- 2014.12.16
第10回GPIC研究会に参加。
― 今回は大阪大学大学院の舟木教授から「新材料パワーデバイスを活かすための周辺技術と,日本のパワーエレクトロニクスのガラパゴス化の可能性」と題するプレゼンがありました。SiCやGaN といった新材料半導体を用いたパワーデバイスの技術課題については従来の発表と大きく変わらない指摘であったと思いますが、海外においてインフィニンオンが大口径ウェハーを用いたSi パワーデバイスを製造開始している点、Si材料や低電圧・低温域で利用可能な領域がまだ多くある点などの指摘は非常に示唆に富むところでした。結局、我が国のパワーデバイスのメーカーは垂直統合構造の中で自社内使用を優先しており、インフィニオンのように第三者への供給やメンテナンスを基本としていないために、ユーザは付きやすい企業を選択する。最大のユーザと思われる自動車業界において欧州の企業はソフトなハイブリッド車の標準化(そこそこレベルの技術を前提として)を進めており、我が国有力自動車メーカーのアプローチとは異なっている。パワーデバイス利用のソリューションをシステム的にかつソフトウェアと一体で進めて行く必要がある。などの指摘は、先に問題提起したところと重なっており、我が意を得たりと感じたプレゼンでした。特に、欧州企業が中国企業と手を結んで標準化を進めた場合には、一挙に我が国の技術・製品がガラパゴス化するわけであり、残念ながらパワーデバイスについても同様のリスクがあることを十分に経営に近いところや標準担当当局は肝に銘じておく必要があると思います。
- 2014.12.10
デザイン・ストラクチャー・マトリクスDSMシンポに参加。
― 慶応大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の西村 秀和氏等が翻訳した原著者マサチューセッツ工科大学スティーブン・D・エッピンジャー等の「デザインデザイン・ストラクチャー・マトリクスDSM〜複雑なシステムの可視化とマネジメント〜」の出版を契機とするシンポでした。システムデザイン・マネジメント研究科の公開セミナー等には数回出ていますので、DSMもデザイン構築(構想)の中で政策や事業構築を考えようとするものの一つであろうと見当は付きましたが、具体的な考え、利用の仕方は初めて見聞きしました。DSM法とは、複雑なシステムの設計・開発・管理を支援するモデリング技術の一つで、システムを構成する要素(たとえば業務の流れなど)を縦と横の表(マトリクス)形式に整理し、要素間の相互作用を可視化して問題や課題を分析する手法です。製品、組織、プロセスなどの課題を多要素に分解しその相互関係を見て行くものだと認識しましたが、気になったのは既定値としての製品、組織、プロセスの要素を分解して問題を見い出し解を求めるには向いているとしても、プロダクト・イノヴェーションや全く新規のプロジェクト管理などに利用できるのだろうかとの点で、購入した書籍を時間を掛け勉強してみたいと考えています。
- 2014.12.9
第163回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 今回は4社からの発表でした。最初は?モーダルコンセプトジャパンの齋藤氏から、ハンディスキャンとスマートフォンにおけるアプリを使って売上げ管理や棚卸等を効率よく行えるサービス、CADデータをWEB上に簡単に描画し、CAD情報を共有化できる製品などの説明がありました。?オーキッドの松野氏からは、主に元気な女性を対象としたパソコン教室を、教え方・教材・フランチャイズなどシステマティック取り組んでいる事業の説明がありました。レジエンス?の村山氏からは再生医療分野で具体的に取り組んでいる再生細胞とそれに基づく治療について説明がありました。ニーズは確かにあり、薬事法の抜本改正も行われ、事業環境は極めて良くなっている状況がよく分かりました。最後に?日本商業不動産保証からは、オフィス供給の増勢が止まらない中でビルオーナーからの優良な入居者を獲得したいとの意向に応える形で、優良テナントを審査し賃借の際の保証金を半分同社が肩代わりする事業の説明でした。他社との差別化を、タイミングを捉えて事業化できるかどうかがベンチャー企業に取っても重要ですが、その時代の追い風を上手く捉えるのは、運か才覚か、考えさせられました。
- 2014.12.8
電気通信大学Unique & Exciting Research Symposium〜研究力評価の改革に向けて〜に参加。
― 文部科学省が本年5月に「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」を改定したことを受けて、研究力の一層の強化に向けた研究推進体制を構築しようとしている同大学が、研究力とは何かを確認しそれを計測・評価する研究評価手法を確立しようとする公開のシンポジウムでした。同大学に設置されたURA(University Research Administrator) が構成する研究企画室で議論されてきた研究力=研究遂行力×研究成果の考えを説明し、講演者達とパネルディスカッションを行いながら会場の参加者の意見も聞き、評価手法を具体化したいとの内容でした。研究遂行力は、研究者や研究開発予算、研究用のインフラなどを一定の基準で定量化し、研究成果は論文や博士取得者数等を同じく一定の基準で定量化するものとのことでしたが、研究者は大学院生を含めた総合的な見方ではなく、既存の教授等の予算獲得力を前提にしているようで、これを掛け算にして研究力を見ようとする考え方は、若手の研究室などの評価が小さくなる可能性があり、また、グローバル化の中で、英語の情報発信力、海外からの留学生の数、国際会議の開催などの視点も含まれてない点も違和感を感じました。しかし、電通大が、このような重要な手法を敢えて外部を入れて公開の場で議論して行こうとする姿勢は大いに評価できると感じました。
- 2014.11.21
MCPCモバイルソリューションフェア2014に参加。
― これも全く久しぶりの参加となりました。IoT/ MtM絡みの展示も多かったですが、事業用にモバイルPC/機器をネットワーク化する従来型の展示や、多機器で文書を作成し共有するためのソフトなどの展示が見られました。その中で、都市の多様な状況(ゴミ監視、水漏れ、渋滞状況、道路監視、照明管理、大気汚染等)を把握する各種センサーを無線で繋ぎ面的に多層多重で情報を集め分析するというスペインのベンチャーlibelium社、IoTアプリとビジネスアプリを短期間で作成する開発ツールを提供するイスラエルのベンチャーiqpiot社、自動車向けタコグラフの情報を無線で集めインターネットでユーザに提供する矢崎エナジーシステム社に興味を持ちました。従来から面白いと感じるのは海外のベンチャーが主ですが、韓国KOTRAのブースに出展した韓国企業10社は、モバイル向けセキュリティ、文書作成ソフト等オーソドックスな内容が大半で、その中で一社だけ決済システム向け機器の展示をしていました。我が国より韓国は技術動向に敏感であると考えていましたが、多少意外感を覚えました。今回だけなのかも知れません。
- 2014.11.20
Embedded Technology 2014に参加。
― 久しぶりに横浜みなとみらいでの展示会でした。組込みソフト制作のためのツールだけではなく、IoT/ MtM絡みのシステムの説明が多く、少し前にビッグデータと言っていた言葉が置き換わった印象を受けました。組込みソフトでは自動車に関係するものが多く、自動車のコストの40%が電子・ソフトであるとの一出展企業のプレゼンを裏付けるものでした。IoT/ MtMでは、情報を集め処理するシステムとしての差異は余りなく、何をするのか・得た結果をどう使うのか、がこの分野での決め手になっていると感じました。HEMSやMEMSのようなエネルギーに関連する展示もありましたが、再生エネルギーの導入の観点だけではなく、小売の自由化や送配電システムの変更もスケジュールに上がっているなかで、エネルギーの供給システム全体の中の多様な装置に関わるソフトをどう考えるかとの視点での出展は見当たらないように感じました。なお、?エーアイコーポレーション主催の個別セミナーに参加し、マルチコアプログラミングの課題についての講演を聞きました。先般のJEITAのワークショップで感じた自動車のように超多様で大量の情報を瞬間的に処理することの限界をどう乗り越えられるかという問題意識からでしたが、複数処理の優先をどうするか等のやや技術的な説明で、根は同じだと思うものの少し不満が残りました。
- 2014.11.11
第162回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 今回は3社から発表がありました。最初に、ナノフュエル?の松村 健彦氏から、エマルジョン燃料の製造に、高速流体において発生するキャビテーションの大エネルギーを用いる微粒子化技術を利用し、燃料に混入させる水分子をナノ化して混合燃料を安定化させ燃焼効率を高めるエマルジョン燃料技術、同技術を応用してディーゼルエンジンに植物油由来のリン酸塩の付着を防止し発電を行うナオバイオ燃料技術、船舶のスラッジの処理に同技術を利用したスラッジ等のエネルギー再生事業の紹介がありました。次に、ルセット・ナイン?大塚 早希子氏から、島根県のマルシェマシナリー?が開発した超音波と高電位電圧を使いマイナス13度まで凍結させないで冷却保存する技術を使用して、食品のコールド・チェーンの構築を目指す事業の説明がありました。最後に、大谷技研?大谷 圭三氏からベルト駆動、ウェブカメラ、SR モータ(Switched Reluctance Motor) 等を使ってピッキングや搬送等を可能にさせる安価なロボットアームの説明がありました。ナノフュエル社は、固体・粉体の微細化技術としては歴史と実績のある企業のようであり、それを基にバイオ燃料等に横展開しようとしており、今後を注視すべき企業だと思われます。
