例としてフィリップス、ネピア、マクドナルド、マテル、BMW、ベンツ等の取組みの紹介が有りました。構造材としての利用については欧州でも課題があるようでした。次に、駒澤大学経営学部教授で現在デンマークAalborg大学客員研究員である青木茂樹氏から、脱プラスチックは不可避であること、素材をバイオマスに転換していく中でバイオマス資源の獲得競争が生じていくこと、バイオマス利用を進めるに当たってのマーケティング・ドライヴァーとしては計量化・数値化が重要でありマスバランス方式はその代表となること等を、現地の肌感覚で、説明をしていました。プラスチックそのもの利用を減らすとしても限界があり、バイオマス由来の原料に限定して製造していくことも当然原料の確保や森林確保・食料生産をどうするのかと言う問題が出てくるので、廃プラのナフサ化も必要であり、総合的なCO2排出の減少を進めて行きたいという主催者の考えは理解できました。結構な参加者数だったようで関心の高さが感じ取れましたが、廃プラのナフサ化に当たって選別や洗浄が必要なのかどうか、欧米の事例で彼らのバイオマスの原料は何なのか・どのように確保しているのか等の疑問は残りました。 - 2023.11.14
第252回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 最初に��PRESENCE三戸究允氏から、介護事業を運営していく中で直面している高齢者の身体機能の低下の予防の観点から、オーダーメイドインソールを使って機能回復を図るe-lab歩きの専門店を開業したとの説明がありました。同社は主にデイサービスを行っている企業ですが、高齢者がインソールを使用することで身体機能が使用前と大きく変化し、改善が見られることを実例で示していました。今後、これを高齢者だけでなく子供から中年層に幅広く使用できる商品とし、現在の個別オーダーメイド生産からセミオーダーないし汎用的商品生産へ、提携店の拡充と事業を拡大する方針で、スポーツ業界を対象にマラソンランナーをモニターに効果測定を行っているとのことでした。次に、アシオット�蟷鮎緲綿浸瓩�ら、既設のインフラメーター(電気・ガス・水道)や工業計器(圧力計や温度計等)に、カメラ等を搭載したデバイスを後付けして無線送信でデータを取得するA Smart事業の説明がありました。カメラで取得した映像を機械学習させて数量化し、これらデータを蓄積、集計、帳票出力等を行うことで、従来の水道やガスメーターのように独自電源が得られなかったメーター、商業施設の個別テナント用の管理メーター、工場の各種情報取得を可能とするとのことでした。最後に��D4エンタープライズ鈴木直人氏から、80年代、90年代にはやったゲーム等を、現在のスマートフォンや最新のゲーム機でも対応可能とするべく、著作権の取得、技術的改良等を行っている事業の説明がありました。今後、東南アジア向けにWeb3のブロックチェーンの技術を用いた新規のサービスを行いたい旨の説明がありました。 - 2023.11.14
新川崎創造の森VC・CVC×ベンチャー資金調達Pitch vol.2に参加。
― 新川崎創造の森に入居するベンチャー企業等の資金調達のイベントです。最初は、eightis�蠱翅赦陀啝瓩�ら、スポーツトップトレーナー達がスポーツ選手を診る際の「身体の見立て」「どこを」「どの順番で」「何のトレーニングをすべきか」等の暗黙知を形式化して集合知としてシステム化し最適トレーニングメニューを提案するshintaiアプリについて説明がありました。次に、iDP�蟯篥� 淳氏から、糖尿病・高血圧症・脂質異常症等の重症化予防のため、医師が積極的に指導を行う「生活習慣病DX」アプリ開発の説明がありました。聖マリアンナ医科大学や総合川崎臨港病院等との連携で開発を進め、現在川崎市周辺の50病院でパイロット的利用を行っているとのことです次に、エムテックスマート�蠑�松あや氏から、同社のあらゆる塗材を薄膜で積層コーティングする技術を基に、PEM(Polymer Electrolyte Membrane)型電気分解装置の高分子膜に電極触媒を塗布する技術を開発し、この塗布装置を量産化するための資金調達を行っているとの説明がありました。前回のピッチではペロブスカイト太陽電池の心臓部の電極形成の説明でしたが、今回は更に進んで水素製造の話でした。次に、ヨダカ技研�衒親� 衛氏からは、１個の細胞を正確に取り出しDNAのシーケンサーを解析していく先端バイオ研究に必要な細胞を吸引し、移動し、解析用・培養用の容器内で観察可能とする同社の技術の説明がありました。振動抑制型超微小液量吸引吐出ポンプ（TOPickポンプ）と搬送用ロボットをタッチパネルの簡便な操作によって誰にでも簡単かつ安定的に、最小100pL（100ピコリットル：100億分の1リットル）単位の液量を吸引・吐出することができるものだそうです。次に、��EVISION奥秀太郎氏から、東大先端科学技術研究センター稲見研究室、明大総合数理学部福地研究室と共同開発した特殊映像技術「GHOSTGRAM」をエンターテイメントにどう活用するかの説明がありました。劇場でのゴーグル無しのVRの実現や空中結像 (AIRR : aerial imaging by retro-reflection)による能の実演等を狙っているとのことでした。次に、�螢瀬ぅ皀鷸安霑和聖瓩�ら、米国アルテミス計画を中心にして月面探査市場の具体化が進んでいる中で、同社が開発している超小型、超軽量、高強度の月面探査車「YAOKI」の説明がありました。本技術を技術パートナー企業に提供し世界初の月面探査や月面工場建築等での収益事業を実現するとのことです。最後に、��Zene井上昌洋氏から、高精度ゲノム解析を活用して個人の生涯発症リスクを予側する「Zene360」サービスにより、健保等の医療費の効率化を図ろうとする説明がありました。 - 2023.11.10
(公社)自動車技術会製造技術部門委員会ＤＸ活用のススメ〜Motivation Transfer〜に参加。
― 最初に委員長の東京電機大学松村 隆氏から挨拶があり、DXが多義に使われていて不分明なところもあるが情報化を進めてその果実を得るという動機を大事にすべきとの挨拶が有りました。最初は、マツダ株式会社井上 実氏から「部品剛性を考慮した公差解析展開による樹脂部品開発の革新と効率化」として、多様な樹脂材が自動車部品に使われているなかで、CAD等の設計を行い事前の解析を行う際に、金属材料等は解析ソフトが多く存在する中で、剛性等に問題のある樹脂材対象の解析ソフトがなく、組立て・出荷後の変形などの問題があったとの説明がありました。これに対処するため米国３DCS(ファソテック社が米国DCS社の代理店)を利用することで事前の解析が行えるようになり、どの要因がトラブルに繋がるかの寄与分析が可能になるとともに、組立て工程の順番や作業手順などが明確化マニュアル化でき、製造現場との疎通も進み、不良率の低減、コストの合理化が進んだ成果の説明がありました。次に、旭鉄工株式会社木村哲也氏から、「旭鉄工のＤＸと儲かるカーボンニュートラル」として、Tier1である自動車部品製造の同社の３代目の社長が先頭に立って進めている、現場の作業改善、工程改善のみならず省電力によるコスト削減等のメリットを生む社内の情報活用の実践について説明がありました。同氏はトヨタに入社し生産管理を経験した後同社に戻り社長に就任したとのことですが、同社で最初から改善・情報活用リーダーの立場で、工作機械等の稼働状況を24時間常時一元的に収集する仕組みを創り上げ、現実の加工を行う実稼働時間、加工と加工の間の待機の時間、昼や夜の無作業時間を割り出し、特に夜間の電源を落とすこと等で省エネを実現したほか、機械稼働状況の情報を即時取得して加工の問題や機械のメンテ状況を把握する等のシステム化(iXacs)を実現したとのことでした。現場の改善等には率先して当たるとともに、従業員を褒める、従業員からの発信を歓迎する民主的運営が非常に重要だと指摘していました。iXacsを外部の企業に導入して改善指導を行うために別会社のi Smart Technologies社も立ち上げているとのことでした。次に、DMG森精機株式会社ブルーメンシュテンゲル健太郎氏から、「加工工場の工程集約・自動化・GXを支えるDX 」として、ドイツのインダストリー4.0の概念に基づいて、自社及び他社の工作機械を製造時期にかかわらずネットで繋ぎ、情報をクラウドで一元的に把握して、現場ではなく同社の方で、稼働状態や異音等の異常状況を把握・分析して、機械装置の予防保全を図れるシステムを創り上げたこと、世界中の中小工場に同社のシステムが導入されていること等の説明がありました。同氏は、ドイツNRW州の日本事務所が主催するセミナーで講師を務め、同社の子会社であるテクニウム�蠅亮卍垢鬚靴討い襪箸海蹐�ら、この分野は詳しく、同時にDMG森精機社のIoT取組みの進展が窺える内容でした。最後に�螢侫．愁謄奪�一ノ瀬淳氏から「試作前に品質追及や手戻りレスを実現する、ＤＸ時代に求められる組立現象のMBD化」との説明がありました。DXと言うバズワードが一人歩きしている現状において、現場で如何に情報を活用するか、現場とトップが一体となって情報活用を進めて行けるのか等を考える機会となりました。旭鉄工社の取組みが非常に印象的で、イノベーションの具体化は全社一体で取り組む必要があること、中堅企業の創業者・同族の重要性を改めて感じた次第です。同社にはその成果を従業員の処遇にどのように還元しているのかを聞いてみたい気になるとともに、第三者コンサル企業が開発し導入したシステムが本当にユーザの血肉となるのか、大いに疑問も感じる内容でした。 - 2023.11.8
大田区第５回超専門技術ミニ展示会｢減らす展｣に参加。
― 重量、製造時間、材料ロス、消費電力、コスト、熱、公差等減らす技術に特化し、これらに特色のある技術を有する中小企業が14社出展した展示会でした。14社と少ないので、人出も多くないかと思っていましたが、結構な参加者で賑わっていました。最初に、金属製の自動車部品の加工等を行う丸隆工業�蠅�ら、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を使い複雑な形状の部品を、強度をアップし「重量」を減らして製作・加工する説明が聞けました。大手自動車メーカーの研究所等から数年先を睨んで開発を行っているCFRP部品の試作依頼があり、大小・長短の幾つもの部品を成型加工しているとのことでした。成型加工装置は日本の有名メーカー製を導入していますが、これらの装置を使いこなすノウハウを蓄積し、大小を問わず短期間で納入しているところに同社の強みがあるように思われました。２社目は、磁気研磨により金属加工部品の微細微小の「バリ」を取りつつ研磨を行う�螢廛薀ぅ�リティから、磁気研磨機PRiTiCのデモを見ながら、底部で永久磁石を回転させている水槽に、目的とする部品とメディア(微小なステンレス針でこれが部品とぶつかってバリを取る)、洗浄原液を入れて回転させている間に滑らかになっていく原理を聞きました。コペルニクス的展開で、非常に簡単にしかもランニングコストを減らして自動でバリを取り研磨を仕上げる装置を開発したのだと感心しました。３社目は、折り紙工学の��OUTSENSEで、折り紙でゴミの嵩を減らそうと言うものです。先般、JSTの芝浦工大新技術発表会で説明のあった重宗宏毅准教授のことを聞いてみましたところ、学会での交流等があり、双方ともに、技術内容等は良く知っているとのことでした。応用例などは共通の所が多かったですが、同社は設計・見本の制作、量産メーカーとの協業、ユーザ企業からの受注とデザイン、納入等の全体の調整も行っているとのことでした。大田の企業から芝浦工大の話を聞けたことは意外で、何か両者の協業が生まれると良いなと感じました。展示会そのものは面白かったですが、開催場所の羽田イノベーションシティが最新の施設であるのに、最寄駅からの表示、施設・建物内の案内などが非常に不親切で、しかも多くの棟と各室は独立して縦割り的な閉鎖空間のようになっていました。折角、イノヴェーションを謳うのに、京急や鹿島等の運営企業群の意識の変革が必要ではないかと感じた次第です。展示会の側に大田金属加工の７社が共同で借り上げ運営しているMETALIZMの展示室兼談話室があり偶然覗いて話を聞けました。展示会場との連携や大田区産業振興協会分室との連携がうまく行っておらず、孤立しているようで、折角の７社の努力が空回りしているように感じました。課題の多い施設だと思います。 - 2023.11.7