- 2014.11.7
組込み系ソフトウェア・ワークショップ2014に参加。
― 組込み系ソフトウェア開発が大規模化・複雑化・短納期化・多機種化していく中で我が国が国際競争力を維持していくために、品質の強化、開発スピードアップ、アーキテクトの育成というテーマで活動してきたJEITAワークショップが、今回は「モデリング」をテーマに取り上げました。最初に大阪大学春名修介教授からこれまでのモデリング経験を基にし、特定の目的のために必要な部分のみ(主に関係性)を抽出して抽象化する能力、特定した視点に最適のモデルを選択する能力、特定の静的視点と動的視点を同時に表現する能力等に立って、矛盾する要素をバランスさせながら第三者に理解させられるモノとしないといけない点を説明していました。富士通の奥村一幸氏と石田晴幸氏からは、社内で利用しているモデリングの事例の説明がありました。最後に?アマダの久我雅人氏から、制御から入るのでは無く制御の対象物から入りメカの物理構造も論理構造化するような発想の転換と、開発者の機能分担の横割り化と機種担当と横割り機能担当をマトリックスで捉えるチーム編成等の元プリンターメーカにおける経験の説明がありました。昨年までと雰囲気が変わり、参加者は若い一線の担当者が多くなり彼らが主に質問をするなど流れは良い方向に変化したと感じましたが、コンピュー化しつつある自動車の超多様な情報を安全性を維持ために超高速で処理しなければならないニーズが現実にあることを考えると、ここで議論されているモデルリングが果たしてワークするのかどうか、最近の自動車のリコールがソフト関連であることも踏まえた業種間の比較や討論が必要であると感じました。
- 2014.10.14
第161回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 今回は4社からプレゼンがありました。最初に?VEQTAの俵氏から農畜産物の遺伝子解析による系統の固定化、病弱な幼牛の早期選別による生産性の向上等の説明がありました。次にスペクトロニクス?の岡田氏から、"光・レーザ技術"をコアとして微細加工用レーザの受託開発を主に行っている事業形態から、独自技術により実現した"ハイブリッドピコ秒パルスレーザ"を切っ掛けとして、レーザによる微細加工のトータルソリューションを提供する事業へ転換するとの説明がありました。繊維強化複合材料やアルミ材の加工に素晴らしいものを持っており、市場としてニーズの高い自動車等の部材加工分野で関西から中部へ軸足を移し、更に関東へ進出したいとの話でしたので、本庄早稲田国際リサーチパークのサービスを紹介しました。うまく、使って貰えればと思います。3番目に、隼エナジー?の清水氏から、「北米」、「低リスク」、「中小油田」の3つのキーワードで、リスクの低いテキサス等の稼働中の個人保有の石油井を対象に直接投資を行う独立系ヴェンチャーの話がありました。最後にAURAL SONIC ?古澤氏から、わずか2cmの厚さで調音・遮音を実現する音響パネルの説明がありました。加齢で聞きにくくなっている自分としても本材料と補聴器の組合せなど魅力を感じます。民間病院、オフィス、工場等を対象に事業展開の強化を図ろうとしていますが、スタッフ不足の解消と資金調達を同時に行う必要があり、人が先か資金が先か、ヴェンチャー企業が伸びようとする際にどうしても避けて通れない課題ですが、地元の公的機関や既に居るSONY出身者のネットワークの活用等、東京での資金調達のまえに地元でやれることがあるような気がしましたが、同氏とは意見が噛み合いませんでした。
- 2014.9.30
第2回GPIC研究会シンポジウムに参加。
― 技術で勝ってビジネスでも勝つことをグリーンパワーの世界で実現することをミッションとするGPIC研究会の第2回目のシンポジウムです。最初は東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻の阿部力也教授から、?無電化地域においてバッテリに蓄電したソーラ電力をクラウドシステムで制御し携帯決済でユーザに販売するアフリカでの事業展開、?停電頻発地域で異なる電圧・周波数の交流・直流を系統接続するインバータをインターネットで制御して電力供給を行うシステム、?ハードウェアを標準化しソフトもOSを標準化したインバータをインターネット接続する家庭用万能インバータ、のプレゼンがありました。次に、東京大学政策ビジョン研究センター小川紘一シニア・リサーチャーから、我が国半導体・電子機器産業が陥った知財対応と、これの対極にあるインテル、ボッシュ、ボーイング、ダイキン等に共通するオープン・クローズの知財戦略についての講演がありました。我が国の伝統的な特許出願件数即知財先進企業の思い込みが招いた不必要な特許情報の公開とこれを活用する途上国のキャッチアップ・モデルに触れ、業種の異なるインテル、ボッシュ、ボーイング、ダイキンが採用する技術コア部分の徹底したブラックボックス化とその外縁部分であるパートナー・ユーザ企業との接点部分を契約と知財でコントロールするビジネスモデルの説明がありました。ボッシュやボーイングのように従来摺合せで垂直統合的であるがゆえに競争力を持つと捉えていた視点ではなく、モジュール・インテグラル論を超えた技術・経営戦略の重要性を浮かび上がらせた内容でしたが、クスマノ等が指摘するインテルのUSB等の標準化へのリーダー企業の選好的費用投下の努力や、小川氏の言う外縁部分・接点部分における標準化の推進とプラットフォームへのユーザ参加の呼びかけ等のリーダー企業の主体的働き掛けの言及がない点が物足りませんでした。とは言え、我が国のグリーンパワー業界にとって果たしてこのようなオープン・クローズ戦略が取りうるかどうかを疑問に感じながら会場を後にしました。
- 2014.9.26
日本開発工学会(JDES)第8回コーディネート経営研究会に参加。
― ヘルスケア分野(医療介護等の公的サービス)を中心に、社会保障と民間需要の最適化という視点から、具体事例に沿った研究を進めて行こうとする同研究会として、今回は、医療向け無線規格BANモジュールを用いて医療現場での医療機器の情報等の集中管理等の事業をシステム化、販売等を行う製造事業者や販売事業者とのコンソーシアムを形成して事業展開を図ろうとするのぞみ株式会社の高田 淑朗氏、徘徊老人などが保有する機器から発生したGPS情報をクラウド上のサーバーから徘徊老人を探すことに参加するボラティアのスマートフォーンに連絡する見守りシステムを構築した名古屋工業大学永井 明彦氏からプレゼンがありました。コンソーシアウム構築の調整者としてCJS(クールジャパンサムライ)と称するグループが参加していましたが、彼らのネットワークの実力が不明であり、また、機器やシステムの開発者が、ユーザから資金集めまでCJSに丸投げするに近い状態での議論で、多人数での発言は、研究と言う視点での批判なのか、支援と言う視点での助言なのか、よく分からないまま終了してしまいました。前回の印象とは異なり、焦点が絞れず拡散気味の研究会でした。
- 2014.9.18
IFPEX2014(第24回フルードパワー国際見本市及びEVEX(EV・PHV普及活用技術展2014)に参加。
― (一社)TEP(TXアントレプレナーパートナーズ)の活動を通じて支援を行っているベンチャー企業であるECO-A社が出展しているIFPEX2014と、アドヴァイザーをしている(公財)本庄早稲田国際リサーチパークが出展しているEVEXに参加してきました。前者では、金属とプラスチックの異材料を通電接合する技術を使って軽量で制御容易な空気シリンダーを開発しようとしているECO-A社のブースを除きました。会場の隅の方で展示品も少ない小さなブースでしたが結構立ち止まって話を聞く人も多く安心しました。後者は、同リサーチパークのモビリティ関連研究会の責任者である早稲田大学の大聖教授が実行委員長を担当しており、多様な出展企業の中でリサーチパークのブースは比較的真ん中の大きなスペースを得て、これも結構来客の関心を得たようでした。財団の研究会の会員企業数社が製品を展示しており、事業に繋がればと思いました。
- 2014.9.9