地域産業創出セミナー2023第三回「自動車用量産機器製造の中堅企業が、 スタートアップとの連携で異分野への進出を加速」に参加。
― 関東経産局が中堅企業とスタートアップ企業との連携により地域の産業活性化を図ろうとする事業の一環としてのセミナーです。今回は、栃木県の中堅中小企業で自動車の量産機器製造などを行う�螢▲�キシンテックと、養豚経営管理ソフトウェア 「Porker」を軸に養豚事業をサポートとするスタートアップ��Eco-Pork との連携の紹介でした。アオキンシンテックは創業30年弱で青木圭太社長は創業者の息子で２代目、会社自身もまだ若いと言えますが、自動車産業の将来が見えにくくなっている現代、青木氏としては単に既存の自動車業界からの発注だけでなく、第三社と協業で新規事業を産み出す共生型の町工場への変革を目指し、宇都宮大との連携でベンチャー支援事業をも始めているとのことでした。��Eco-Porkは、情報技術を利用して養豚事業を見える化することで、合理化と付加価値化を図ろうとするスタートアップで、創業６年で鹿児島にも拠点を置き鹿児島大とも繋がっているとのことでした。両者の出会いは３年前で本セミナーの主宰者であるリバネスが仲介したとのことですが、当初は両者の考え・協力の内容等が噛み合わず、翻訳機能を含めて仲介者の存在が非常に有意義であったとの説明がありました。アオキシンテック側は、社長は他社との連携に熱心ではあるものの、社内の大半は従来からの自動車業界からの発注対応で何が問題なのか理解できず、社長が率先して打ち合わせに臨み社内の理解を深めてきたとのことですが、それにも１年要したとの点が驚きでした。Eco-Pork 側はソフト会社であるため、養豚業者によって一つ一つ異なる豚舎内に設置するモニター用のハード設備をどうすれば良いかが分から等で、スペックの具体化・仕様の明確化への意識変革に時間を要したとのことでした。モニターの設置等を始めとし、「外付け流水センサ(IoT) による豚舎における元管の不具合検知及び飲水量測定」システムを具体化導入したとの説明があり、これらの連携からGoTech事業を鹿児島大を含む３者で獲得し有効利用している説明もありました。問題意識を明確に有するトップが参加しても議論が噛み合うのに１年掛かること、従業員の意識改革が伴わないと具体化しないこと、最初の共同事業は金額が小さくても具体的な成果を出すこと、両社を知悉する支援機関が仲介者として橋渡しをすること等が他への応用に必要であると総括していました。全くその通りですが、文字通りの中堅企業が連携主体として取り上げられることは今まで非常に少なく(今回のアオキシンテック社は中堅どころの中小企業)、中堅企業との連携は難しいのかも知れません。更には大企業とスタートアップとの連携は(M＆Aではなく)もっと難しいと感じた次第です。 - 2023.10.27
芝浦工大第４回アントレプレナー連続実践講座〜スタートアップにおける事業・資金・法務について〜に参加。
― 今回と来月は、�螢▲�デミック・ギャングスター代表取締役中川卓也氏から、スタートアップ起業家と支援者に必要な金融資本戦略等のリベラルアーツとスタートアップ・エコシステムの問題点について講演を聞くこととなっています。同氏は、外資系の証券会社やコンサル会社に長く勤めて、数多くの技術系スタートアップと付き合いがあったようで、実例を念頭に置いて、技術系スタートアップの立上げ時のトラブルから、イグジット間近になってのトラブルまで、主に、資本調達に伴う契約問題や、創業ティーム間で生じた意見の差異解消の基本となる契約問題等々について解説をしていました。技術者の創業者に欠けがちなミッション・ヴィジョンの重要性、創業ティームが纏まって目標に進むための保有株式比率についての留意点、創業時からイグジットまでの数年の時間軸を常に意識して経営する必要性等を強調していましたが、会社の価値は組織の人材の力と広義の知財(ビジネスモデルを含む。)の掛け算で決まるものであり、社長(トップ)の仕事の半分は人事であるという点に深く共感を覚えました。更に、創業者には、マルティタスクを実行できるマルティの才能が必要であるとともに、組織をフラット化してマネジしなければならない等、日本の通常のコンサルやVC等が見落としそうな点も指摘があり、我が意を得た点が多々ありました。難しいのは、最初から敷居を高くすると大学発ベンチャーは出て来なくなる一方で、何でも良いとなると起業して直ぐに倒れてしまうこととなり、この兼ね合いをどうしていくべきか、また、大学が外部の経営人材とのネットワークを如何に構築して行くのか、改めて課題山積であることを感じました。 - 2023.10.12
(公社)自動車技術会「日本のものづくりの勝ち筋―デジタルで進化する現場力とコスト競争力」に参加。
― �螢譽ぅ筺璽此Ε灰鵐汽襯謄�ングが実質構成したセミナーで、オリンパス�蠎更毀魄�・製造担当役員・製造機能長江口和孝氏による「「人のモノづくり」と「技術のモノづくり」 の融合」を聞きました。同社は取締役の大半が外国人となっており実質外資系企業と言えますが、製造拠点の大半は国内にあり海外に大きく輸出している状況にあります。このような要因から我が国の他の大企業と比較して、国際化や情報化への取組みが外部取締役から経営陣に強く求められ時間を要したものの諸般の取組みの成果が見えてきたと言うことだと理解しました。最初の小テーマが“「匠の手作業」のディジタル化”で、これは、大方のディジタル化とかDXとかを謳ったセミナーで取り上げられるものですが、会津若松市にある内視鏡の工場を例にして、超微細加工を行うラインの女性従業員等の作業を分析して可視化し、検査も自動化してきた取組みを紹介していました。驚いたのは「匠」と言うものの殆どラインでの組立ては女性従業員が担当しその中からベテランの従業員を育て指導に当たっている姿でした。しかし、作業分析や検査の自動化のシステム開発は恐らく男性主体の別ティームが行っていると思いますが、暗黙知の形式知化、これらの水平・垂直の共有と更なる精度向上が男性・女性従業員で分かれたティームにおいて如何に取り組まれているのか、非常に興味を持ちました。次の小テーマが“現場力を可視化する実際原価の導入”で、普通の大企業では標準原価方式を用いて原価差異を求めコスト分析をしていきますが、これは標準との乖離を見るので分析には限界が出てきます。同社は個々の製品(品目)ごとの実際原価を求め、個々個別の原価構成から削減可能な個々のコスト要因を割り出して、価格競争力を産み出す取組みを行ったとのことでした。これは社内全体のシステムを根本から変更するだけでなく、部品外注先や連携外部営業組織のシステムも変更することを意味している(と考える)ので、革命に近いと思いました。上手く並行してシステムを開発し切り替えるだけでなく意識改革やマニュアルの変更など大作業であったと考えます。最後に“BOM連携による設計開発・製造情報のディジタル化”で、設計段階の情報が、外部の部品発注先や部材調達先にそのまま流され、これらが指定のタイミングで納入、組み立て工程に持ち込まれ、製品や部品の在庫管理も行い、かつこれら関係先を含めてのセキュリティ対応を確実にするものだと理解しました。同時にバーチャルの工場・工程において組み立て・製品化の試行を行ったうえで実行していく仕組みも作ったとのことで、言わば“インダストリー4.0”の完成系を狙ったものと言えます。同社がここまでの情報化(情報を徹底的に活用する)を進められたのは、実質外資系の企業であることが最大の要因であり、他の我が国の大企業では難しいと思いますが、同時に、実際原価方式や外部取引先と一体化したシステム開発を行うという革命的な対応は、他社では過去からの経緯で難しいのだと想像しました。我が国の情報化が遅れコスト競争力が失われているとの指摘は巷に溢れていますが、他社がここまで踏み込んで取り組めるのか、次に同社が研究開発を進めて新製品を産み出せるのか(新製品ごとに実際原価から調達までのシステム変更を伴う)、中国など新規企業が白地で新製品を製造するときの容易さと比較して分析すべきではないか等々、大いに考えさせられたセミナーでした。 - 2023.10.10
第251回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 最初に��Clean next西山貴代氏からホテル清掃に特化した業務の改善と人材育成の説明がありました。従来は、ホテル・旅館の清掃業の人材育成はOJTが中心で、その教育者・指導者の不足と教育・指導内容の明確化と共有が課題となっており、同社はコンサル会社として、人材育成用の電子化教材の開発と運用システムの開発を進めているとのことでした。西山氏自身の有するホテル清掃の現場実務に基づいたコンサル内容とシステム開発を進めており、これが同社の強みとの説明でした。スマートグラスを用いた教育や清掃スタッフの視線や行動データの自動分析等を進めて、事業の強化を図っていくとのことでした。次に��Lively岡 えり氏から、多種多様な聴き手によるアクティブリスニング（傾聴、深掘り、共感等）をオンラインで行うLivelyTalkサービスとアクティブリスニング教育サービス（企業向け研修、一般向け講座等）の説明がありました。３人の子育の中で感じた孤独感を如何に克服するかから始めた事業で、孤独克服が社会生活の円滑な実施や精神疾患治療等の幅広い基盤となっており、確実なニーズがあることは確かで、情報化社会で固定費を気にせずに事業化が進められるのではないかと思いました。聞き手(スタッフ)に対する内部の訓練・評価制度も整備しており、会社マネジメントの充実を図りつつ事業を進めて行って欲しいと考えます。最後に�螢侫 璽好肇�ルー彦田庸三氏から、石川県河北郡内灘町で開業しているがん患者に対する鬘のデザインやフィッティング、化粧等の「総合外見ケア」店舗の紹介、患者が立ち寄れるカフェ併設の計画、これら店舗の全国展開の計画等の説明がありました。地元金沢の大学だけでなく東京の大学病院等との支援を受け、商品の開発やスキルの共有化、ネットワークの構築を進めて行くとのことでした。今回の３社は、いずれもニッチでありながら社会的にニーズがあるサービスを進めて行こうとする特色のある若手の創業であり、都市だけでなく地域の活力向上に貢献していって欲しいと思いました。 - 2023.9.27
芝浦工大第３回アントレプレナー連続実践講座〜スタートアップにおける知財の必要性・重要性〜に参加。
― 今回、最初は、(一社)発明推進協会産学連携・スタートアップアドバイザー/知的財産プロデューサー戸��善博氏から、「スタートアップにおける知財の必要性・重要性」として、知的財産、特に特許についての制度説明と、スタートアップの観点から外部弁理士に頼むのではなく内部作業により要所を押さえて数多く出願しているスタートアップ事例の紹介などがありました。更に、企業が出願すべき外国として米国だとの説明がありました。米国は必須だと思いますが、市場の大きさと制度の信頼性から中国への出願をどう考えていくべきか、意見が無かったのが残念でした。ただ氏の技術者としての経験から、稲盛氏の“思い”を突き詰めて具体化して行くことの重要性について触れていたのが印象的でした。次に、BASE�蠧�川真氏から「起業家から一言」として、同大工学部でロボット制御等を専攻し、卒業後FAの中堅メーカーに就職後、ウェブ技術やメール等通信技術を学習して起業し、現在は同社の技術担当役員として100人近い技術者を束ねている状況について説明がありました。現在までに至る色んな人とのネットワークが同社の幹部就任に繋がったことを強調していたと思います。 - 2023.9.21