第160回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 今回は3社からのプレゼンがありました。最初は?AODジャパンの高橋 正社長から、同社製品の製造元である中国AOD社のLEDを、電力節減のコンサルを行いながらその節減で生じる利益を原資として事業会社を対象に導入を進めている事業の説明がありました。二番目は?treeの金田 江里子社長から、仙台富沢病院のドクターの監修による認知症に関する『情動療法』の展開の説明がありました。意思が明確に示せなくなった高齢者が演劇者の語りかけで反応を示している例は身につまされました。最後は?アイピー・フロントの余 東社長から、HEMS、BEMS、FEMS、車載端末、植物工場を始めとしてさらに拡大が予想されるIOT(M2M)関連製品を、コア部分を標準プラットフォーム化して多様なニーズに対し短納期、高品質、安定供給、低コストで製品を納入して行く説明がありました。ソフトは中国で開発し、ハードと組込みは日本の中堅企業にアウトソースし、また中堅の商社ともアライアンスを組む手堅い手法を興味深く感じました。同社長は中国出身であり、両国の得手不得手を冷静に見ていると思いました。また、ビジネスプランとは別に、現在NPOミネルバの理事長でもある株式会社PALTEKの高橋 忠仁会長から、本発表会の聴衆に製造業からの参加が増する期待の表明があり、同社がMINERVA発表を契機に提携先を見つけ設立した株式会社テクノロジー・イノベーションの例の説明がありました。高橋氏の強調するように製造業者との橋渡しを強化することが、?アイピー・フロントのようなベンチャーにとっても、ユーザとなる製造業者にとっても重要であり、類似支援機関の共通の課題であると実感しています。
- 2014.8.29
プロトラブズ モノづくり加速セミナー2014に参加。
― 本年の3月に開催されたプロトラブズ合同会社主催のセミナーとほぼ同内容のものでしたが、前回と同様満席で、大半の若手実務者のなかに50歳以上の技術者も多く参加しており、同社のビジネスが完全に我が国に根付いているように感じ取れました。ユーザー紹介では、良く耳にするベンチャー企業のみならず上場大手数社の名前もあり、製品開発の効率化とスピードアップの重要性に応える同社のサービスが確実に浸透しているものと思われます。また、前回同様、國井技術士設計事務所の國井氏からは極めて実践的でかつ若い聴衆向けの具体的な設計と開発の現場での留意点の説明がありましたが、CADを扱うことが当然になった製造業においてタイピング・PC入力に長けた女性事務員の採用を行い戦力化している例を聞き、摺り合わせとか言って浮かれていた我が国製造業の移ろいを実感しました。今後の我が国の製造業の競争力の源泉は、スピードであり構想力・デザイン力にあると考えます。また、質疑では、歩留とか事後の製品補償というような利用を前提とした質問が出され、この点からも本ビジネスモデルの定着を裏付けていました。
- 2014.8.28
グローバル経営支援セミナーミャンマー編に参加。
― 三菱東京UFJ銀行と東洋経済新報社の共催セミナーで、キン・マウンティン ミャンマー駐日大使の挨拶と国家計画経済開発省投資企業管理局のチョー・チョーウィン氏からのミャンマー経済の現状と今後の取組み、政府の重点分野等の説明に引き続き、JETROアジ研の工藤 年博氏、森・浜田法律事務所の武川 丈士氏、KPMGの藤井 康秀氏からのミャンマーの産業の実態、これからの発展のために取り組むべき重点分野、外資規制の現状等について説明がありました。ミャンマーへの関心の高さから大会場は満席でしたが、現地に長くまた長期間付き合ってきた3者からは、20年前のベトナムとも言うべき状況において課題山積の中、手さぐりで国家計画経済から市場経済へ、外資の導入へ舵を切りかけている現状であることが述べられ、低賃金だけを狙う加工工場の建設や国内市場の需要獲得というような短視眼的な捉え方ではなく、明確に中国と距離を置き市場経済の中で生存を図ろうとしている同国の永続的な発展に資する息の長い付合いを我が国が行うことの重要性を感じました。短兵急な変革は結局、同国を再度非市場経済に戻らせることになりかねないリスクを冷静に見るべきだと考えます。
- 2014.8.18
日本開発工学会第26回エンジニアリング・ブランド研究会−エンジニアに求められるセンスウェアとホスピタリティ(第2回)−に参加。
― 同研究会の小平主査からエンジニアに求められるセンスウェアに関して報告がありました。エンジニアリング・ブランド構築過程を分析すると、キー・エンジニア同志のコミュニケーションとホスピタリティが具体化しビジネスへと進展していくが、感性や知性や心性が融合することで育成されるセンスウェアは、より質の高いコミュニケーションやホスピタリティを実現させることによってブランド構築に重要な役割を果たすものである。感性(センス)は天性のものといわれるが、科学やエンジニアリングを学びエンジニアとして実践することで得られるスキル(経験)が蓄積されて知性となり、ホスピタリティと関連する心性(利他・誠実)と相まって、これらを融合させたセンスウェアを有するエンジニアとなることで、識別力を持ち信頼性を得られるエンジニアリングを産み出し、ビジネスを発展させる、と言うように理解しました。後半は芝浦工業大学名誉教授小川氏から、長年金属切削加工に関わってきた立場から、加工現場で五感から得られる情報の大半は視覚によるもので、これを長年の経験で育む知性との相乗効果でアクティブな感性とし、美しい切削、競争力のある加工技術へと発展させていく。大事なことは意欲でありセンスウェアではないか、との指摘であったと理解しました。センスウェアの体系化はこれからですが、事業におけるセンスの問題、技術屋のセンスの課題等面白い問題提起だと感じました。
- 2014.7.25
日本開発工学会第7回コーディネート経営研究会に参加。
― 官と民間の間にあるパブリックなニーズに対し社会的起業家が果たす役割と事業としての定着の可能性について、具体事例に沿って意見交換を行おうとする研究会に初めて参加しました。最初の事例として、今や日本人の2人に1人が生涯罹患する「がん」の女性患者の放射線治療中や治療後の肌・髪のケアとともに精神的なケアを、癌患者としての体験をもとに行うビューティサロン「セレナイト」を立ち上げたさとう桜子さんの話を聞きました。二番目には、 55歳以上シニアが自分の得意性を確認して気軽に起業できるように支援するクイック・スモール・ビジネス・スタートアップ・プラットフォームづくりを目指す日本USP協会・葉倉峰雄さんから話を聞きました。前者には、女性特有の悩みの解消を経験者の女性ならではの立場から図るというニーズは確実にあると思われる反面、一人で施術から広報までやっている限界をどう乗り越えるかが課題で、多様なNPO等を通しての情報発信を更に深めるとともに、事業パートナーを一人見つけることが不可欠だと思われます。後者もニーズはあると思われますが、サービスのメニューを絞ること、どのようにサービス提供者を集め分担していくかを具体的に検討する必要があろうと感じました。研究会としては事例を研究しつつコンサルも行う面白い取組みだと思いました。
- 2014.7.14
第9回GPIC研究会に参加。
― パワーデバイスに係るビジネスを成功させるために取り組むべきことは何か等を研究する一環として、今回は、主にデバイスやシステムのユーザー側に立ちつつ、セキュリティ・情報通信・メディカル・保険・地理情報等をカバーする社会システム産業として広くシステマティックにサービスを提供しているセコムの常務でIS研究所所長である小松崎氏から、同社の創業以来堅持してきた事業理念とともに、外部技術やサービスをどう使いこなしているかの考えを聞きました。サービスが提供する価値に対する想いを徹底的に追求してサービスを具体化してきたことに触れ、価値の基準として、水平目線、共感、思いやり、先端性、驚き、安全性、必然性、尊厳等からなる「なるほど価値」を挙げるとともに、内部に研究機能を有しつつも外部の技術・サービスの取込みに何ら障壁を置いていないことなどを説明していました。会員からの発表としては、小生から「パワーデバイス利用空間とシステム統合能力」のタイトルで、パワーデバイスの利用空間の大小を想定し、パワーデバイスを含むシステム、当該システムの他の構成要素、当該システムへの参加プレーヤーの多さ複雑さを前提に、大空間で関係者が多くなるほど事業の成功のために求められるインテグレーション能力は強くなるべきことに触れ、関連する各種レポートの紹介などを行いました。従来は、デバイス開発の立場からのプレゼンが殆どでしたので、システムとして統合されなければビジネスにならず、部品事業者が統合能力を持てるかあるいは統合能力を持つ者と組めるかの問題提起をした積りです。しかし、参加者からは、幾らやってみても世界市場も小さく、また、我が国のデバイス開発事業者が多すぎるので事業としては成り立ちそうにないとの本音が聞こえてきたように感じました。
- 2014.7.10
テクノトランスファーinかわさき2014に参加。
2014.7.10
テクノトランスファーinかわさき2014に参加。
― 主にかながわサイエンスパーク(KSP)を中心に集まる中小企業の展示会ですが、県外からの出展もあり、その中で、長野県の岡谷市のコーナーに、熱処理によって金型プレートの歪み極小化や金属材料への耐摩耗性や耐食性等の機能性付加を行う岡谷熱処理工業?、金を使用せず半導体パッケージの封止を行う300度C以下融点の低融点ガラスを提供する?ミゾグチという面白い会社が出展していました。また、この機会を利用して旧知の神奈川科学技術アカデミー(KAST)の統括コーディネータに会い、彼が支援してきた慶応発ベンチャーであるスパイバー?の近況を聞きました。新材料を工業化していく過程で必要となる量産化発酵技術の苦労や資金調達の課題などが主たるものでしたが、業種は異なってもベンチャー企業が成長していくために乗り越えるべき問題は共通であり、これらについて意見交換を行いました。
- 2014.7.4
日本開発工学会第14回ビジネス・イノベーション研究会に参加。
― 最初に、名古屋商科大学大学院教授北原康富氏による「思考のフレームとイノベーション」の発表がありました。人の記憶の構造や思考の過程は、当該人の共通の言語環境や住環境によって形成される「フレーム」によるもので、フレームは外の世界を認識・認知する能力に極めて重要な役割を担っているけれども、逆にフレームが共通構造である場合には、非連続的な独創性を生み出すことを阻害する。と同時に問題の所在を見つけ出しそのための価値ある解決策を生み出すことにもマイナスに働く、という内容だと理解しました。何故米国シリコンヴァレーのような多文化・多国籍社会でイノヴェーションが生じやすいかを説明できると思います。次に産業能率大学経営学部教授倉田洋氏から「会計制度に代表される米国式制度が日本企業のイノベーション経営へ与える阻害要因について」の発表がありました。英米法的な会社法が施行され、株主主権が従業員主権を阻害し、コーポレートガバナンスが強調され、会計基準も時価会計や減損会計が主流となり、却って経営者がリスクをとれなくなっていることを自身の会社経営での経験から説明をしていました。氏が強調するIFRS導入による問題点には賛同しますが、それ以外の点については、新会社法や新会計基準の導入によって我が国国内でしか通用しない馴れ合い的な上場企業経営に緊張感が齎され、グローバルな土俵で事業展開が可能になったと思いますので、同氏の主張には首を傾げながら聞いていました。また、米国経営のもとで米国上場企業の方が革新的経営を行っていると言え、更に、会計基準はヨーロッパの影響もかなり強く受けている訳で、この点の認識にも疑問を感じました。社会科学における客観性、一般性、普遍性、法則性を、どのように定量的に類似事例を集めながら証明するかという問題でもあり、難しい課題だと思います。
- 2014.7.2
設計探査ソリューションセミナー─自己学習型アルゴリズムSHERPAが拓く新しい最適設計プロセス─に参加。
― 米国CD-adapcoの日本法人?CD-adapcoの主催するセミナーで、同社の製品に搭載されている米国Red Cedar Technology社のソフトであるSHERPAについて、RCTの共同設立者でありミシガン州立大学の教授であるRon Averill氏の講演をメインに聞きました。SHERPAは、局所探査と大域探査のアルゴリズムを使い分けることにより、より少ない計算時間でより良い設計解を見つけ出す自己学習型でハイブリッドな探査アルゴリズムであり、ユーザーが設定するパラメータは「計算回数」のみで、アルゴリズムの選択やパラメータのチューニングなどの最適化の専門知識は必要としないとのことです。解析ソフトや最適化ソフトは数多く存在し、また各種のCADソフト等もありますが、SHERPAはこれらとのインターフェースを有しており、ユーザが使う各種これらソフトに係る膨大なデータを利用しながら、ある設計における求める最適解を短時間で簡単に見出せるという説明でした。今まで多くの企業の各種解析ソフト、計算ソフトのプレゼンを聞いていましたが、本製品はこれらを超越して総合的に利用できるというもののようで、これが本当であれば、製造現場にまたパラダイムの大変化をもたらすであろうと思われます。会場には、珍しく、設計技術者と思しき若手が多く参加し、しかも熱心に同教授に質問をしていました。教授自体の説明も明晰で自身でスケプティカルに受け取られて当然とも発言していました。一種の高揚感を持って会場を後にしましたが、これが中国、韓国、台湾にも普及していくとしたら、我が国の製造業の競争力の淵源は、コンセプト作りと、新材料の開発・非モジュール部品の製造と提供に限られていく訳で、特に前者の我が国における非連続的で革新的なコンセプトの製品提案能力については懐疑的であるために、厳しい我が国の姿を予想してしまいました。
- 2014.6.17
本庄早稲田オープンイノベーションネットワーク発足会に参加。
― 公益財団法人本庄早稲田国際リサーチパークが事務局を務める新研究会の発足会に出席しました。当財団が事務局を務める従来の研究会は次世代モビリティ・エリアマネジメント研究会、本庄スマートエネルギータウンプロジェクト等がありましたが、今回、テーマやプロジェクトで縦割りに運営していた従来の方式を改め、オープンイノベーションネットワークという傘のもとに、異業種の企業や団体、組織が集まり、壁を超えて自由に交流できる仕組みに改組して新たに出発しようとするものです。大企業も中堅・中小企業も自己の枠の中での変革が可能な時代は終わったと思いますが、特に新規の研究開発や事業チャンス等オープンイノベーションのプラットフォームとして役割を果たして欲しいと考えます。大きな柱としては、「次世代地域・モビリティ研究部会」、「環境エリアマネジメント研究部会」、「食と農研究部会」として活動を行いますが、会員は自由にどの部会にも適宜参加できるようにしています。特に食と農の分野では早稲田の堀口名誉教授以下数十名の農学関係教官が参加して、特徴があり競争力も有る農業を、エネルギーや環境問題との関わりを含め考えようというものです。発足会には90社、約140名が参加する盛況でした。引き続き多数の企業が会員としての参加をして貰いたいと願っています。
- 2014.6.16
第94回世界経済セミナー「Xイベントからレジリエンスへ:レジリエントなビジネスモデルの構築」に参加。
― 富士通総研のオープンセミナーで、今回は、事業遂行のうえで不可避となっているXイベント(想定外の事象)に対するレジリエンス(強靭な復元力)を有する事業モデルや組織の在り方、人材育成等について、国際応用システム分析研究所(IIASA、在ウィーン)の上席研究員であるリーナ・イルモラ氏の講演がありました。想定外の事象に対する認識力を高め、事象が生じた際には迅速に元の軌道に事業を復元する能力を高め、新しい状況を早く学習して対応して行く能力を、いかに経営トップと組織が持ちうるかを国際的な比較研究を行おうとの提案でした。リニアなロードマップを想定するような発想ではなく、突発的事態が生じた際に予め強みと思われる要素がワークするのかどうか、特定のリソース(経営者、組織、技術、調達先、インフラ等)に依存せずに事業を継続できるかどうか、顧客と共同で事業運営することで復元力が高まる可能性はないか等、伝統的な経営論に比して、分権的・ネットワーク活用型・非大量生産的事業の運営が求められるとの主張でした。ただ、事態に備えて組織を一層モジュラー的に構築し、専門家よりもジェネラリストの対応能力を求めていく主張は、我が国の一企業内での正規労働指向の強い国民性と相矛盾する点が強くなり、垂直統合的でスティッキーな組織から抜けられない日本人に果たしてレジリエントな行動ができるのか最後は疑問に感じました。
- 2014.6.13
第7回大田区加工技術展示商談会に参加。
― 同展示会でのマツダ?山川氏による「SKYACTIVエンジンと今後のエンジン進化の展望」と題する講演を聞きました。今後ともガソリンエンジンが相当のシェアを有するという前提で如何に燃焼効率を上げるか、多くの要素が相矛盾する開発を、常識に反し敢えて同業他者が実施していないところを進めてきたかの苦労話でした。特に圧縮比を高めるためにエンジンピストンの形状を変え、排気管を長くするなど逆発想のチャレンジを行ったことを強調していました。実エネルギー効率としては電気自動車の方が発電ロス等を考えても高いのではないかと考えていますが、ガソリン車の時代はこの先数十年も続く以上、
同社がこれから進めようとする第二段階の比熱比を高める開発の成功を祈りたいと思います。また、展示会では、このたびオープン・イノヴェーションの一環として米国子会社のナインシグマ・ジャパンの公募技術を念頭に置くこととしたため、特に意識して表面処理の会社の展示を見ました。やはり、加工・成型の会社が多く、特に、異材料を使って表面をコーティングする技術というのはやはり難しそうで残念ながら見当たりませんでした。
- 2014.6.11
NPO法人アジア起業家村ビジネスプラン発表会に参加。
2014.6.11
NPO法人アジア起業家村ビジネスプラン発表会に参加。
― 川崎市が応援する同NPOが支援している企業のビジネスプランの発表会でした。最初にCoolProps?の鈴木氏から、ハリウッド映画のキャラクターや主人公のマスク(実物プロップ)等のライセンスを得て、我が国で原型を製作し、中国で量産、国内・アジア諸国で販売する活動について紹介がありました。同ビジネスを手広く行っている米国のSideshow Collectibles社との提携によってアジア各国と広く事業を展開しているとのことで、米国らしいビジネスモデルの上に、我が国の造形技術が乗って拡大すれば面白いと思います。二番目はホンダに就職したことに因んで命名したとの川崎技研?の韓氏から光トランシーバやプラスティックファイバー等日本の部品、中国で調達できる部品を組み合わせたスマートメータを中国の電力会社と共同で実証実験(10万台を設置)し最終的に電力会社から調達を得ようとする同社の事業の話がありました。中国では年間5500万台の設置が行われていくとのことで、信頼性が高く価格は安い製品を納入させようとする試みです。最後に、イノベーションアンドトレードパートナーズ?の弼氏から、性能には問題が無いものの旧式のためにNC制御できない工作機械のNC改造、中国向けの旧タイプの半導体製造機器の輸出、これらのメンテサービス、中国進出日系製造業向け補修部品等の供給等を行っている同社の紹介がありました。当方と中国との技術落差をうまく活用し、使える技術、使える製品を扱う同社の面白さを感じました。中国人の社長2人は日本語でのビジネスは当然のこととして活動している訳ですが、彼らの若手が彼我の橋渡しになることを祈ります。