JST新技術説明会 芝浦工業大学に参加。
― 最初に、工学部応用化学科永 直文教授から、「誰でも簡単に出来る！多孔質高分子ナノコンポジットの合成」として、エタノールとジメチルホルムアミド等の混合物である汎用溶媒中で、重合性シリカ・ナノ粒子を含むメタクリル酸メチル(一般に無色透明で強度が高くガラス代替等に使われる物資、PMMA)をラジカル重合させることによりナノレベルで多孔質のコンポジットを合成したとの説明がありました。溶媒の組成により繋がった孔、独立した孔、それらのサイズを制御することも可能とのことでした。従来方法では高圧反応装置が必要で独立孔構造となることから、常温常圧で多様な形状・サイズの孔を有する材料を製造できるところに特色があるとのことでした。次に、工学部電気工学科重宗 宏毅准教授から「任意の場所とタイミングで自律構造形成するトリガー技術開発」として、紙を自律構造形成する技術により折紙デバイスの利活用を目指す研究開発の説明がありました。３次元折紙構造を自律的に構成する手法は、”Self-folding”と呼ばれ、電流や加熱の刺激を与え折り曲がりを誘発する従来手法に対し、特殊の溶液を使って紙の表裏の折目に線・面等の異なる印刷を行い、熱・湿度・振動等のトリガーにより折紙構造を自動形成するというもののようです。生じる現象(自動的に折り曲がる等)は自明ですが、印刷機で裏表に線等を印刷した紙が何故曲がって行くのか理解は越えています。平板な紙の状態で輸送し輸送先の現場で箱として組み立っていくことで省エネ・省コストになると説明していました。次にシステム理工学部電子情報システム学科高橋正信教授から、「重畳する多数の線状物体から個々の線状物体を抽出する方法」として、毛根から生じる髪の毛を隠れたり重なったりしている毛を全数的に把握する画像認識処理について説明がありました。一般に多数の線状物体が重なる画像において多数の物体を個々に抽出する従来手法としてはMask-RCNNがあり、これは物体を囲む矩形の領域を取り出して画像認識させるため、矩形が重なると抽出精度が低くなるとの問題があるのに対し、本手法は抽出する線状物体を、シード（種）によって指定し個々の線状物体を高精度に抽出(セグメント化)するとのことでした。最後に、デザイン工学部デザイン工学科田邊魔匡生教授から「プラスチック選別の実現によるリサイクルの高度化」として、プラスチックの種類(素材種類、添加剤、成形方法)によりサブテラヘルツ・テラヘルツ光源の反射率、透過率、吸収率が周波数で異なる分光学的な情報を活用し、分別・選別を効率化させる技術について説明がありました。従来は近赤外光の透過率・反射率を用いて識別してきたが、近赤外光はエネルギーが大きく、着色されたプラスチックは検出不可であり、プラスチックの劣化や変形によっても検出不可となる限界を、周波数の差異によって識別を行おうとうするものです。恐らく、紙のような貼布シートがなく洗浄されたプラスチックには応用できると思いますが、自身も指摘しているように複数のシートが重なっているものは識別できず、2・３種類のプラスチックにまで選別されたものを最終的に選別するようなことには実用は近いのかもしれません。 - 2023.9.12
第250回MINEVAビジネスプラン発表会に参加。
― 記念すべき250回でしたが、通常通りの発表会でした。最初は、ER�衙尚豺飴瓩�ら、地域連携で地熱を活用し、発電から温水利用農業や養殖漁業を進めようとする事業計画の説明がありました。地熱利用は地下の熱水を噴き出させこれで発電等をさせるために従来から温泉業者との調整が難しく利用は進んでいませんが、同社は地下深部までパイプを敷設し地表から水を注入して温度150度程度に加熱して地表に戻し利用するというのが特色だと理解しました。しかし残念ながらそれによる開発資金の増大と農業・漁業まで含めた多利用による売上増大の比較がされておらず、また候補地点が全く挙げられていないので、具体的な事業のイメージは掴めませんでした。ただ、非常に若い世代がほぼ単独で地熱開発に取り組んでいることには敬意を表したいと思いました。次にLife Analytics�蟲彿歸賃膕雹瓩�ら、多様なメーカーのフォーマットが異なる多様な機種に一元的に対応できるライフサイエンス・医療・産業分野の研究開発向け画像解析ソフトの開発・販売について説明がありました。更に一元的対応だけでなく解像度も統一的に調整して表示できる等の特色があり、研究機関や病院の時間・人件費の節減になるとのことでした。スタッフも世界中の有名機器メーカーで働いた者で構成されていて、日本的でない点が面白い反面、既存の機器メーカーやソフト会社との共存が進むのか気にはなりました。創業１年であり市場への浸透はこれからのようです。 - 2023.9.1
南相馬市ベンチャー×地域産業meetup in ロボテスフェスタ2023に参加。
― 福島ロボットテストフィールドを拠点に活動するスタートアップと多様な企業との連携を目指すイベントで、開発の進捗の報告を兼ねての開催のように見受けました。最初に、��ElevationSpace宮丸和成氏から、東北大学発の宇宙スタートアップとして、地球に帰還させる小型衛星内で無重力環境を生かした実験や実証などを行う宇宙環境利用プラットフォーム「ELS-R」の衛星・システムの開発を進めていることの説明がありました。次に、Zip Infrastructure�蠖榁旅盒�氏から、「カーブ・分岐ができる」「低コストで短納期」「定時性が高い」「カーボンフリー」な自走型ロープウェイ「Zippar」の開発について説明がありました。東南アジア等の交通渋滞の激しいエリアでモノレールのようには建設コストを要しない交通システムを実現したいとのことでした。次に、��WorldLink & Company須田信也氏から、ドローン利用コンサルの他、ドローンで取得した映像情報等と国土交通省や自治体の公開情報を併せて分析した気象・災害情報等を提供している事業の説明がありました。４社目として、テトラ・アビエーション�蠖薫羹�美氏から一人乗りの航空機 (パーソナル eVTOL: いわゆる空飛ぶクルマ) の開発の説明がありました。20年2月にBoeing社が後援する国際開発コンペGoFlyに出場し、世界824チーム中唯一の受賞チームになり、また、米国連邦航空局（FAA）からeVTOLの試験飛行許可を取得したとのことでした。�螢蹈椒妊奪�ス伴 捷人氏から、水素燃料電池を搭載し航続時間を長期化させるドローンの実現を目指し、現在水素貯蔵軽量ボンベを開発して高圧ガス保安規則をクリアしたとの説明がありました。最後に�蠖裕＾貘稜濺調澗聖瓩�ら、立命館大発重機ロボットスタートアップとして、人間の手作業やその他動作の動きを情報化し、パワー増幅バイラテラル制御システムを通して、大型重機を遠隔で操作させるロボットシステムの開発を行っているとの説明がありました。いずれも開発までに長期間と多額の資金を要するプロジェクトであり、ニーズを有する大企業の資本参画や実験導入などが必要となってくると思われます。このマッチングイベントが、単に福島地域を超えた全国的な広がりを持って連携が進むことを期待します。 - 2023.8.14
創薬・医療機器先駆的ベンチャー資金調達Pitch ≪VC・CVC×ベンチャー≫に参加。
― ８月３日開催のアーカイブ配信への参加です。本イベントは、かわさき新産業創造センター（KBIC）とライフサイエンスの大手企業・団体・ベンチャー企業が集まる湘南ヘルスイノベーションパーク（湘南アイパーク）の協催です。最初に、��Jiksak Bioengineering川田治良氏から、ALS(筋萎縮性側索硬化症)等神経筋疾患に対して、神経末端と筋肉との接合を強化させる物質を使ったDLC (Drug Linked Carrier)技術の開発と、iPSs細胞を培養した末梢神経細胞群を欠損した神経領域へ移植し再生する治療方法の開発を行っているとの説明がありました。同社は川崎市の殿町キングスカイフロントに入居しているベンチャーですが、FDAへの申請が近くなってきているので新たな資金を調達するために今回のイベントへの参加となったようです。次に��MOLCURE小川 隆氏から、10億以上の分子情報を有する高品質な独自データを構築しこれを基に親和性、特異性、機能性を持つ抗体やペプチドなどの分子設計を行うAI創薬プラットフォーム技術を開発、医薬メーカーからの依頼に応じているとの説明がありました。分子設計のために物質の機能・性質等を自ら確認する自動試験機を制作もしており、そこにも強みがありそうで、KBICと鶴岡の慶応バイオラボに拠点を置いているとのことです。同社もFDAへの申請があり資金調達を行おうとしているとのことでした。次にシンクロア�螳宿�華織氏から、同社の強みである特殊位相偏光フィルターと医療照明技術を融合させた照明技術を本格的に手術等医療分野に展開するとの説明がありました。綾部氏も同社の技術顧問も元は医療分野に近い出身ですが、同社は今まで工場の品質管理・生産現場への導入を第一にしてきており、いよいよ本丸へ攻め込もうとして本イベントに参加したと思います。次に、エムテックスマート�蠑�松あや氏から、薄膜積層コーティング技術を基に、燃料電池、次世代二次電池（全固体電池）、次世代太陽電池（ペロブスカイトSC）の電極形成や発電層を形成するプロセスと装置を開発しているとの説明がありました。全固体電池はリチウム粉体の乾燥に莫大はエネルギーや工場が不要で省エネであり、これを活用した病院の無停電・緊急対応の蓄電システムを開発しているとのことでした。同社は川崎KSPに拠点を有しています。次にImmunwork, Inc. Kun-Po Li氏から、健康な細胞を温存しながら腫瘍細胞を標的とする抗体薬物複合体 (Antibody-drug conjugate； ADC)等の開発を進めている説明がありました。最後にFatiAbGen Inc, JayJay Lee氏から、腫瘍やアレルギー疾患治療のための抗体を広く開発しているとの説明がありました。Immunwork社は台湾のベンチャー企業で、FatiAbGen社は韓国のベンチャー企業で、英語での説明で詳細は残念ながら分かりませんでした。今回は非常に高度なレベルのベンチャー企業がプレゼンをしており、かつ、内容も多岐にわたっているので、面白く感じました。湘南アイパークにはライフサイエンスに特化したVC等とのネットワークがあると思いますので、成果を期待したいと思います。 - 2023.7.31
第88回つくば発研究シーズ/ベンチャー技術発表会「熱を制御する〜放熱・蓄熱・断熱・熱放射の技術材料〜」に参加。