- 2014.6.10
第158回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 発表のあった3件とも面白い内容のものでした。今回のような一定の水準のものが継続して発表されて欲しいと思います。さて、最初は、?クリエイターズ・ヘッドの宮野氏から同社のオリジナルの場所認証技術JAMES (Job Automation Encapsulating Security) エンジンに関する特許に基づいた情報漏えい対策ソリューション製品であるカプセルウェアの説明がありました。CADや3次元プリンターの利用が一般になり、また海外の拠点との情報の遣り取りが普通になってきた現状で、トレードシークレットを中心とした重要な情報の漏えい対策を、簡単導入で運用コストもほとんど掛からずに実現しようとするものです。従来は公開鍵や秘密鍵の共有等手続き的に決して簡単なものではありませんが、作業関係者のネットワークを予め指定して置くことで、利用を簡単にしようと言うものではないかと想像しますが、詳細は一度直接話を聞いてみたいと思います。二番目に?フォー・リンク・システムズの木下氏から、ガンダムを基本コンセプトにした小型EVの開発と今後の普及方法についての紹介がありました。既にモーターショーにも出展しており、今後はこれを新潟の部品メーカー等を結集して量産的に組み立て、国内外のパートナー企業と同車他のキャラクターグッズを販売するMachina Caféを地域フランチャイズ展開しようとするものです。地域の観光等を主体とした街起こしと組み合わせることで海外からの観光客にもアピールできる面白い内容でした。本庄早稲田における国際リサーチパークの活動とも接点が作れないものかと考えました。最後に?イノセンスの鎌本氏から 表面プラズモン共鳴の技術を使って食材中の違法薬物や食中毒菌(大腸菌他)を現場でリアルタイムに検査できる携帯機器の説明がありました。定期的で第三者専門機関による検査を求める食品衛生法上のチェックとは別に、現場で簡単に行えるようにしようというものであり、海外での展開にも可能性があると思います。今後の展開としてはスマートフォン等を使って同社のサーバーに繋げ、集中的にリアルタイム検査・解析のできる仕組みを作り上げる課題があるとのことです。
- 2014.6.6
東大駒場リサーチキャンパスオープンハウスに参加。
― 昨年に引き続き、生産技研マイクロナノメカトロニクス国際研究センター金教授と共同研究を進めている?アプライド・マイクロシステムの展示コーナーで加藤社長から最近の動きを聞きました。バイオ分野での応用が少しずつ進んでいるとのことでした。また、パワーデバイスにおける応用の可能性について意見交換をしました。その後、鹿園教授による「固体酸化物形燃料電池の大出力化・高信頼性化に向けた電極構造解析」の講演を聞きました。 1000度近い運転が可能でエネルギー効率の高い固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell: SOFC)の性能の向上とそれによる単価の引下げのために、電極微細構造が発電性能に与える影響に関し収束イオンビーム走査型電子顕微鏡(FIB-SEM)を用いた直接計測等の紹介をしていました。電極での反応はごく狭いエリアで行われ、また酸素イオンを極短時間に直行移動させるためにも、電極の微細構造の設計とそのための材料選択、電極形成が重要であることを強調していました。
- 2014.6.4
電気通信大学大学院オープンラボ産官学連携DAYに参加。
― 毎年参加する同大のオープンキャンパスの催しでした。昨年までと異なり、プログラムがスッキリした代わりに、熱気が少し減少してしまった印象を受けました。高校生と思しき若い世代の見学者は多かったものの、産側の社会人の姿は少なく、何か変化が起きているのか、興味深いところです。起業志向の学生さんも引き続き結構いるようですが、どのようにビジネスに仕組んでいくか、支援メニューは充実している中でも課題はやはり感じます。
- 2014.6.3
韓国IT EXPO 2014に参加。
― 韓国KOTRA主催のセミナーと展示会に今年も参加しました。講演では、ROA Holdings 代表取締役 Steve Lee氏による「LINE、Facebookに挑む、韓国OTTプレーヤー戦略とプラットフォーム戦争」とマルチメディア振興センター主席研究員三澤かおり氏による「5Gまで見据え、モバイルで世界最先端を目指す韓国の戦略とICT融合」を聞きました。活気を感じる韓国IT業界の話でしたが、国内市場が小さい中で如何に早くグローバル市場で存在感を示すかと言う基本的な考えは明確で変わっていないものの、どう海外で仲間を作っていくか、誰と組むのかという点では課題を感じました。他方、我が国は引き続き国内のマーケット重視から抜け出せていないので、当方がプラットフォーム戦略で共通の立場に立つことは困難であろうとも思います。韓国企業の個別の展示については、我が国の同業の企業と同じように、米国での新動向をフォローして事業化を図っているもののどこで差別化し違いを提示して行くのか基本的な難しさを感じました。
- 2014.5.27
JST京都大学新技術説明会に参加。
― 高橋亮氏から「電力パケット伝送システム用ルーターとパケット生成アルゴリズム」とのタイトルで、複数の電源からの電圧、ノイズ等の異なる特性を持つ直流電力に、パケット交換方式で電圧波形に情報を付加し、ルーターが付加情報に基づいて指定した電源からの電力を指定した負荷へ伝送することができるようにする説明がありました。残念ながらまだ12Vと14 Vの2パタンの実験室レベルの実証ですが、この技術により、ソーラーパネル等からの電力を動力源に、従来の電力会社からの電力を光源にと、選択が可能になるとのことです。かって電力行政に係わった際に、全く停電のない品質の良い電力を高く、時に停電するような質の高くない電力を安く供給できないものかと悩んだことがありますが、この技術にヒントがあると思います。他には、河合潤氏から、「各種ポータブル型X線分析装置」とのタイトルで、圧電素子としての特性を持つタンタル酸リチウムを利用した、低電圧の入力でメンテも簡単でコンパクトで携帯可能なX線分析機器の説明がありました。途上国への技術援助で導入され故障したまま放置されている装置に代わる可能性のあるものです。
- 2014.5.23
XVL3次元ものづくり支援セミナー2014に参加。
― ラティス・テクノロジー?が主催するセミナーで今年の副題は「3D設計の恩恵をグローバルで享受する−具現化し始めたXVLパイプラインの全貌−」でした。最初に同社の鳥谷社長の基調講演があり、製造業の3Dデータ活用は当たり前になってきていいる中で、協賛企業が開発する諸新サービスのプラットフォームとなっているXVLの役割に触れるとともに、グローバル化で多様な地域での生産拠点とのコミュニケーション手段としての役割、建築分野の3D(Building Information Models)との統合への動きを強調していました。ヤンマー?からはXVLを利用して3Dデータをパーツカタログ作成に結び付ける事例、新潟原動機?からは現地現場の建物空間等の3次元計測データをXVLに融合させ大型プラント等を現場に設置する前のシミュレーション等に活用する事例、?日立ソリューションズ、?図研及びトヨタ自動車?からは、XVLを使った社内の暗黙知の見える化、散在し体系化されていないノウハウ等非正規データのベース化と共有の仕組み、 各部門間での業務処理の調整とリコールに繋がる落し穴の確認等のためのコミュニケーションツールの利用などの事例の紹介がありました。設計部門と生産部門等のバイのコミュニケーションツールとしての役割から部門間、さらに海外の拠点との調整に利用が広がり、更に埋没している暗黙知を活用させ人材育成にも繋げるツールとしての利用など役割の広がりを感じさせるセミナーでした。今回の最大の学習は、トヨタ自動車が車体系の3D CADではフランスのCATIAを使い駆動系では米国のPro/ENGINEER (現在のPTC Creo Parametric)を使っているが、両者に互換性が無いためこれらをXVLで融合しフルの車両3Dモックアップ等を創っているとの説明でした。ここにXVLに本質的な強みと存在感があることを改めて感じました。
- 2014.5.21
第8回GPIC研究会に参加。
― 今回は、日立製作所日立研究所有機材料研究部の宝藏寺氏から「パワーデバイスの高温化対応技術」とのタイトルで、ハイブリッド自動車の登場等において、小型化、高パワー密度化に伴ってパワーデバイスから発生する高熱に耐えられるSiC デバイス実装技術の実用化に向けた要素技術の一つとして、高温での利用に限界のある鉛フリーはんだに代わる材料としてナノ粒子酸化銀やナノ粒子酸化銅の利用を進めている状況について講演がありました。新材料の利用の目途が付きつつある中で工業的に接合プロセスを行う装置の開発を新たに進めるに当たり、本パワーデバイスが搭載されるべきハイブリッド自動車や鉄道車両の市場規模の見通しと、市場規模を見通すための技術が実用化した場合の製品提供価格との関係について鶏・卵の議論がありました。先端技術の開発と実用化に関して常に生じる問題ですが、技術を経営に生かし事業を成功させるとの本研究会の狙いから、市場規模と製品価格との関係について更に真剣な議論を行う必要があるところです。