― 久しぶりの参加ですが、今回からつくばに多く存在する国立研究機関のシーズと利用の可能性についても取り上げるとの説明がありました。最初は、物質・材料研究機構ナノアーキテクトニクス材料研究センター石井 智氏から「日中放射冷却と環境発電」として、我が国のような湿潤環境では大気透過率の高い中赤外域の波長は水蒸気に吸収され透過率が低くなるが、ポリメタクリル酸メチル樹脂(Polymethyl methacrylate：PMMA)薄膜に銀を塗布した基盤上に五酸化タンタル/酸化シリコンの化合物構造体を置き日中放射冷却を生じさせる基板の開発をすすめていること、さらにこの放射冷却で生じる温度差を利用して熱電モジュールによる熱電発電を行わせる開発を進めているとの説明が有りました。後者はIoTモジュールやセンサーの独立電源に使うべく開発を進めているとのことでした。次に、�蠧�進産業石子達次郎氏から「JAXAのロケット開発技術の応用で生まれた商品『断熱セラミック ガイナ』」として、中空セラミック微粒子の空洞部分に光が侵入し留まることで透過率が減少する機能を有する材料を塗料として断熱効果を上昇させ、夏の遮熱、冬の保温等の効果をもたせるガイナの説明がありました。同社は創業40年ほどの歴史があり古くからJAXAとの共同開発で断熱塗布材の開発を進めてきたとのことでした。製法には非常なノウハウがあるのでしょうがセラミック材料と言うことで一般に利用されやすい素材であり塗料でもあるので、広く普及すると良いと思いました。次に、��Thermalytica小沼和夫氏から「超断熱TIISA®によるエネルギー・環境課題への挑戦」として、シリカ・ナノ微粒子を帯電させ浮遊させて流動性を高め空間の90％を占めるようにした素材とのことで、ハイテク機器・装置にコーティングさせることで高断熱機能を持たせることも可能であるとの説明でした。前記のガイナと発想は似ていると思いますが、こちらは価格が高くても高断熱機能を持たせる必要がある用途が対象で棲み分けが可能と思いました。次に、�螢┘▲瓮鵐屮譽鹹甲�川雅考氏から「極薄グラファイト膜を利用した熱マネージメント」として、スマフォに用いられるOLEDや多種の半導体からの発熱で機能低下が生じていることからメタンからCVD法で合成させた100ナノミクロン程度の超薄膜グラファイトに放熱・断熱機能を持たせ電子機器に利用されているとの説明がありました。画期的な技術であり製品であると思いましたが、何故かまだ会社規模も小さく前途は厳しいようです。最後に�螢張ぅ鵐�プセラ宮崎和宏氏から「再突入カプセル技術の活用した”超”断熱保冷コンテナ」として、探査衛星が取得した物質を地球に持ち帰る時に使うカプセルの保温・密着機能を医薬品等の輸送に使う保温コンテナをタイガー魔法瓶等と共同開発してきた説明がありました。技術等は完成していると感じましたが、今後はパレットのリースと類似のプラットフォームの構築や標準サイズの設定、それによる量産体制の確立、輸送事業者との連携等を進める必要があり、現状の小規模会社で進めているには何か理由があるのかと感じた次第です。 - 2023.7.27
BOiCE第２回アントレプレナー連続実践講座〜社会実装の必要性と企業とは〜に参加。
― 芝浦工大のベイエリア・オープンイノベーションセンター(BOiCE)が主催する起業家マインドの醸成・大学発ベンチャーの活動・促進等に資することを目的としたセミナーで、最初は、(一社)発明推進協会産学連携・スタートアップアドバイザー前田英男氏から「社会実装の必要性と起業について」として講演がありました。IMDのレポートでは調査対象国中で最下位の競争力であるが、それは主に企業の経営手法・経営者の保守的なマインドなどに起因しており、実は米国よりもIPOがしやすい国であると、経産省の資料等を引用しながら説明がありました。政府の施策もドンドン拡充されており、大学の研究の成果を経済社会で実践・実用化していく環境が整備されつつあるとの認識を示していました。ただ、VCから投資を受けるとハンズオンでうるさく言われるので、政策金融公庫等の融資を活用する手もあるとの説明もありました。次に、��KiteRa・社労士法人KiteRa植松隆史氏から、「起業家から一言」として、自らの企業勤務から独立、起業に至った経緯について説明がありました。同社は企業内の諸規則や社労士事務所内の規則等を作成するソフトを販売している事業ですが、友人３人と独立創業したものの資金調達がうまく行かず解散も考えた時に某VCからの資金調達が実現し、またコロナ禍の在宅勤務に即した諸規定の整備が必要になり、売上が急速に伸びたとのことでした。同氏はVCから資金を受けたが特段うるさいことは言われなかった、それが嫌ならスモールビジネス(既にビジネスモデルが存在している事業)を立ち上げることも可能であり、政策金融公庫の融資が活用できる、起業の環境は大きく変わっていると指摘していました。起業家の多様な経験から、価値観が異なる点が面白かったですが、大学卒即起業が必ずしも必要でなく、就職し経験を積んでの起業の方が良いと思いますが、理科系・工業系の大学の教官も技術者か研究者か何れを志向しているのかによっても参照にすべき事例が変わってくるのだろうと感じました。 - 2023.7.20
RIETI特別セミナー「ミドルパワー：米中の地経学的対立における日本の役割」に参加。
― 講師は、ピーターソン国際経済研究所非常勤シニアフェロー兼名誉所長C.フレッド・バーグステン氏で、米中の２大強国が対峙する間にある我が国が、国際社会において果たせる役割、果たすべき使命について具体的な提案を含む刺激的で示唆に富んだ講演でした。氏の想定しているミドルパワー国は我が国だけではなくミドルパワー諸国が共に、米国に世界をリードできる力を維持向上するべくプッシュしていく、米中双方に世界にエンゲイジしていくべく働きかけることを基本とするということのようです。前者については米国の産業競争力を再強化すべき動きに戻っているとの判断でした。そして米中は現在、national decupling ではなくfunctional decupling の原則で交渉・対話を始めているとのコメントがありました。ミドルパワー諸国が今取れる動きは、中国のTPP(CPTPP)への加盟に向け、中国と交渉ではなく議論を始めることであり、我が国がその諸国をリードしつつこの議論を進めて行くべきだというのが氏の提案でした。氏の講演を受け、コメンテーターの浦田秀次郎RIETI理事長・早稲田大名誉教授から、果たして中国は責任あるプレーヤーになるだろうか、CPTPPに中国はルールベースで議論するだろうか、中国が主導して設立したAIIB(アジアインフラ投資銀行)に我が国は参加するべきかとの質問が出され、氏からは、AIIBへの参加を含め中国と議論を始めると米国も変化してくるとの回答があり、ミドルパワー諸国が共に、米中をエンゲイジさせていく動きを取るべきとの考えが示されたと考えます。米中の２大強国が存在することは事実であり、我が国として何らかの形で他のミドルパワー国と一体となって、議論・交渉を行うことで失うものは大きくはないと思いました。ただ一つ読めず不確定要素は米国の大統領選挙であって、上述のアクションを根底から日繰り返してしまう可能性もある点が頭の痛いところだと考えます。 - 2023.7.14
国際モダンホスピタルショウ2023及び第7回プレス・板金・フォーミング展MF-TOKYO2023 に参加。
― 前者にはこの7月4日のKBIC「健康・医療・福祉のnext stageへ‐ヘルスケアビジネスマッチング2023」でプレゼンした企業が出展しているので見学に行ってきました。また、我が国の製造業の裾野を支える金属加工技術の現状を知りたく後者に入場しました。コロナ禍でビッグサイトから足が遠のいていたので数年ぶりの訪問になりました。前者にはKBICのコーナーがあり、シンクロア�蠅�出展していました。今まで何度もプレゼンを聞いている同社の位相偏光技術を使った工業用のキズ・異物検出用の光学検査デモ装置を初めて手で触って体験できました。この日はアライアンスを組んで営業をしている�蟷�岡製作所の担当者が説明をしてくれました。同社は多様な粘着性物質を開発し電子部品向けから家庭用までの各種の粘着テープを製造しており、同社の産業用ユーザー向けにシンクロア社の検査器具を営業しているとのことでした。検査機器メーカーとの連携が中心だと思っていたので意外でしたが面白い選択肢だと思いました。また、導入する製造工程毎にカスタムメイドしていくとのことでしたが、今までのプレゼンではこの点が余り強調されていなかったと思いました。後、7月4日にプレゼンした介護用ロボット等の企業も出展しているのですが見つけられませんでした。後者のプレス・板金・フォーミング展は、名称とは異なり事実上のNC工作機械展でした。ハードの精緻な部品を製造組み立てし開発したソフトウェアを一体化した装置ですので、機械工業の裾野となるこれらの基盤分野への中小中堅企業の新規参入は難しいとの印象を得ました。また同時にこれらの装置は相当の高額になりますので、このような機器装置を設備導入して起業することも非常に困難だと思いました。試作は３D加工機や中国企業への外注で済むかもしれませんが、次の自社装置による自社生産は困難なのではないでしょうか。この印象が正しいとすれば我が国の将来には悲観的になります。 - 2023.7.11
第249回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 最初にOkage�蟇�田晋也氏から飲食に特化したSaaS『Okage DX Platform』の説明がありました。中小飲食店向けにディジタルのメニュー作成、注文・調理進行管理、決済等を一括して提供しているとのことですが、今後、中規模の飲食店向けに情報を同社のクラウドデータセンターで管理し、蓄積データによるCRM(顧客管理)やキャンペーン実施、仕入れ等の業務の自動化・代行、運転資金提供等を進めて行くとの説明がありました。また、ホテル・旅館、エンタメ施設、商業施設等の飲食施設へのサービス提供を計画しているとのことでした。次にKUROFUNE�蠑掌宜┝�氏から主に東南アジアからの外国人就労者に対して、空港到着時における携帯電話番号の提供、住居手配支援、日本語研修、就業中の悩みや問題への相談、医療面の相談等を、当該就労者の母国語で一貫して支援する生活支援アプリ「KUROFUNE LIFE SUPPORT」の説明がありました。携帯電話番号が無いとアパートや銀行口座開設もできないと初めて知りましたが、同社の法人SIMカードを１月間提供してまずは我が国での生活を立ち上げ、職場の問題点を同社から就労企業に定期報告して就労定着を高め、スギ薬局・MEDIPHONE・スルガ銀行等との連携で医薬購入や医療受診の支援、口座開設カード発行等を進めているとのことでした。公的部門がこのようなサービスを行うべきあるいは資金を提供すべきではないかと思いましたが、細かで機動的な対応は民間主導であるので、従業員も東南アジアの若手である同社に奮闘を期待したいところです。複雑な思いではあります。３番目は、�螢掘璽妻仁描鏤嶇�氏から、法人の新規顧客開拓を当該法人と法人影響が得意なセールスパートナーとの連携で実現する営業支援システム『AGENTO』の説明がありました。法人の商品が可視化できるものであればアマゾン等で済むのではないかとも思いますが、口頭での付加的な説明が販促になるとして、セールスパートナーがどこまで詳しく当該商品・サービスの特徴を認識できるのか課題もあると思いました。最後にEvoCare Japan�螻飴魁仝�氏から、ドイツ・スイス・オーストリアで保険適用されている遠隔リハビリサービスを日本展開しようとしている説明がありました。同社は我が国での在宅医療に特化する大手医療法人社団悠翔会等が参画するメディカルインフォマティクス�蝓�mics）と、ドイツのEvoCare Holdings AGとのジョイントベンチャーとのことです。長期的に遠隔リハビリの公的保険適用を目指しながら、当面は自費リハビリサービスを展開し収益化を図ることとして、自費リハビリの拠点を確保し保険会社との連携で利用者を増加させようとしているように理解しました。HPに事業概要の説明もなく、公的保険への道は厳しいと思いますが、最大の課題は退院したリハビリ患者がどのように拠点まで行くのか、高齢者や患者がPC/スマフォを操作できるのか等であると思いました。 - 2023.7.7
RIETI BBウェビナー「日本の潜在成長率向上に何が必要か：JIPデータベース2023を使った分析」に参加。
― 深尾京司一橋大学名誉教授・ジェトロアジア経済研究所長による講演で、非常に広範でかつ深い分析であったために、要約と感想も困難ですが、この2020年代に何らかの手を打たないとそのまま低成長で停滞した2030年代となることは確かだとの結論です。打つべき手は、総労働時間の拡大(就業者の増大や外国人人材の増大)ではなく労働の質・生産性の向上図る、自動車産業等の国外投資ではなく国内における資本蓄積を図る等であると指摘していました。細かに重要だと思う点を挙げると、就業者の30％がいわゆる非正規労働者となっておりその教育訓練の機会を如何にシステム化していくかが非常に重要で、これには今後我が国が相当依存していく外国人労働者の教育訓練も含まれます。ドイツの就労後の再教育の仕組みを見習い、早急に具体化を図るべきと考えます。次に中小企業と中堅企業との間に労働生産性に差はなく、中堅企業も非常に低いとの意外な分析結果であり、これに対して、上記の教育訓練の問題もありますが、中堅企業らしい優位力・競争力を活かせる海外市場への進出の支援策の具体化が必要だと考えます。更に、同氏からは、それでも大企業は今後とも消極的な経営が続くのではないかと指摘があり、これには短期利益指向の資本市場の圧力を如何に減らすか、内部に多く抱える40代後半から50代の就業者(特に事務系)のジョブ型への労働環境への切り替えと年功賃金からの脱却を如何に進めるか、に掛かっているのでは無いかと考えます。同氏の非製造業(サービス業)の労働生産性が極端に低いとの指摘に対しては、我が国の“きめ細かいおもてなし”を良しとする風潮をどのように考えるか、これは安くて親切だということであり高くて親切だという意識に切り替えが可能かどうかと考えます。また、過去30年の間に卸売業の生産性等への寄与が大きくマイナスであったという点は、Eコマースの進展によるいわゆる中抜けの進展が如何に大きかったかということですが、これを非正規労働者や中諸企業に依存した道路運送業が支えていることに留意しないといけないと考えました。 - 2023.7.6
Keysight Design Forum 2023 Japanパワーエレクトロニクスに参加。
― Keysight Technologies社はかつてのHPの計測部門がその源流で、今回のセミナーは(公社)自動車技術会との連携で開催されたものです。パワーエレクトロニクスはEVの心臓部門に当たる半導体で、性能の高度化のためSiCやGaNの新素材を使った素子の実用化が進められていますが、そのために、素子そのものの選択と他の半導体との組合わせ、これら回路設計とそれらの性能等が、予定した通りであるか、アウトプットデータにノイズはあるのかなどをシミュレーションするためのソフトが必要となり、それを説明するのが本セミナーでした。「ADSでパワー半導体のスイッチング波形を理解しよう」のタイトルで同社の新井崇雅氏から、「ADSを用いたスイッチング電源基板の電磁界解析のメリット」のタイトルで佐々木広明氏からそれぞれ説明がありました。ADSはPathWave Advanced Design Systemの略のようで、説明の詳細は理解できませんでしたが、自動車産業のなかの中堅・中小企業が今後のEV化に対応し生き延びていくためには、これらの知見を身に着けなければならず、設計・評価のツールソフトを海外に依存するということは大変なことであると改めて感じました。 - 2023.7.4
KBIC「健康・医療・福祉のnext stageへ‐ヘルスケアビジネスマッチング2023」に参加。
― 新川崎所在川崎新産業創造センター共同事業体主催で、ヘルスケア関連KBIC入居企業等による事業プレゼンと東京ビッグサイトでの「国際モダンホスピタルショウ2023」出展に対する来場の呼びかけでした。最初にeightis�蠱翅赦陀啝瓩�ら、トップトレーナー達の見立てのプロセスを数値化し、トップアスリートが受けているプログラムを手軽に提供する運動器機能評価システム(shintaiアプリケーション)と運動器機能改善プログラム(BATカルテ)の説明がありました。事業化の最終段階のようでありジムだけでなく医療機関との連携を進めるための出展のようでした。次に信州大発ベンチャーで福島南相馬にも事務所を有するAssistMotion�蟠極� 稔氏から、人に優しい“着る”ロボットである軽量で装着容易なロボティックウェアcurara®を実用化していること、電圧を印加すると陽極の表面に沿って変形する性質を有するPVC Gel(ポリ塩化ビニル(PVC)を可塑剤によりゲル化したもの)を腰のサポート用に応用する開発を行っていることの説明がありました。次にGBS�蟷害識冑彁瓩�ら、ドイツ発の物流・産業分野で利用実績のあるパワースーツを医療介護分野での応用に取り組み、軽量化や小型化等を進めている説明がありました。次にiDP�螳貌� 琢氏から、糖尿病等予防の生活習慣改善に焦点を当て、医者の知見ノウハウを体系化し患者の特性に応じてかかりつけ医への助言等を行うアプリ開発を医療機関とパイロット試験を行い実用化を目指しているとの説明がありました。シンクロア�螳宿�華織氏から、元来手術用に実用化し工業用のキズ・異物検出用に応用されている位相偏光技術を医療現場に利用しやすい形で提供しようとする最新の動きについて説明がありました。KBICの常連となった綾部氏ですが毎回簡潔で要領を得た説明をしていました。�螢�トキュア新田清一から、宇都宮大耳鼻咽喉科医師の経験から難聴や耳鳴りの患者向けに、医師・認定補聴器技能者との連携を図って「宇都宮方式聴覚リハビリテーション」を実現する補聴器自動調整ソフトや補聴器装用支援アプリや耳鳴り治療用アプリの開発を進めていることの説明がありました。最後にアットドウス�蠱翅悉┨篁瓩�ら、IoTを活用して自在に超微量に流量を変更できる「電気浸透流ポンプ」の強みを生かした超微量・局所に投与・吸引可能なモバイル型投薬デバイスの説明がありました。 - 2023.6.30
芝浦工大BOiCEアントレプレナー連続実践講座(第１回)に参加。
― 同大のインキュベーション施設であるBay Area Open Innovation Center(BOiCE)が開催する同大発ベンチャーの増加を狙って、教職員にアントレプレナーマインドを高めていこうとするセミナーです。最初にGreater Tokyo Innovation Ecosystem（略称：GTIE）プログラム代表者・東工大教授辻本将晴氏から「世界を変える産官学コンソーシアム GTIEの概要」の説明がありました。大学からイノヴェーションを担える教職員・学生とスタートアップを産み出していこうとする“学官産”連携の集合体とも言うべきもので、東大・東工大・早稲田を主幹事機関として芝工大を含む首都圏の14大学、多数の自治体、各種のスタートアップ支援機関、VCや企業が参加する大集団のようです。JST拠出のファンドを原資にマッチングやプロジェクト助成等をしていますが、最も肝要な実際のハンズオン支援活動が大学教職員や学生に行えているのか、多数の参加機関の調整や連絡が円滑に行えるのか等、我が国の多くの制度が陥る「形は整っても魂が入っているのか」のリスクを感じなくもありません。辻本氏の熱意とヴァイタリティを何ら否定するものではないですが、本末転倒にならないよう奮闘を期待したいと思います。次に同大研究推進室産学連携コーディネーター岩崎 靖氏から「始動！SITスタートアップ 〜本学ベンチャー支援制度の概要」について説明がありました。大学保有特許の実施権の付与、学内外有識者による経営・財務・人材・販路・知財などの助言、「芝浦工業大学発ベンチャー」名の付与、研究室などの貸与等の内容のようです。これらの他に同窓生ネットワークの活用などが有りうるのではないかと感じました。一層の充実を期待したいと思います。最後に、芝浦工業大学発ベンチャーの認定第１号である�螢魯ぅ僉璽妊献織襯張ぅ鵑料篭伴圓任△蠧餌膓擬�の新熊亮一氏から「起業家から一言！」として、京大以来の研究成果の集大成となるLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging 光を用いたリモートセンシング技術の一つ)技術を活用した車両等自動運行監視・管理のソリューションを提供しようとする同社の創業に至る道筋を説明していました。同氏の本技術への取組みは長期間にわたりますが、JSTやNICT の諸制度を、研究開発段階ごとに、技術の基本の強調と将来の利用見通しの明確化、話題性の創造等を工夫してうまく活用してきた経緯を事例紹介風に説明していました。同社のHPを見る限り、外部の同技術利用の機関(ユーザ)との協業等については触れられていませんが、今後は実用に向けてどのように連携体制を創り資金を調達していくのか、大学発ベンチャーとして新たなステージに突入していくこととなるので、奮闘を期待したいと思います。ただ、同氏の講演を聞いて、教官との兼務が事業の自立と両立するのか、事業化のリスクを兼務で取りうるのか、大学発ベンチャー共通の大課題ですが、改めて考えるべきだと思いました。 - 2023.6.30
JST第23回アジア・太平洋研究会「尹政権1周年を機に振り返ってみる韓国の科学技術」 に参加。
― 講師はJSTアジア・太平洋総合研究センター・フェローの松田侑奈氏で、副題は「韓国は第4次産業革命時代を勝ち抜くためどのような戦略を立ててきたのか」というものでした。オンラインでの講演ですので手許に資料が残らず、以下は印象に止まってしまいますが、現在の韓国の科学技術の水準を示す幾つかの統計数字は我が国を凌いでいて、これらが一朝一夕で到達できるものではないことは明らかですので、標題の尹政権1周年ではなく過去歴代の政権での政策の反映だと考えるべきと考えます。特に、前文政権は反経済的政策が多いと思っていましたが、そうではなかったことを改めて知った次第です。尹政権になり科学技術政策に若干の力の置き方は異なるようですが、大きくは政策の継続性があると感じました。なお、GDPに対する国民負担率や政府債務残高はまだ低いので、政策的に資金投入できる余地は高く、公的資金による科学技術振興はまだ続くだろうとも予測しました。講演を聞く限り、大学の理工系志望者は圧倒的に文系を凌いでおり、若い世代には科学技術関連での就職者が多い点が我が国と異なるように思えました。また、スタートアップの数も多いようですので、財閥系大企業就社指向が変わっているのかもしれません。興味があったのは、新規起業や新規事業立上げは既存の規制と矛盾したり曖昧であったりすることが多いのですが、韓国では挙証責任を逆転させ、規制正当性の挙証は当局側が行い積極的に説明の無い時は合法だとみなしてしまう制度があるとの点でした。これは我が国でも大いに見習うべきだと思いますが、中央政府の縦割りや地方政府との分担がまず現状維持の発想となる我が国では、検討の俎上に載せることも難しいかも知れません。 - 2023.6.20
JST新技術説明会 量子科学技術研究開発機構に参加。
― 時間の関係で最初の３件の説明を聞きました。最初に、「「正解があるとは限らない」診断課題のための支援AI」と題して、量子生命・医学部門主幹研究員立花泰彦氏から、現在の医療診断用AIは一つの診断課題に対して一つの回答を出すことを前提に開発されていて制約が多く、これを複数の医師による異なる回答（診断）を合議により最終診断とする現実の医療現場の診断行為に模擬して診断するAIを開発しようとするとの説明がありました。開発要素としては、複数医師の合議をヴァーチャル化して複数の医師と複数の意見をAI学習で示し更に合議のプロセスをAIが学習して結論に絞り込むシステムとすることのようです。実際に医師の所見の別れた事案でそれを一つの診断に絞り込んだ過程を学習させることで開発を進めようとしているように捉えました。そしてこれを医療機器メーカーと共同で開発したいと呼びかけていました。次に、「荷電粒子（電子、イオン）ビームを自在にあやつるためのモニター〜ビームのエネルギー分布・時間分布を同時に非破壊・単発で計測〜」と題して、量子技術基盤研究部門神門正城氏から、荷電粒子ビームのエネルギー分布と時間分布とを、短パルスレーザーを使って同時に非破壊、単発で計測できる装置を考案したとの説明がありました。調べたい荷電粒子ビームを偏向磁⽯と電気光学結晶を組み合わせて通過させたところへピコ秒・フェムト秒レーザーの短パルスレーザーを照射することで、エネルギー分布等を計測しようとするもので、同機構の有するレーザープラズマ加速器を活用して技術を完成させたいと考えているように理解しました。３つ目は、「軟X線レーザーによる表面ナノ加工技術」と題して、量子技術基盤研究部門石野雅彦氏から、超短パルス軟X線レーザーを酸化アルミニウム（サファイア）及び酸化チタンの何れかの表面に集光照射することでナノメートルサイズの幅とサブナノメートルの深さをもつパターンを造形することができたとの説明がありました。軟X線とは概ね波長が0.1~30 nmの電磁波のことで、２種類の集光器でレーザー光を絞り減衰器で強度を調整させて微細加工を実現したと理解しました。これも同機構の持つプラズマ軟X線レーザー発生装置を活用させたいと考えているようでした。非常に専門的で理解は困難でしたが、特に最初の案件は、複数の医師の診断行為を数多く学習させて、相違点を判断し、一つの回答を得る事案がAIの学習対象として十二分にあるのかどうか、疑問に思いました。 - 2023.6.13