- 2014.5.13
JST電気通信大学新技術説明会に参加。
― 電気通信大学らしく基礎研究段階から最終の応用形態を想定した実践的な技術説明会でした。最初は、牧昌次郎助教から「ホタル生物発光を利用した長波長発光標識材料の創製と実用化」として、癌や再生医療の先端技術研究でニーズが高いインビボ・イメージング用675nm発光の長波長材料を、発光基質を人工材料にして実現した説明がありました。次に、椿美智子教授から「階層的タイプ別サービス効果分析システムの特徴について」として、購買行動、特性等の違いによって顧客をタイプ分けし更に年齢層、性別、住地域等の属性に区分して個人レベルでサービス効果の差異を分析できるモデルを紹介していました。サービス経済化の一層の進展を考えると非常に意欲的で意味ある研究ですが、紹介事例が某高校における学生対象のアンケート調査の分析であったために、本モデルの一般性・汎用性が理解できませんでした。工藤俊亮准教授からは「画像処理による帯形状(路上の白線など)の検出技術」として、つくば市で行われる自動走行ロボット・コンテストに参加する中で、ロボットが取得する画像データから二重円型オペレータによる特徴抽出を行い従来法に比べ少ない計算量でロバストに帯形状の白線を検出するソフトを開発したとの説明がありました。画像のディジタル信号を解析し論理的に一定の帯形状を特定する面白い技術ですが、自動車の自動走行への応用にはまだ相当の時間を要するように思われました。?玉圭樹教授からは「日々の体調変化に対応したパーソナル睡眠段階推定システム」として、従来手法で取得する各人の過去の心拍と体動に関する長・中・短周波のデータから効率的に目的とする中周波データを抽出できるプログラムの紹介がされました。?山一男教授からは「意図しない通信路を用いた情報通信の応用 〜サイドチャネル情報を用いた認証と認証距離の制限〜」として、RFIDタグ、スマートカード等の利用情報が外部から操作されることを防止するため、認証装置が認証時に発生させるサイドチャネル情報(消費電力、電磁波等のアナログ情報)が瞬間的には長距離を移動できない特性を使って、認証装置とRFIDタグ等との物理的距離を制限しようとする技術の紹介がありました。藤井威生准教授から「大規模リアルタイム無線センサネットワーク」として、大量複数のセンサー情報のパケット化処理に伴って生じる遅延やエラーを防止するため、特定温度に特定の周波数を割り当て、特定のセンサー位置に時間情報を割り当てる等によってパケット化を経ずに大規模かつリアルタイムでセンサー情報を集約する技術の紹介がありました。プログラム化によって機械装置の限界を打ち破ろうとする面白い内容の発表が続きました
- 2014.4.22
第7期知的財産研究所(IIP)知財塾成果報告会に参加。
― 時代の変遷とともに知的財産権の役割も変わっていきますが、時代を先取りして知的財産権法の領域の発展を担える人材を育成しようとするIIPの研修終了に当たっての成果報告会でした。今回の第一グループは、コンピューター・プログラムについて我が国では著作権か特許法か何れを保護法とするかの大論争を経て現在では切り口を違えて両法が保護を行うこととなっている構造のもと、公開されていなかった著作物と別人が取得した特許権との調整の在り方等を議論していました。専門家の諸意見は多々ありますが、技術革新が激しく特許権ですら成立するかしないかの間にアウト・オブ・デートとなっていくこの分野で、自動的に成立しながらも公開の努力もしない著作物を保護するのはフェアではなく、米国の先発明主義に通じる問題点があると感じました。第二グループは、世界のユーザから勝ち得た信頼の基礎にある中堅企業等の知財権と職務従業員技能と言うべきスキルの蓄積を整理したものであ。第三グループは、我が国産業競争力の復活のための特許の質向上とは何かを論じていましたが、特許だけで産業の競争力が決まる時代は終わり、技術の公開で多数派を作り同時にクローズドの強固なコアを維持し続ける能力、標準作成力、これらを実現する組織と人材等々のプラットフォーム戦略の要因を考察しなければならず、考察が単純過ぎると思われました。第四グループはアジアにおける特許の共同フレームワークの諸類型についての考察でした。統一制度の模索は数十年も続いていますが、いまだ道遠しの感でした。IIPの自主事業としての継続を願うとともに、自主事業であるが故に議論の対象は工業所有権の枠に納まる必要もないと感じた次第でした。
- 2014.4.8
第156回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 今回は盛り沢山であり参加者も多くなって、活気が戻ってきたと主催者は話をしていました。最初の発表は?アポロジャパンで、特定の情報に対応する微細ドットを印刷しこれを専用のペンで読み込み、組み込んだソフトに反応させて音声を出させるというのが基本の技術で、前回のグリッドマーク?のドットコード「GridOnput」と同じ範疇のものです。更にスマートフォーンで読み込んで遠隔サーバー等から画像、音声等を配信する技術に発展させていました。2番目は、スペースリンク?阿部氏からCNT(Carbon Nano Tube)を電極材とした大容量キャパシターの概要について説明がありました。瞬間充放電に特性のあるキャパシターで、リチウム電池等と組み合わせての利用が不可欠だと思います。同氏からもそのような回答がありましたが、現在同社が入居している慶応藤沢のインキュベータにはそのような支援をしてくれる者は居ないとのことでした。ただ、耐久性、容量、価格について詳しい説明がなかったことも残念でした。3番目に?ハッピーリスの吉田さんから「電気を使わずに周波数、音圧、音場を調整できる集音プローブ」の紹介と、嚥下音と非嚥下音を識別して高齢者介助の負担を減少させる“ごっくんチェッカー”、異音を選択識別する工業・輸送用監視システム、端末にスマートフォーンを使った監視警告通報システム等の説明がありました。プローブ自体の詳細な説明はありませんでしたが、非常にユニークで応用範囲も広く、可能性のある技術であると感じました。最後に?ジェイ・エム・シーの上杉氏から3Dプリンター出力サービス、鋳造品製造、医療モデル受託製作の業務内容紹介と3Dプリンター出力サービスに関する事業提携の希望が寄せられました。本年に入ってから同発表会でのプレゼンの内容が充実してきており、今後にも期待したいと考えます。
- 2014.3.19
日本開発工学会第13回ビジネスイノベーション研究会に参加。
― 久しぶりの研究会で、最初は、俯瞰工学研究所主任研究員/洗足学園音楽大学教授の原岡氏から「ビジネスイノベーションにおけるランキングの役割に関する考察」と言うタイトルで発表がありました。ランキングで示された結果に基づく行動が日常当たり前になっている状況を踏まえて改めてビジネスにおけるランキングの役割を考え直そうという内容でした。ランキングの結果を自身のビジネスに密接に繋げるように設計するので一定の価値観に基づく評価結果にはなることは当然ですが、同時に客観性と主観性はバランスが取れるのか、情報操作に陥らず扇動的でも無くかつ顧客を自社ビジネスに誘導してくるランキング作りの可能性はあるのか、そんなことを考えました。次に、?NTTデータビジネスシステムの立岩氏から「新規事業におけるPaaS・インソース開発方式の特徴と効果の考察−スマートデバイス向け放送事業の事例から−」として、新規のスマートデバイス向け放送事業を立ち上げた過程におけるリソースと時間の制約の下でPaaS(Platform as Service) を活用したアジャイル・インソーシング型開発を行った経験の発表がありました。アジャイル開発は10人以下のグループで行う際に有効とのことでしたが、ベンチャー企業の創業時の際は創業者以下本当に少数でアジャイル的に対応せざるを得ないのが現実で、10人近くなると管理機能・時間・エネルギーがウェイトを占めるようになり、従来型のウオーターフォール型ないし混合型に移行せざるを得ないのではないかとの問題指摘をしました。
- 2014.3.19
「間接費削減による利益経営の実現と経営改革」セミナ―に参加。
― 東洋経済主催で、ビジネス価値の最適化、最大化を持続的に進めるためには、単に経営戦略、事業戦略を遂行するだけではなく、効率性、生産性を継続的に高めていくことが不可欠であり、これを間接費の削減からも推進・実行していこうという趣旨のセミナーでした。VISAのコーポレートカードやコンカー社の業務管理ソフトの利用による経費削減は、根底に従業員の不正防止やデータの一元管理という発想があり、利便性の向上も図ると同時にコンプライアンスやガバナンスの向上から枠を嵌めていくもので、米国型の指向だと思うと同時に、グローバル化する日本企業に取っては良い悪いを超えてこれらを導入せざるを得ないものと感じました。同時に、本社の管理部門の柔軟な発想と機敏な判断無しにただ導入するだけでは競争力の足許を崩壊させるだけで、果たして可能なのかとも思いました。アビームコンサルティング?の金弘氏からは、間接費をどのように削減して行くかの具体的な手順をコンサル経験に基づき説明していました。従業員に納得させながら、全社・全グループ的に優先順位を付けて調達コストをどのように下げていくかを、幹部のコミットや調達の集約、調達標準作りなどの視点で解説していました。しかし最後に残るのは幹部等の交際費の扱いで出張旅費と備品コストの削減だけでは継続は難しく、また根本は各部門ごとの細かな収支計算ができる組織作りとインセンティブ作りをどうするかだと思いました。