第248回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― １社目は��Piezo Sonic多田興平氏から、待機電力ゼロでロボット・精密搬送装置に最適な超音波モーターであるピエゾソニックモーターとこれを使用した自律移動ロボット「Mighty」の開発・製造に取り組んでいる説明がありました。氏は大学時代にJAXAの月面探査ロボットに有用とされる超音波モーターに触れ、当モーターの発明者である指田年生氏の会社に就職後、17年に同社を起業したとのことで、超音波モーター一筋の研究者であり開発者です。超音波モーターは回転エネルギーの生成にコイルや磁石を利用せず、電圧を加えると変形する圧電セラミックを利用し、変形エネルギーを回転エネルギーとして利用するもので、非通電・非制御で現位置・状態を保持でき、高トルクで、軽量であり、磁界に影響されない等の特徴を有しており、MRI内部や周辺でのモーターとして利用されているとのことでした。更に月面探査ロボットの開発に関係した経験と超音波モーターの特徴を活かせる応用製品として自律移動ロボット「Mighty」を物流企業等と開発し実用化を目指している説明がありました。今後の高齢化・少子化社会において小型・軽量で小回りが利き作業者や生活者の伴走型ロボットのニーズは急速に増大していくと思いますが、品質管理の高度化に裏付けられた一定の量産化に取り組んで、スタートアップから中堅メーカーへと成長して行って欲しいと思いました。今回のプレゼンはそのための資金調達も含めたものでした。次に、��knewit田村 慧氏から、物流の要・担い手となるドライバーは労働環境が一段と厳しくなっている反面、高齢化も進み、早晩その確保の困難さが物流自体の安定・安全を損なう可能性がある中で、配送先の工場や搬入箇所、搬入手続き・搬入完了までの「住所の先」が形式化・整理されないままドライバー個人に依存しこれが物流の困難さ・低生産性の原因となっているとの説明がありました。同社はこの「住所の先」を誰もが簡単にスマフォで入力し、文章化して行く「ニューイット」を開発製品化しているとのことでした。創業者らはトヨタ等の物流に携わったことがあり、東海地区では優位性があるが関東圏では知名度も低く、協業先を見つけるべくプレゼンを行ったとのことでした。３社目は�螢譽好拭璽曄璽襯妊�ングス加瀬友基氏から、デバイス・EMS・調達・電子機器・システム機器・エネルギー・植物工場・技術等の幅広い事業を展開している中で蓄積したネットワーク・ノウハウ等を活かして「エレクトロニクスの情報プラットフォーマー」コンサルティング型ビジネスマッチングサービスを開始したとの説明がありました。同社は1961年創業の共同電気を出発点に多くの企業の統廃合を経て2019年現在の商号で東商に上場している大会社ですが、言わば対象を問わないマッチング(協業先の紹介や技術取引、販路紹介等)を行うこととしたとのことでした。同社のことは知りませんでしたが、大企業がこのような紹介・橋渡しを原則無料で行うことも初耳であり、成果を期待したいと思います。 - 2023.6.9
地域課題解決セミナー2023―自治体が抱える課題をスタートアップ等との連携により解決 ―に参加。
―中堅企業とスタートアップ等との連携の可能性を関東経産局とともに進めている�螢螢丱優垢�、北海道経産局と組んで、過疎・高齢化が進むとともに農林畜産業のウェイトの高い北海道の自治体が抱える課題を、スタートアップ等との連携で解決しようと取り組むプロジェクトの新年度立上げのセミナーでした。自治体はこのような切り口自体に経験がないとのことで、まずは昨年度から取り組み始めた旭川市教育委員会社会教育部文化振興課小川大介氏から「未来につなげる文化財の保存と活用」として、釧路市産業振興部農林課道山慶祐氏から「持続可能な酪農・畜産の実現に向けた課題解決」として、途中経過的な報告が自治体に対して有りました。当初は両氏とも具体的な課題のイメージも無かったとのことですが、リバネス側からの提案やスタートアップ候補の提示、両者での議論の中で、IT技術やロボットを使ったアイデアが形成され、市が実験フィールドを提供し、スタートアップが競争資金を獲得すべく提案を行うところまで来ているようでした。更にイグジットとしては例えば草刈りロボットで言うと自治体の他部門での活用や、他自治体への橋渡しなどをリバネスが入って実現できないかとの認識も示されていました。２３年度は、環境配慮・人手不足・自給率向上・過疎地域におけるインフラの４つのテーマを掲げ、先にスタートアップ10社が自治体にプレゼンを行っていました。環境配慮では��TOWING［愛知県］が「未利用バイオマスをアップサイクルした高機能バイオ炭による循環型農業」、�蠡臾攅�藝［滋賀県］が「有機廃棄物の炭化技術と有効活用（魚礁、融雪材、電極材）」�螢侫 璽瓮鵐好董璽轡腑鵝療豕�都］が「規格外農産物等を発酵技術で高付加価値製品に変える循環型事業」を、人手不足ではアグリショット�蝓力族了蓋�］が「樹液流計測技術及びAI画像診断技術、植物生理学にもとづく農作物の生産性向上」、エゾウィン�蝓遼務て察呂�「農作業の今と過去がハッキリ見える、農業DX」、��Eco-Pork［東京都］が「AIを活用した豚の完全自動体重測定技術「AI豚カメラ」による養豚の収益向上」を、自給率向上ではASTRA FOOD PLAN�蝓虜覿霧�］が「食品の殺菌乾燥技術、未利用農作物のアップサイクル」、�螢船礇譽淵検次療豕�都］が「寒冷地でも活用できる災害に強く静かで鳥にも優しいマイクロ風車」、�螢螢弌璽機次遼務て察呂�「魚の鮮度保持・熟成技術、水産物の付加価値化」を、過疎地域におけるインフラではWOTA�蝓療豕�都］が「「小規模分散型 水循環システム」による生活排水再生」を、それぞれプレゼンしていました。プレゼンしたスタートアップの技術には大都市での利用を前提としたものも含まれていそうですが、北海道以外のスタートアップの参加は北海道の自治体にとって道外の色んな情報に接する機会となるとともに、イグジットとして全国の自治体等のユーザーにも繋がりうることとなり、面白いプロジェクトであり、フォローをしていきたいと考えています。 - 2023.6.9
新川崎「社長/経営陣が面接！大企業・ベンチャー採用pitch event−社長/経営陣らに直交渉！−」に参加。
― かわさき新産業創造センター共同事業体参加の�螢張�リエが主催した会社紹介と新規人材募集のイベントでした。新川崎には、大企業の工場・研究所の集積があるとともに、川崎市のインキュベーション施設があり、特に施設入居のベンチャー企業にとって社長が直接候補人材に語り掛ける機会を創出することに狙いを定めたイベントと理解しました。最初にザインエレクトロニクス�蠡緝充萃�役会長飯塚哲哉氏から、大企業ではなくベンチャー企業で得た多様で主体的な経験を紹介するとともに、リスクをマネジしながら新規事業に挑戦していくことがベンチャーであるとの話が有りました。次に大企業側からは三菱ふそうトラック・バス�蟷各盥席浸瓩�ら、ダイムラー傘下で国際企業となった同社が求めるエンジニア・プロジェクトマネージャー像の話がありました。以下はベンチャー企業からの人材募集で、最初にeightis�蠡緝充萃�役中村和睦氏から、トップアスリートを指導するトップトレーナーのスキルを見える化(アプリ化)する事業の話が有りました。��CoLab代表取締役川畑晋治氏からは、スマフォ組立等過酷な単純作業を自動化する画像認識・ロボット制御・AI技術と事業化の話が有りました。�螢┘離�関東事業所事業開発部部長須山勝政氏からは、ガス流体制御や電力変換技術を今後水素利用分野に拡大していく事業の説明が有りました。シンクロア�蠡緝充萃�役綾部華織氏からは、特殊位相偏光フィルターと医療照明技術を融合させ光のハレーション等を取り除いて異物やキズを検査する技術の説明が有りました。アットドウス�蠡緝充萃�役中村秀剛氏からは、デバイス本体や電極をシリコンゴムや電通性のゴムで製造し流量を自在に超微量に変更できる「電気浸透流ポンプ」を使った投薬デバイスを開発しインドで上市しようとしている事業の説明が有りました。最後にSotas�蠡緝充萃�役社長吉元裕樹氏からは、主に中小化学メーカーの材料調達等を脱商社化しサプライチェーン管理を自社で行えるシステム開発の説明が有りました。ベンチャー企業６社は常連・新規と有りましたが、人材募集に当たってトップが理念・ミッションを含めて熱く語りかけることが必要であることを改めて認識する機会となりました。 - 2023.5.9
第247回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 最初はリバーセル�螻畧遽弋�氏から、癌治療に多能性幹細胞(iPS細胞)から、がんやウイルスを特異的に認識して殺傷する免疫細胞(キラーT細胞)をDNA導入して作成し治療を行う「他家免疫細胞療法」について説明がありました。京都大学発のバイオベンチャーで、患者自身の細胞を使う「自家細胞療法」の有する「患者の身体への負担が大きい」「治療までの時間がかかる」「コストが高い」「品質が不安定」等の問題を解決して、汎用性即納型キラーT細胞製剤を用いた治療法の臨床応用を目指しているとのことでした。HPによると多様な企業・組織との連携も進んでいるようですが、実際の臨床応用にはまだ相当時間が掛かるようでした。次に��Qception今村 岳氏から、膜型表面応力センサ（MSS）を用いたニオイセンサとその利用例等について説明がありました。本年2月に新川崎のNANOBICナノテクノロジーセミナー『 日本発・感覚技術ベンチャーが拓く未来 』で説明の有ったものと同じ内容でした。臭いには40万種の分子がありその組み合わせと極めて幅広い濃度が関係してくるので、臭いそのものの識別は不可能に近いと思いますが、予め特定した臭いに関しての利用例は色々あるので、これをコンサル活動も含めて事業活動を行っているとのことでした。最後にsalt�蟶監�寿起氏から、全国に8万社分布する氏神を核としたご近所コミュニティをモデルにSNS「ご近所の氏神さま」により、近隣近所のコミュニケーションニーズと近隣の中小企業が発信する広告ニーズを組み合わせようとする事業の説明がありました。広告料を閲覧者と同社がシェアして、閲覧者にも利益が還元され、地域の活性化にも繋げようとする仕組みですが、近所・近隣に広告を掲載したいと思う事業者は飲食店・小売り店に限られると思うことと、同社からその事業者へのアクセス方法、アプリそのもののメンテ方法等が示されていないことから、想いが先行しているように感じました - 2023.4.11
第246回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 最初は、�螢好廛薀ぅ鵝Ε優奪肇錙璽�雪野洋一氏から、ITインフラの有線ネットワークと無線ネットワーク（Wi-Fi領域）のうち、セキュリティ対策が放置されている状態にあるWi-Fiネットワークに対するセキュリティ製品であるWiSASの説明がありました。同製品は、機種依存がなくセンサー設置のみで、フル・リモートでユーザ側で監視をする必要のない、問題スポットの診断分析や常時監視を行う製品であるとのことでした。既に大手企業に導入され有力な代理店も有しているようですが、人材不足のため営業活動が不十分である等の説明がありました。この分野の重要性は認識されユーザは多いと思いますが、IPOではなくVCからの直接の資金調達を求めているのか、理解できないところでした。大手証券会社が手続きを行う日本のIPO市場の問題点の結果かもしれません。次に��ONのSATO YURI氏から、ジュエリーの再生(再デザイン、再加工等)を容易にすることで、資源の節約を図る意図のもと、再生の対象を絞りデザインと加工の選択を限定し、安価で容易に研修を経た「素人」でも開始できるようにした事業形態の説明がありました。標準化やモジュール化など良く考えたビジネスモデルだと思いましたが、既存の宝飾店は代理店にはならないので、ECでの展開しかないのではないかと思います。最後に、��S’UIMIN樋江井哲郎氏から、筑波大学発のスタートアップとして、専門病院レベルでの睡眠検査を自宅で行える睡眠計測サービスInSomnografの説明がありました。同大の国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)の柳沢正史教授の研究開発をもとに、検査希望者の自宅でデータを取得しそのデータを同社側で直接分析して診断を行う等装着性の良い脳波測定ウエアラブルデバイスとAIを駆使した自動解析による睡眠測定サービスを行う事業とのことでした。睡眠対応薬を開発する医薬会社や開業医との連携が基本であり、個人が直接本サービスを広く使うことには医療法上の制限があるので、広がりに時間を要するようでした。 - 2023.3.23
NPO三鷹ネットワーク大学推進機構「激変するアジアビジネス環境を睨んだ日本企業の活路」講座に参加。
― アジア経営戦略研究所(AIBS)との連携で企画されたセミナーで、SBIレミット�蠅�KERKI TIRTHA氏の「未開拓インド市場と日本企業の挑戦」の講演を聞きました。人口が世界一となりつつあり、一人GDPも上昇しつつあるインドの魅力・重要性は多くの指摘がされていますが、同氏は、特に日本企業と、インドの財閥企業や韓国企業との比較において、日本企業の進出の課題を指摘していました。中間層の市場を狙うべきということですが、これも地理的多様性や中間層の中の所得別の多様性があり、セグメントを絞るべきだと思いました。また、よく言われてきたことですが、日本の技術をそのままインドに持ち込んで比較的ハイエンド・高価格の製品を展開しようとすることで失敗することが多いと指摘していました。ダイキンが早い時点から進出し、政府機関とも省エネ等での技術基準設定の協力も行っていることから市場の存在感は非常に高いと思っていましたが、第５位にあるとのことで意外でした。価格・技術的安定性以外に市場浸透の方法を考えないといけないと言うことなのでしょう。インド現地の地域特性を考慮した資本との提携、地域に即した流通や販売事業者との連携等が必要だと思われますが、そうなると優秀なインド人スタッフを如何に確保して、ともに仕事をしていくかがやはり必須となることだと感じました。 - 2023.3.15
(公社)自動車技術会セミナー「プラスチックの新技術&共創で加速する‐資源循環社会への挑戦」に参加。
― 経済情報の提供とコンサル等を中心とする�螢罅璽競戞璽垢�主催したセミナーで、今回は、米国ベンチャー企業アネロテック社の廃プラ・リサイクル技術を活用し、プラスチック製造・利用バリューチェーンの上流から下流までの大企業等40社のコンソーシアムを構築してプラスチックの再資源化に挑んでいるサントリーの子会社�螢◆璽襯廛薀好献礇僖鸞緝充萃�役社長横井恒彦氏の講演でした。まず、サントリーとしては、使い捨てのPETボトルのリサイクルを全社で取り組むこととし、社外技術を精査する過程で米国のアネロテック社に辿り着いたとのことでした。最初の接点ができた時は、アネロテック社はウッドチップの熱分解でPET原料を製造する技術を有していたが、現在では更に使用済みの多様な廃プラからPET原料を製造する技術を開発したとのことでした。その技術の特徴として、廃棄や埋立てに回る各種廃プラを対象に、油化のプロセスを経ずに原料を製造し、大規模製造も可能なものであり、同社に対し、コンソーシアムから出資を行いその技術をコンソーシアム参加各社が利用するという仕組みを構築したとの説明がありました。面白い(興味深い)のは、立場が異なる40社の求心力を高め事業化を加速するため、出資に対する配当のルールを決め、直接再生PETを入手できることする等の経済面のみならず、知財・回収促進・再生PET活用・広報などの活動推進分科会を設け各社がこれに参画してベクトルを合わせつつ情報を共有し知恵を出し合う場を�螢◆璽襯廛薀好献礇僖麁發棒澆院▲汽鵐肇蝓舎楴劼僚亳�社員がこれを世話していく仕組みを構築したことだと思います。ベンチャーの技術の普及、業際的なイノベーションの広がり、思惑が必ずしも一致しないステークホルダーの求心力向上等、経営面でのモデルにもなると考えます。発展を期待します。 - 2023.3.14
第245回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 最初は、��AiCAN高岡昂太氏から、産総研発ベンチャーとして開発してきた児童虐待対応支援システム「AiCAN」の説明がありました。虐待件数の増加に反して担当者が減少し、しかも対応のノウハウ等は属人的で担当者の異動・退職等で継続性・機動性が欠如している現場の問題を補完するワンストップ伴走型業務支援サービスであり、既に幾つかの自動損談所にも導入されているとのことです。本来、国や県が開発すべきものですが、現実を考えれば同社のシステムが広く有効活用されて欲しいと思いました。しかしながら、特許で参入障壁を作って１社独占となった際の競争入札をどうするのか、公的市場を対象とするものがIPOに相応しいのか、など疑問も残りました。２社目は、�螢┘燹Ε謄�ー・スリー宮崎年恭氏から、がん組織内の酸素濃度を上げ放射線治療や抗がん剤投与の治療を増強する海藻由来『レブリチン』を医療現場に導入していく事業化の説明がありました。数年前にMINERVAに登壇し、その後レブリチンの人工合成・大量製造の技術を開発し製造を開始、動物用医薬品の治験と薬事申請を完了させた現状にあり、今後ヒトを対象とする治験を開始する計画であるとのことでした。動物医薬品の許認可は農水省で審査側に知見が無いため許可が遅れていること、米国FDAで動物医薬品の手続きが先行していること、など興味深い説明もありました。資金が良く続いてきたと思いますが、長く英語論文の発表や多くの同志的医者のネットワーク構築など、医学系ベンチャーが大いに参考とすべき点もあり、引き続きの奮闘を祈ります。最後に、スリースターズ�蟲軌翹�裕氏から、“2025年の崖”のの回避に向けた代替案の一つであるクラウドベースサービスアーキテクチャ・部品モジュール再利用・モデルベース開発プラットフォームであるROWSE(仮)の説明がありました。同氏は大手ITの現場に居て長く企業の問題点に接しており、企業内システムの深刻な継ぎ接ぎ状態とメンテの困難性に対応するべく独立し、新製品を提供しようとしたとのことでした。新システムの概要は技術的な説明が些か過剰であったため理解できませんでしたが、個別企業特有の内部ビジネスプロセス対応のソフトと、事業共通の横断的ビジネスルール対応のソフトとを切り離し、この間の互換を行うシステムを中間に置いて、全体の団子状態を回避し、クラウド化して、極力シンプルに、機動性を持たせようとするものだと感じました。導入企業側にこれを理解・評価できる技術者と経営者が居るのかどうかが壁だと思います。 - 2023.3.14
川崎市NANOBIC 2022年度第5回ナノ茶論に参加。
― 最初に産業技術総合研究所製造技術研究部門穂苅遼平氏から「射出成形でも製造可能な独自ナノ構造を利用したワイヤグリッド偏光素子」として、断面が三角波形状の独自のナノ構造を考案することで、偏光素子に必要な光学特性を発揮しつつ従来よりも製造性に優れたワイヤグリッド偏光素子を開発し、さらに、世界で初めて射出成形と成膜工程だけで作製できる偏光素子の実現にも成功したとの説明がありました。偏光素子は偏光制御が必要な光学システムを支える主要な光学部品であり、自動運転、ドローン、ロボット、バーチャルリアリティー等センシング・イメージングが普及拡大するにつれ可視光から赤外線までニーズは大きく拡大しており、ナノの世界での射出成型や張り合わせ無しの工程を実用化することで、コスト低減、大量生産と個別生産を実現したとのことでした。偏光素子自体に馴染みが無いため、具体的なイメージ化が難しいですが、画期的な開発だと思います。大手企業との連携もあり、国際競争力の強化に貢献して欲しいと思います。次に、自然科学研究機構核融合科学研究所上原日和氏から、「プラズマ照射による表面ナノ構造体の形成とその光デバイス応用」として、化合物半導体GaNの基板上にモリブデンの針金を置きこれらにアルゴンプラズマを照射することで、プラズマで飛ばされた少量のモリブデンがGaN基板上に付着した部分と非不着部分が生じ、全体としてナノサイズの複雑な凹凸構造が形成されたこと、これに特定波長の光を照射すると紫外線(波長365ナノメートル)でのランダムレーザー光が生じること、の説明がありました。核融合の大規模設備を利用しながら、エネルギー分野外での産業利用の途を開いたとのことであり、幾つかの大学の学際的な研究科都度の成果と言えるものでした。若手の研究者が、学際・業際の連携で画期的な開発を進めていることと、我が国の産業競争力が低下しているとされていることとの乖離についても考えさせられました。 - 2023.3.10
RIETI-CEPR主催”Two Speed Inflation: Implications for policy around the globe”に参加。
― 経済産業研究所と英国経済政策研究センターの共催のセミナーで、コロナ禍中のサプライチェーン断続の混乱と消費者の停滞した活動によって生じた需要の低下が、コロナ禍の終息による消費の回復とサプライチェーンの修復との時間的差、コロナ禍中に各国政府が取った消費者(国民)への資金配布による時間的ずれを伴う購買活動の回復に起因して、反動的にインフレを引き起こしている現状を取り扱おうとするセミナーと理解しました。上記要因に加えてロシアのウクライナ侵攻に起因したエネルギーや食糧の価格上昇も、インフレを加速していると考えるべきですが、後者は外され、主に前者を対象として議論しようとしているようでした。英語の講演であり、理論的な数式を扱った内容でしたので、十分な理解には程遠いと思っていますが、現実世界の深刻で複数要因の現象を、数式だけで議論しようとすることに違和感を持ちました。結局、第一部の"Monetary and Fiscal Policy with High Inflation"におけるTommaso MONACELLI氏（Professor of Economics, Bocconi University /Research Affiliate, CEPR)の講演と、藤原一平氏(RIETIファカルティフェロー/CEPRリサーチフェロー/慶應義塾大学経済学部教授 /オーストラリア国立大学教授)、Refet S. GURKAYNAK( Professor of Economics, Bilkent University/Research Fellow, CEPRのコメントだけ聞きました。短期的には財政政策は有効であるが、長期的には金融政策が有効であるが、両者はインフレ等相反する効果も持つものであり、帰するところ政府への信頼(財政における国債発行残高と償還能力)が無ければ両策も意味が無いという結論であったと思います。 - 2023.3.3
NPO三鷹ネットワーク大学推進機構「激変するアジアビジネス環境を睨んだ日本企業の活路」講座に参加。