- 2014.3.11
第155回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 今回の発表は3社でした。最初は、サイミックス?の吉川氏から圧縮(振動)エネルギーを利用して電源を不要とした赤外線センサー等を使ったIoT( Internet of Things)の基本システムの紹介がありました。ユーザの状況に応じて多様な展開ができるところに特徴があるようでした。二番目はグリッドマーク?の吉田氏から極小の点(ドット)で構成される新しい二次元コード技術で、世界で209件の特許(日本78件、海外131件)を取得したドットコード「GridOnput」の紹介がありました。コードを印刷した紙の教材とこれにタッチして音声を出させる「音声ペン」の組合せでの利用例は多くあり、更にPCモニターにコードを印刷した透明なプラスチック板に対しペン型マウスを当てて動かすことで新式のモニター画面を指先で操作するのと同じ効果が得られる技術のデモもありました。十分に成功した多忙な発明家であるともに精力的な経営者でもありました。最後に?脳機能研究所の武者東京工業大学名誉教授から脳電位・脳波を解析して脳活動を推定し、心の状態を表したり、脳疾患診断の補助を行うシステムの紹介がありました。大学発ベンチャーの先駆けで各方面の表彰を受けメディアでも取り上げられている会社でした。今後はパートナーと組んで、4電極で脳波を計測できる簡易な製品の開発と、ALS患者向けの支援機器の開発を目指していくとのことでした。
- 2014.3.7
プロトラブズ モノづくり加速セミナー2014に参加。
― プロトラブズ合同会社主催のセミナーで、製品開発の効率化とスピードアップの重要性に応えて世界最速レベルのFirstcut 切削加工およびProtomold 射出成形をインターネットで受託する同社の事業を紹介するとともに、國井技術士設計事務所の國井氏の講演を聞くセミナーでした。同社パン社長は、米国3D Systems社での3Dプリンタ向け光硬化性樹脂材料の研究開発職などを経て?スリーディー・システムズ・ジャパンを設立し、その後同社を設立しており、欧米日の三極でCAD情報を使って受注から製作加工までを定型化し情報処理することによって少量・多品種・即納を行う明確なビジネス・モデルに特化したサービスを説明し、併せて、3Dプリンターでの試作品を同社のサービスで実材料試作を行って実証する併用例を紹介していました。國井氏からは極めて実践的にかつ若い聴衆向けに具体的な設計と開発の現場での留意点と同社のサービスの活用例を説明していました。暫く前に同社のサービスについて話を聞く機会が有りましたが、今回およそ400人近い若い実務担当者で満席となったセミナーを見て、國井氏のプレゼンと併せて、製造業の現場でのニーズの大きさに改めて驚きました。質疑では大サイズの特注品や特注材料使用金型への対応やCADそのものの使い方への指導など個別対応の希望が多く出ていましたが、我が国の製造業の現場の悩みを浮かび上がらせるともに、同社のビジネスモデルからはみ出たところにあるビジネスチャンスをどう捉えるべきか、難しい課題も感じ取れました。
- 2014.2.27
知的財産研究所招聘研究者成果報告会に参加。
― 特許制度等の調和や制度整備が中期的に必要となる産業財産権制度に関する研究成果について招聘研究者が発表する場で、今回は、ネパールのRamesh Bikram Karky 氏から“Bioinformatics Materials and Issue of Patentability”、米国のAngela Adrian 氏から“Trade Mark Dilution, Right of Publicity, Image Rights: A Comparative Analysis of Japanese, Australian, UK and US Law”と題してそれぞれ報告が有りました。前者は、1970年代後半からの米国プロパテント政策の真っただ中で米国最高裁がDNA自体に特許を認めた1980年のChakrabarty事件を契機に世界的に実定法を含めて特許性を認めてきた潮流を概括し、他方、2013年同じく米国最高裁がDNA自体を単離することは発見に過ぎないとして過去の流れと異なる判断を行ったMyriad事件を踏まえて、特許と医薬分野の研究・開発・診断の自由と競争についての問題を提起していました。ようやく正しい判断に戻ったというべきですが、自由と競争と医薬開発に関しては、誰もが参加できる環境を創り上げその中で競争を行い、補助も行う仕組みをどこの政府が打ち立てられるかで決まっていくであろうとするKarky氏の判断に同感しました。Adrian氏からは英国領Guernseyの肖像・個性・キャラクター等保護条例と主要各国の運用との比較を、LadyGagaの例を取り上げて紹介していました。本人の同意のない当該者の肖像・個性やキャラクターの無断利用をどう規制して行くのか、特定の法制度が必要か、不法行為等で対応していくのかは、利用された本人側が相当の時間と資金を使って総てを立証しないといけないことをどう考えるかがポイントだと思われます。有名税として片づけて良いのか、難しい問題でした。
- 2014.2.20
先端IT技術が拓く新ビジネス創出セミナー2014に参加。
― 港区が電気通信大学のTLOであるキャンパスクリエイトと共同して開催したビジネスマッチングの場でした。新旧のベンチャー企業の技術・製品紹介と産総研・情通研の研究紹介、最近話題の三次元プリンター等の活用事例の紹介など、盛り沢山の内容でした。最初のグループでは?ヴェルトの野々上氏が同社の輸入販売するスマートウオッチを最先端技術を使いながらも使い方を極力単純化・限定化した製品であると紹介し、アプリをふんだんに盛り込んだ結果使い勝手が悪くなる他社製品と対比させている点、ビジネスモデルや製品作りをクールに見ているところに他のベンチャー企業にない優位性を感じました。珍しい例です。産総研や情通研の紹介では、ウェブ上の音楽コンテンツの関係性の可視化、あるいはテレビ放送帯のホワイトスペースを活用できる携帯端末の開発など、確かに最先端であるもののビジネスマッチングのテーマとして相応しいものかどうか疑問を感じました。またIT利用マーケティング手法の商品紹介では、既存の広告手段等に置き換わることは確かですが、既存手段の代替による効率性の向上が経済社会全体の質の向上や量の拡大にどう繋がるのか、イーコマースに関連して常に感じる疑問をやはりぬぐえませんでした。
- 2014.2.19
第7回GPIC研究会に参加。
― 「パワー半導体のアプリ適用に向けた挑戦と今後の課題」と称して富士電機?の上柳氏から、氏が開発してきたパワー半導体の種類、個々の半導体の想定される市場、応用分野ごとに解決されるべき技術課題、特にスマートグリッド(分散電源と分散統合電力系統)、自動車の自動運転やITS、非接触給電などの今後市場が成長していくと期待されている分野での技術課題などについて講演がありました。その後、本研究会のミッションでもある事業としての成功の道筋をどうつけるべきかとの討論に移りました。東大の阿部氏からは、パワー半導体の多様な利用例が実際に提案されパワー半導体を組み込んだ装置が数多く試作されようとしているにも拘らず、簡易でモジュール的に扱えるパワー半導体の供給が行われていないためにパワー半導体ビジネスが離陸しないのではないかとの問題提起がありました。今回は討論がメインでしたので、小生からも、上柳氏のプレゼンは、スマートグリッドから家電まで、パワー半導体が大空間から微小空間のネットワークの一要素として利用されていることを示唆しているので、ネットワーク空間の大きさごとに利用事例を固め、その事例ごとに、進んでいる部品・要素、遅れている部品・要素、ネットワークの観点からのソフト・システム化の統合力の強さなどを、ケース・スタディしていけば、事業化に必須の機能・役割が明らかになるのではないかと問題提起をしました。念頭にある利用事例はスマートグリッドで、遅れている要素・部品としては、蓄電池、多数のソーラ等の発電装置や多数の蓄電池と無数の消費主体をバランスと取って制御し統合する技術であり、これらをネットワークとして繋ぎあげていく統合者の不在です。多分、ビジネスとして成立し輸出もできるようにするためには強力なインテグレーターが必要で、現在のところ国内では見当たらないため(従来の発電システムでのインテグレーターは既存の電力会社でした。)、このような視点が必要ではないかと問題提起しました。
- 2014.2.17
第9回つくばビジネスマッチング会つくば発最先端材料に参加。