― アジア経営戦略研究所(AIBS)との連携で企画されたセミナーで、綜研化学アジア�蠕酖膺�夫社長の「タイのビジネス環境と化学品製造会社の持続的成長に向けた経営課題」と題する講演を聞きました。綜研化学�蠅蓮�技術系中堅企業の輩出と発展のためのエコシステム研究会で講師をお願いした中島 幹氏が社長・会長等を務められた会社であり、早くから海外展開を行って中国3社、タイ1社の子会社を有していますが、川島氏はそのタイ子会社の社長です。タイでは、粘着テープ、粘着剤を製造し、タイで近年急成長している自動車企業、電子電気機器企業向けのほか東南アジアにも輸出して、アジアハブのコアとして役割を果たしている話を聞きました。タイやインドネシア等では、産業の付加価値化・高度化の旗が振られていますが、同社の製品がうまくこれらのニーズにはまっている様子が伺えました。その上昇気流に乗っている同社の課題としては、基盤としての人件費・物価の上昇への対応に加え、タイ人従業員の離職率が高い一方で経営幹部登用に挑戦する傾向が少なく、保守的・現状維持的な指向が強いとの説明がありました。同社の人事・採用の基本方針の明確な説明は有りませんので不明な点もありますが、日本企業の基本はまだ非ジョブ型でありメンバーシップ型の採用人材の中から幹部候補生を育成する考えですので、日本人幹部の下で働くタイ人(東南アジア人も然り)側からすれば、どうしても受け身になると想像します。最初から幹部候補生枠的な採用を行い、そのタイ人従業員に明確な問題意識を持たせて育成し登用していくべきなのではないかとも考えました。海外子会社のみならず我が国企業全体が乗り越えていくべきハードルを提示した講演であったと思います。 - 2023.2.27
ナノテクノロジーセミナー『 日本発・感覚技術ベンチャーが拓く未来 』に参加。
― いつものナノ茶論の講座とは別の「感覚×センシング技術」の社会実装に取り組む技術ベンチャーの紹介セミナーでした。最初に、物質・材料研究機構主任研究員で��Qception 代表取締役の今村 岳氏から「嗅覚センサーの総合的開発と社会実装」とのタイトルで、人間の五感の中で開発が困難な嗅覚センサーについて、膜型表面応力センサー(Membrane-type Surface stress Sensor：MSS)の開発と企業との共同研究等を進める同社の説明がありました。臭いの種類は40万種あり、臭い分子もサイズが大小様々である等の特殊性から汎用的なセンサーの開発は非常に困難であるとのことでした。同機構は国際的な連携のもとで、一定の群の臭い分子を吸着させる感応膜をナノレベルで作成しこれを1mm2の素子の中に置き、吸着した臭い分子の重さによる膜の応力・変異による信号を感知するセンサーを開発したとのことです。膜は300種類まで開発を進め、更にこれに機械学習を組み合わせ臭いを推定する手法も開発しているとのことでした。このような技術を企業のニーズに合わせて共同研究や実測定、コンサル等を行うために同社を設立したとのことです。万能のセンサーではなく特定群の臭いに対応するセンサーとする見切りが重要だと思いましたが、標準物質となる臭い分子の作成は困難なこと、化審法の審査の制約から全くの新規の化学物質を膜や機械学習の要素としては利用できないことなど嗅覚センサーの難しさを感じました。次に、��ThinkerのCTO中野基輝氏から「近接覚センサーがもたらすロボットハンドのシンカ（進化・真価・深化）」として、赤外線と人工知能を組み合わせた新しいセンサーである近接覚センサーの開発と機械学習の組合せの説明がありました。赤外線を用いるのは珍しくないものの、従来技術では精度の落ちるガラス面や鏡面の計測も機械学習で補完し(vision-proximity based control)、距離・傾きを把握してロボットハンドの姿勢を変更することで、より器用で巧みなハンドを持ったロボットが実現できたとのことでした。機械学習も、ティーチングが容易なように開発したことから、導入が簡単に進められるとのことでした。両者とも、AI(機械学習)の賢い利用で、ハード部分の開発の限界をソフトで補完していくことで、コストの削減や迅速な導入で産業界に貢献していこうとの指向である点が面白く感じました。 - 2023.2.22
第5回地域産業創出セミナー「独自の焼結技術をもつ中堅企業と、大学発放熱技術を有するスタートアップの連携で、次世代パワー半導体実装のキーパーツを実現」に参加。
― スタートアップ側の�螢蹇璽織后Ε機璽泪襦Ε愁螢紂璽轡腑鵑蓮∈綢臠�のベンチャーでレンコンのように多孔質形状で放熱機能の高い金属薄片を開発し、これをEV等に必須のパワー半導体であるSiC素子の放熱用の部材として利用を進めるべく自動車部品メーカー等と協業している状況にあるとのことでした。同社の井手拓哉氏は、この薄片の製造を担う�螢▲�ネとの接点を、サポイン制度に採択された企業のデータベースから同社等を拾い出し、阪大の教官と中国経産局の助言によって創り出していったと説明していました。�螢▲�ネの砂本健市氏は、同社の創業以来50年間技術指向中小企業として自動車の金属加工部品生産の高度化を追求し、一軸通電焼結機（プラズマ活性化焼結試験機）導入による金属焼結分野へ参入し、さらに、サポイン制度を利用しつつ多軸通電焼結機を開発したとのことでした。多軸通電焼結機は加熱（水平方向）4軸と加圧（垂直方向）2軸で、無負荷での昇温、黒鉛型内の温度均一性の特色を有するというものでした。砂本氏のリーダーシップと30名の従業員の協力により、これを実現させ30名規模で3億５千万の売上げを達成した中堅どころの技術系企業です。トップ同士の議論の中から双方のアイデアで製品と製法を具体化し、多軸通電焼結機により製造を行い、SiC半導体への実装を実現した経緯を両氏は説明していました。パワー半導体は我が国の技術力が高いとされているものですが、更に、両社の技術力が加わって、国際競争力を確保していって欲しいと思います。今回の事例からは、何を相手に求めるかを極力具体化し、これを中間仲介機関が咀嚼して、お見合いに持っていくという、手順の重要性が指摘されていました。 - 2023.2.14
第244回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 最初に、ATLIKE�蠹賃綢臺綮瓩�ら、「ヒト」と「テクノロジー」の力で課題を解決することをミッションに掲げ、業種を問わず、様々な業界企業において、システム導入や業務効率化のコンサルを進めている同社の概要について説明がありました。アクセンチュア出身者による会社で、業務内容等はコンサル業界での経験を活かす内容となっており、事業内容としては出来上がっている印象でした。次に�螢咼奪函Ε肇譟璽鼻Ε錺鶲ど�行成氏から、パソコン周辺機器を中心とした電子機器の設計・開発・製造の受託開発、自社開発製造販売を行っている事業の説明がありました。専門性と大手メーカーでの経験を活かし大手企業からの受託開発・製造を一方の柱としながら、約250品目の自社製品を開発製造販売しているとのことでした。PCやゲーム機器に関連したマニアからのニッチなニーズに応えた製品開発を進め、多品種少量生産のノウハウとシステムを構築しこれを強みとして事業展開をしているとのことです。このような受託・自社生産の経験と中国企業との連携により、少品種大量生産から、一定程度の品質管理を伴う中規模生産、さらに厳格な品質管理を伴う生産までのノウハウを蓄積し対応しているとのことでした。現在は、個人や少人数の仲間が開発したものを、商品として再設計・販売しその販売量に応じて各々にロイヤリティを支払う「BTOマイプロダクト・サービス」のプラットフォーム事業を展開しているとのことでした。久々に製造業の新しいプラットフォーム・ビジネスモデルを聞くとともに、中国や米国では生まれないかもしれない日本的な精度と品質を追求してニッチ分野を攻める企業に出会った気がしました。また、阿部氏は，町田市に所在するサレジオ会が運営するサレジオ工業高等専門学校の講師も勤めており、活躍を期待したいと思います。最後にオルバイオ�蟷蓋�栄一氏から、L-グルーコースが極めて選択的にがん細胞に取り込まれることから、これにニンジンやパセリ、みかんなどに含まれる天然物7-OH-クマリン（Coumarin）と結合させた物質(CLG)を投与してがん細胞の増殖を抑制する、更に、L-グルーコースに金(Au)と硫黄原子を結合させた物質(ALG)を投与して高周波等で温熱化させて細胞を死滅させるという治療法を開発したとのことでした。京都大学を始め、医療・医薬の大家を網羅したベンチャー企業で、成功を祈ります。 - 2023.1.26
関東経産局第４回地域産業創出セミナー「特殊ガラスメーカーの中堅企業と放熱材料系スタートアップの連携が、Go-Tech事業で量産課題に挑む」に参加。
― 中堅企業と技術系スタートアップの連携を取り上げ、その出会いのキッカケ作り、連携の方法、出口等を探っていくシリーズで、今回は、20年度の本事業で連携が始まり21年度にセミナーで紹介された両社の連携のその後の発展について、��U-MAP西谷健治氏と岡本硝子�蟆�本 毅氏から紹介がありました。最初は、名古屋大学発スタートアップの��U-MAPが、高い熱伝導率をもつセラミックス複合材料Thermalniteを熱問題を抱える電子機器中の電子部品に組み込んで熱放散を図るべくユーザーを求めてリバネス等に相談を持ち込み、電子部品のグリーン基板の樹脂材料にThermalniteを溶け込ませるとのソリューションでこれを可能にする相手先を探し始めたところ、中部TLO→リバネス→東京東信用金庫→岡本硝子と辿り着いたとのことでした。岡本硝子はR＆Dの幅をスマイルカーブの上流、電子部品用材料の粉体開発にまで広げて来ており、グリーン基板の材料も扱っていたところから両社の連携が可能になったとのことでした。途中においては、岡本硝子は単に外注を受ける立場で外注費の交渉になってしまったことも有って、紆余曲折はあったものの、リバネスや東京東信用金庫の仲介努力が新素材の開発や最終のユーザーまで繋がるサプライチェーンの開拓という共同事業に発展したとの説明が有りました。現時点では、旧サポイン事業である「成長型中小企業等研究開発支援事業（Go-Tech事業）」の出資獲得枠(VC等からの出資を受ける予定を有するプロジェクト)に採択されているとのことでした。公的な機関を含めて仲介機能が重要であること、連携先探しに当たっては、グリーン基板への応用というように、分かりやすい用語を用いた一定のソリューション仮説をキーワードに探索することが必要と強調していました。多くの仲介機関の担当者がこのような事例から学び、柔軟な発想で仲介機関同士の横の連携を進めていくこと、また、新分野を開拓しようとする意欲的な中堅企業が増えていくことを期待します。 - 2023.1.18
(公社)自動車技術会セミナー「環境課題に協創で挑む 日立の研究開発」に参加。
― 経済情報の提供とコンサル等を中心とする�螢罅璽競戞璽垢�主催したセミナーでした。�蠧�立製作所研究開発グループ技師長・プラネタリーバウンダリープロジェクトリーダ鈴木朋子氏が講師で、まず、過去の経験から顧客課題を起点とする研究開発を主眼とし、顧客ニーズに基づき仮説を立て検証しながら具体化して行くことの重要性を指摘していました。問題は時間軸で、時代が早すぎるとニーズはあっても具体化・事業化できず、遅すぎると競争に負ける。また、仮説作りや顧客とのフィードバックには理系・文系のチームが有効である等の補足が有りました。2050年の時代状況と環境問題の解決に対しては、東大との共同プロジェクトで、現時点から2050年を予測したシナリオと2050年から現在を変えるシナリオを作り両者を比較しながら具体策を考えていくような手法について説明がありました。面白いのは入社直後の若手の価値観が未来を考え行動を具体化するに有効だと補足している点でした。最後に先般のCOP27に参加した経験から、日立とは異なる分野で活動する事業者や新興分野の事業者のニーズを捉え彼らと協創しつつ具体化して行くことの重要性を痛感したと説明していました。しかしながら、日立も大組織であり内部はサイロ化されているので、“プラネタリーバウンダリー”なプロジェクトの具体化は非常にエネルギーを要するとの補足が有りました。R＆Dの初期段階から顧客との接点を持つというのは、３Mのオープンラボの話を大昔に聞いたことを思い起こしましたが、日立も国分寺に「協創の森」という拠点を創って、顧客との交流を進めているとのことです。組織の総合力と専門化・分化は相反するものであり、いずれの組織においても共通する課題ですが、単にITツールの活用だけではない、顔対顔の仕組みと生の言葉の力を浸透させることの重要性をやはり感じました。