― 毎年開催されている?つくば研究支援センターと三井物産?の共催によるビジネスマッチングの会に参加しました。本年は主に産総研発の材料開発の紹介でした。幾つかの技術紹介の中で、レーザ利用加熱方式による多品種少量で、ドープ量を調整でき、難育成の結晶生成の容易化が図れ、製造条件が再現できる単結晶製造法に興味を持ちました。完成品自体の単結晶物はごく小さなものですが、希少で少量の用途の複雑な化合物の結晶体を安定的に供給できる道が拓けるのではないかと思います。先端を狙う国立研における産官学の連携は、ベンチャーのような形での技術移転ではなく、企業との共同研究・共同開発がふさわしいのではないかと思いますが、同時に、中堅・中小企業が国立研に対し、費用負担が軽減されながらアクセスできる道を拓いておく必要があるものと考えます。産官での技術移転がこのようなマッチングの場で良いのか考えさせられました。
- 2014.2.5
スユヤe-パブリシング研究会オープンフォーラム2014に参加。
― 伊藤さん主宰の研究会の年1回のオープンフォーラムに、昨年に続き、参加しました。通算で119回目で、伊藤さんの従来の関心事項であるe-パブリシングとコンテンツ・マーケティングの両面からの講演でした。最初は、BtBのウェブを専ら対象にウェブ構築のコンサルをしているOffice Kitagawaの北側 仁氏からBtCとBtBのウェブの考え方の混同事例を説明しながらBtBサイトを構築する基本的原理について説明がありました。BtBビジネスのトップ・セールスマンに買い手企業を訪問した際のセールス・トークを1時間か語って貰い、そこから検索に使われるキーワードを抽出し、コンテンツとなるテキストのストーリを創り上げるのが基本だそうです。BtBのサイトでは特別に写真や図表、凝ったデザインに時間と金を掛けるよりも、的確なキーワードを押さえた起承転結の有るストーリを構築することが重要とのことでした。二人目は?ディジタルコミュニケーションズの福重社長から、XMLによるデータ(情報・知識)をデータベースとして格納するのはDITA(Darwin Information Typing Architecture)、それを表示するのはHTML5で一定の到達点に達しており、今後はこれらを応用した電子出版、印刷、組織内データベース、ナレッジ共有協業システム等の展開が進められること、これを可能にするアプリケーションとして同社はWord2Xml2Wordに循環させるソリューションの高度化を狙っていくことを説明していました。今回は講演の中で、前職の印刷会社で1980年代末に先駆的に取り組んだ文字組版、製版、作図、印刷を全システム化した事例の紹介がありました。漸く25年経って、印刷業界のディジタル化、出版の電子書籍化など時代が追い付いてきた訳で、XML一筋の理由と同社創設の事情が分かりました。組織内データベースやナレッジ共有協業システムの確立は、組織の生産性を向上させていくためにも、また流動化する労働者が高度のスキルを短期間に発揮するためにも今後必須のもので、米国ではこのようなシステムが多く見られますが、我が国でも、日頃Wordで作成する諸文書をXmlに置き換えて格納して検索可能にし、閲覧や印刷再利用の際にはWordに戻すWord2Xml2Word循環ソリューションが独自に開発されることを大いに期待したいと思います。
- 2014.1.30
Printable Electronics 2014に参加。
― 旧知のアプライド・マイクロシステム社が日本電子精機のブースに出展しており、社の加藤社長と久しぶりに会いました。同社の微小液滴塗布システム「ニードル式ディスペンサー」も少しずつ販売が増えているとのことで安心しました。時間を掛けてでも稀少物質を極めて少量ずつ塗布して高付加価値を生み出すニーズがまだ隠れているのではないか、と期待します。合わせて日本電子精機のブースに出展していた積水化学の常圧プラズマ装置にも関心を持ちました。パルス出力でのプラズマ化活性ガスをガラス・有機材の基材に作用させ有機物汚染を除去するともに特定物質との接着性を高めるものです。常圧で処理できるために装置も簡単でコストも比較的安くなるメリットがありますが、液晶・有機EL等の応用分野は国内では頭打ちであり、高精度のフィルム印刷や電子回路印刷などの需要がまだ顕在化していないために苦戦をしているようでした。ただ両者の技術も日本電子精機の今後の事業展開には重要な役割を果たしそうで、同じブースで出展している意味が何となく理解できました。
- 2014.1.28
富士通総研第93回世界経済セミナーに参加。
― 今回は中国国家発展・改革委員会エネルギー研究所研究員・エネルギー効率センター副センター長の白 泉氏による「中国エネルギー発展状況、政策と展望」との講演を聞きました。現在、習主席政権下で取り組んでいる「エコ文明の建設」、資源環境問題を重視する経済発展の方針などを、2013年11月の三中全会決定の関係部分を含め、具体的な中国のエネルギー事情や環境問題を数字で説明しながら、解説していました。4分の3を石炭に依存していることから生じる環境問題も極めて深刻ですが、毎年欧米先進国の中程度の国家規模のエネルギー需要が増加し、一人当たりエネルギー消費量も世界平均を上回ってしまって、世界最大のエネルギー需要国になった中国にとって、省エネルギーに本気で取り組みながらエネルギー資源を長期かつ安定的に確保せざる中国の事情が良く理解できました。生産・輸出入において世界の分業体制に完全に組み込まれエネルギー調達においても世界市場に組み込まれている中国の近未来は、冷静に考えると、グローバル市場という金魚鉢の中でどうその他の数多い金魚達と共存していくべきか、極めて慎重に対処すべき課題の解決にかかっており、同じ金魚鉢の我が国にとっても課題解決を共通に語れることが可能であろうと信じる講演でした。同氏の来日のように実務レベルでドンドン双方に交流することで共通の基盤ができていくことを願う次第です。
- 2014.1.24
JST炭素材料新技術説明会に参加。
― 今回は3件の発表に参加しました。最初は、名古屋工業大学若手研究イノベータ養成センター・テニュアトラックのカリタ・ゴラップ助教から、「固体炭素源を用いた単結晶グラフェンの製造方法とタッチパネルへの応用」とのタイトルで、化学気相合成(CVD)法により、固体炭素源とキャリアガスの種類、供給量を制御すること等で層数制御した良質のグラフェン膜を合成する方法について説明がありました。信州大学エキゾチックナノカーボンの創成と応用プロジェクト拠点の金子克美特別特任教授から、「オートクレーブなしのナノ細孔超高圧効果による大量物質合成」とのタイトルで、活性炭あるいはナノチューブなどのナノ細孔空間が分子に対してもつ数万気圧圧縮効果を利用して大気圧以下で高圧反応必要物質を創製し、さらにナノ細孔に反応物を導入して創成した結晶核を利用して大量に物質を得る方法について説明がありました。最後に日本大学理工学部上田政専任講師から、「自己穿孔リベットによるCFRP同士またはCFRPと金属との低コストかつ瞬間的な機械的接合法」とのタイトルで、今後自動車の軽量化のために炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の利用を進めていくことに対応して、簡易かつ短時間でCFRP同士やCFRPと金属を接合するリベット利用接合方法について説明がありました。最初のカリタ・ゴラップ助教はインド出身で、日本語で苦労して説明をしていましたが、今後我が国の大学でも外国からの研究者の活動が当たり前になるので説明言語を日本語に限る必要も無く、運営の変更が必要であると思いました。内容的にはいずれも面白かったですが、特に第三番目の接合方法については、本庄早稲田国際リサーチパークにおける次世代モビリティ・エリアマネジメント研究会の自動車部品会社のメンバ―との接点が有りうるかどうか事務局に調べて貰うこととしました。
- 2014.1.23
最新仮想デスクトップ技術Microsoft VDI解説セミナーに参加
― 伊藤忠テクノソリューション主催の『最新仮想デスクトップ技術解説 〜 Microsoft VDI(Virtual Desktop Infrastructure)を検討してみませんか〜』と題したセミナーに参加しました。BCP対策やワークスタイル改革などの点からVDIの導入を検討する企業が増えているとのことですが、更に一歩進んでクラウド方式が主流となり、端末も多様化している現状で、どのように従業員等の保有するPC等を管理して行くべきかに関心を持って参加しました。最初は日本マイクロソフト小川勝章氏からWindows Server 2012 R2の最先端製品の説明がありましたがその中で、同社の一つ前のリモートデスクトップサービスとVDIとをハイブリッドで使う方がコスト的にもメリットがあること、従業員の持つ端末はアップル社のものでも良いことなど、従来のMicrosoftに比べると柔軟な説明をしていることに意外感がありました。ヒューレット・パッカードの小川大地氏からはコストと性能を両立するHPのハードウェア設計術について話がありましたが、ここでも顧客の多様なニーズや利用態様に即してインテル製品内臓のサーバーだけでなくAMD製品内臓のサーバー利用によって相当経費削減が図れる実践的な説明がありました。最後に伊藤忠テクノソリューションズの杵島正和氏から自社でのMicrosoft VDI導入の検討プロセスとコスト・利用し易さ、実際の利用状況などを実証的に説明していました。今や端末機器が多様化し低廉化してきている中で、組織で端末機器を統一して採用し集中管理することが必ずしも組織の生産性を上げることには繋がらないのではないかとの疑問を持ち続けて聞かせて貰いました。